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2022年1月14日更新

[沖縄・お住まい拝見]本や緑 「好き」に囲まれ|Atelier TAKE5

[ブックカフェみたいなリビング]壁いっぱいの本棚があるブックカフェ風のリビングで読書を楽しみ、庭では植栽に没頭するAさん。約19坪とコンパクトな平屋で、好きな物に囲まれて暮らす。

Aさん宅のリビング・ダイニング。蔵書が多いことから、壁一面に本棚を作り付けた。掃き出し窓の向こうは庭。Aさんが手塩に掛けて手入れしている生け垣が美しい
Aさん宅のリビング・ダイニング。蔵書が多いことから、壁一面に本棚を作り付けた。掃き出し窓の向こうは庭。Aさんが手塩に掛けて手入れしている生け垣が美しい


趣味も仕事もはかどる

Aさん宅
 RC造/自由設計 

以前に本紙で見た、壁一面に本棚を設けたブックカフェ兼住宅を気に入ったAさん。「私も本が好きで、たくさん蔵書がある。こんな本棚がある家に住みたいな」と、そこを手掛けた建築士に、同じような造りを依頼した。

新居のリビングは念願通り、カフェのような空間。打ち放しの壁に、木の床や家具が温かみを添える。天井まで届く作り付けの本棚は、背面のマットブラックがおしゃれ。

ソファで読書に没頭し、ふと目を上げればきれいに刈り込まれたハイビスカスの生け垣やシマトネリコの緑が広がる。「小さくても庭は絶対にほしかった。とはいえ、マメに手入れできない」として、今は砂利敷きにして雑草対策をしている。「ゆくゆくは土を入れてガーデニングを楽しみたい」と話す。
 

ダイニング・リビングの間に小さな書斎スペースがある。在宅ワークに重宝しているそうダイニング・リビングの間に小さな書斎スペースがある。在宅ワークに重宝しているそう


洗面脱衣所(左側)と隣接する洗濯室。「普段、引き戸は開けっ放し。洗濯動線が短くて楽」と話す

洗面脱衣所(左側)と隣接する洗濯室。「普段、引き戸は開けっ放し。洗濯動線が短くて楽」と話す
 

ダイニングと対面するキッチン。タイル張りで優しい雰囲気。高所の収納は設けず、すべてに手が届く造り


機能的な19坪平屋

リビングとダイニングの間には、壁付けの書斎スペースがある。机に向かうと「余計な物が目に入らず、集中できる」とAさん。

設計は2019年初旬だったため、在宅ワークなどは想定していなかった。「建築士さんが『少し空間があるから』と作ってくれたけど正直、そこまで使わないと思っていた(笑)。こんなに重宝するなんて!」

独立した個室でなく、LDKの中にあるのがミソ。書斎で仕事をし、区切りが付いたらソファでリラックス。しばしの休憩後、また机に向かう。5歩でオン・オフの切り替えができる「ありがたい場所」だそう。

西側には水回りや寝室など、プライベート空間がまとまる。寝室は小上がりの和室と隣接。間は収納でゆるく仕切っているだけなので、視線は遮りつつも人の気配は感じられる。

また、洗面脱衣所のそばには洗濯室がある。洗濯室には物干し棒が設置されており、室内干し場を兼ねる。「浴室まで一直線に並んでいるから脱いで洗って干す、が最短距離で済む」と話す。

約19坪とコンパクトな平屋ながら広さを感じさせ、オウチ時間を豊かにする工夫が詰まっていた。

小上がりの和室。写真右奥は寝室。間に壁を造らず、収納でゆるく仕切る
小上がりの和室。写真右奥は寝室。間に壁を造らず、収納でゆるく仕切る
 

リビング・ダイニングとつながるタイル張りのテラス。その外側には砂利敷きの庭がある。1.1メートルの深い軒が日差しを遮る
リビング・ダイニングとつながるタイル張りのテラス。その外側には砂利敷きの庭がある。1.1メートルの深い軒が日差しを遮る

外観。Aさんの希望だったパイプシャッター式の車庫と木の間に、玄関へ続くアプローチがある
外観。Aさんの希望だったパイプシャッター式の車庫と木の間に、玄関へ続くアプローチがある

車庫の奥には壁を開けた植栽スペースがあるおかげで明るく、風通しも良い
 

レンガ式のアプローチが玄関へと誘う。レンガを使っているのはごく一部だが、打ちっ放しの“固い”印象を和らげている

レンガ式のアプローチが玄関へと誘う。レンガを使っているのはごく一部だが、打ちっ放しの“固い”印象を和らげている

本棚の棚板は、奥行きが35センチある。本のほかに小物や収納ボックスも置いて多機能に使っている
本棚の棚板は、奥行きが35センチある。本のほかに小物や収納ボックスも置いて多機能に使っている


ここがポイント
「頑張らない」造り

本棚側の壁を黒くしたのは、「本やモノが映えるし、置くモノの色やサイズがバラバラでも、壁色のインパクトでなんとなくまとまって見える」と説明するのは、Aさん宅を手掛けたアトリエTAKE5の建築士・小谷みゆきさん。

黒い壁は洗練された印象になるが、圧迫感も与える。Aさん宅は本棚の背面に取り入れることで棚板やモノが緩衝材になり、そのデメリットを和らげた。

棚板は奥行き35センチあり、Aさんはディスプレーも楽しむ。「本が増えたら、奥と手前の二重にして置ける。収納ボックスも置ける奥行きなので、多彩に使える」と小谷さん。

本棚以外の収納はすべて、台を使わなくても手が届く範囲に設置。「吊(つ)り収納などは造らず、頑張らなくても片付けできるようにした」

また、コンパクトな家を広く感じさせるため「突き当たりが暗くならないよう配慮した」と、同社の建築士・友利正さん。

突き当たりの壁に窓を設けたり、天窓から光が入るよう計画して明るさを確保。車庫も最奥は壁を開け、植栽スペースを設けた。「車庫と対面する位置に浴室や洗面室、洗濯干し場がある。そこへの採光・通風も確保した」と話した。


[DATA]
敷地面積:192.57平方メートル(58.25坪)
1階床面積:94.81平方メートル(28.68坪)
(住居部)64.55平方メートル(19.52坪)
(車庫等)30.26平方メートル(9.15坪)
建ぺい率:49.37%(許容50%)
容積率:39.38%(許容100%)
用途地域:第一種低層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート壁式造
設計:Atelier TAKE5 小谷みゆき、友利正
施工:(有)平良建設
構造:ASD Planning
電気:喜友名電気
水道:(有)ライフ工業

問い合わせ
 Atelier TAKE5
  電話098・890・3052
  http://a-take5.com/


撮影/比嘉秀明 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1880号・2022年1月14日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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