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2022年1月7日更新

[沖縄・お住まい拝見]家族で集い伸び伸び|三愛企画設計

[細長い崖地生かした平屋]東西に細長く、平均5メートルの高低差がある崖地に建つTさん(46)宅。「年を重ねても、不便なく過ごせるように」と考えて計画した平屋で、4人の子どもたちと伸び伸び暮らす。

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1階のLDK。キッチンに用いたれんが風の壁紙が、空間のアクセントに。キッチン背後には、水回りがまとまっていて、南側(写真左手)には、子ども部屋と寝室が並ぶ
1階のLDK。キッチンに用いたれんが風の壁紙が、空間のアクセントに。キッチン背後には、水回りがまとまっていて、南側(写真左手)には、子ども部屋と寝室が並ぶ


家に帰るのが楽しみ

Tさん宅
 RC造/自由設計/家族6人 

前面道路に面した駐車スペースからポーチを抜けて、玄関へ。玄関を入ると、家族写真で彩られたリビングが広がり、その西側にダイニング、キッチン、水回りが一列に並んでいる。

「家族で過ごす時間を大切にしたかったので、リビングを広くとって、逆に子ども部屋は小さくしてもらいました」とTさん。ダイニングとキッチンの脇には、2室の子ども部屋。「下の子2人は、まだやんちゃ盛りの保育園児。年が離れた上の2人のために、個室を設けました」

ダイニングから勝手口に抜けるスペースは、下の子たちの格好の遊び場。駆け回り、飛び回り元気いっぱい。笑い声が絶えない。「この家ができてから、子どもたちと過ごす時間が充実。家に帰るのが楽しみで仕方ない」

寝室は建物の最奥、敷地の西側にある。干し場になっているベランダの向こうには、自然の木立が広がり、「寝室の窓を開けると、空気が澄んでいて気持ちいい。朝焼けの空を見ながら過ごす時間が大好きなんです」と目を細める。


風水も取り入れて

夫人の実家近くに売り地を見つけ、購入。「崖地だったので、よう壁工事に費用が掛かることを予想。予算を踏まえて、暮らしやすい平屋が提案できる建築士探しを始めました」。近郊の建築士をネットで検索して1件、1件電話。理想的な設計プランを提案してくれた建築士に依頼した。

建築士の提案で廊下に設けられた大容量の収納は、「片付けやすく、小さい子がいてもキレイに見えるから助かっています」と夫人。本を読んで学んだ風水を、間取りやインテリアに取り入れた。

「家族でいるときが一番楽しい。これからお花を植えて、家に彩りを増やしていきたい」と、ほほ笑む。

キッチンからダイニング、リビングを見る。リビングは東側の掃き出し窓から、キッチンは北側に設けた勝手口から光を取り込み、明るい。電気関係の仕事に就いているTさん。照明にもこだわった
キッチンからダイニング、リビングを見る。リビングは東側の掃き出し窓から、キッチンは北側に設けた勝手口から光を取り込み、明るい。電気関係の仕事に就いているTさん。照明にもこだわった

東側の外観。緩やかにのぼる前面道路に面して4台の駐車スペースを確保
東側の外観。緩やかにのぼる前面道路に面して4台の駐車スペースを確保
 

紺色のアクセントクロスが目をひく和室。4.2畳とコンパクトだが、リビングの南側に隣接するため、行事などで親族が集まる際は、リビングまで一体的に使用できる

紺色のアクセントクロスが目をひく和室。4.2畳とコンパクトだが、リビングの南側に隣接するため、行事などで親族が集まる際は、リビングまで一体的に使用できる
 

ここがポイント
崖地を地盤補強 費用抑え安全確保

間口約10メートル、奥行き23・5メートルと細長く、東西の高差が平均5メートルという敷地を生かすにあたり、建築士の仲宗根将信さんは、土質調査を徹底。崖面の西側は、表面の地盤は軟弱だったが、下部に硬い岩の塊があることがわかった。

そこで、軟弱地盤の基礎下から支持地盤までを、無筋コンクリートに置き換えるラップル工法を採用。さらに基礎部分は、地盤が安定している東側半分(子ども室Bまで)は土間コンクリートに、西側半分は梁(はり)が支点となり荷重を支えるスラブにすることで、地盤への負荷を調整。建物の安全性を確保した。

「よう壁を設けるにしても、さらに補強が必要でした。ラップル工法を用いることで、よう壁設置の2割程度の費用で安全性を高められた。施工に携わってくれた皆さんに感謝」と仲宗根さん。のり面は、ラス金網を張ってモルタルを吹き付けることで植物の生育を抑え、耐久性を高めた。

建物は平屋。人の移動やメンテナンスのしやすさを考慮して、外壁と建物の間を1~1・5メートルあけて、1周回れるようにした。西側の端に設けた干し場を、崖から迫り出すように設けることで、2階建てのような雰囲気に。

室内は、東側に据えたリビングを軸に、北西に水回り、南側に個室をまとめたシンプルな間取り。干し場へと抜ける勝手口につながる廊下には、天井高いっぱいまでの大容量の収納を設置。スムーズに家事ができ、小さい子がいても片付く仕組みの要になっている。
 

寝室と水回りの間にある廊下に設けた、天井高いっぱいの収納=写真左手。正面の勝手口から干し場へつながる

寝室と水回りの間にある廊下に設けた、天井高いっぱいの収納=写真左手。正面の勝手口から干し場へつながる

明るく、広々とした洗面・脱衣室。浴室までフラットにつながる
明るく、広々とした洗面・脱衣室。浴室までフラットにつながる
 

西側から住宅を見る。1階の干し場は崖部分に迫り出すように設けられているため、手すりを高くし安全面も考慮(建築士提供)西側から住宅を見る。1階の干し場は崖部分に迫り出すように設けられているため、手すりを高くし安全面も考慮(建築士提供)

西側から住宅を見る。1階の干し場は崖部分に迫り出すように設けられているため、手すりを高くし安全面も考慮(建築士提供)

寝室。干し場に面しているため、緑の借景も楽しめる。子どもたちの安全と遊びやすさを考え、ローベッドに
寝室。干し場に面しているため、緑の借景も楽しめる。子どもたちの安全と遊びやすさを考え、ローベッドに



[DATA]
家族構成:夫婦、子ども4人
敷地面積:241.28平方メートル(72.98坪)
1階床面積:125.55平方メートル(37.9坪)
建ぺい率:53.07%(許容60%)
容積率:52.03%(許容200%)
用途地域:第1種住居地域・未指定地域
躯体構造:鉄筋コンクリートラーメン構造
設計:三愛企画設計 仲宗根将信
構造:与儀建築工房 与儀
施工:(有)桑江興業 桑江、新垣
電気:(株)翼電工 玉那覇
水道:(有)タイラ工業 平良
キッチン・UB:(株)共立創建 東江

問い合わせ
 三愛企画設計
 電話098・934・8530
 http://www.sanai-architect.com/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1879号・2022年1月7日紙面から掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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