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2021年12月3日更新

[沖縄・お住まい拝見]緑取り込み開放的に|(有)武一建設

[キッチンが中心の洋風平屋]
周囲を緑に囲まれた今帰仁村の土地に、洋風のシンプルでかわいらしい平屋を建てた上間さん(33)。キッチンが中心の開放的な空間で緑を眺め、「家事も子育ても安心」と喜ぶ。

漆喰(しっくい)仕上げの壁で温かみのある、1階のリビングと和室、キッチン、ダイニング。天井高約3メートル、和室とダイニングに設けられた掃き出し窓からの風と緑に癒やされる
 

見渡せるから安心

上間さん宅
 RC造/自由設計/家族4人 

キューブの一辺がアール(曲面)になった、かわいらしい外観。玄関脇に設けられたタイル張りの多目的スペースは、水回りへの出入り口になっていて、物干し場に、倉庫に、子どもの遊び場にと大活躍。「外で遊んで汚れて帰ってきても、多目的スペースからお風呂に直行できるので、とても便利です」と夫人(32)。

室内は漆喰(しっくい)の塗り壁で、温かみのある空間。キッチンを中心に、正面にリビング、両サイドにダイニングと水回り、背後に個室が配置され、ぐるりと回れる造りになっている。リビングとダイニングは、「食事に集中できる環境にしたい」とあえて分けた。

リビングは天井が高く、和室とダイニングに設けられた大きな開口部から見える緑に癒やされる。「キッチンから和室まで見渡せるから、子どもたちがどこで遊んでいても目が届くし、話もできるから安心です」

プライベート空間は、寝室も子ども室もコンパクトに。各部屋には収納を設けず、廊下を利用してクローゼットをまとめた。「クローゼットは、ロールカーテンをおろせば目隠しでき、通気もいい。子どもはかくれんぼし放題です」

明かりを楽しむ

実家に近く、祖父が畑として使っていた土地を生かして友人が住んでいた建売住宅を見て、「アーチと漆喰の白い壁、洋風の雰囲気が気に入りました。その建売住宅を建てた建築会社に設計を依頼しました」と夫人。

夫婦でこだわったのは照明。一部屋一部屋、似合うデザインを探した。「夜は漆喰壁に明かりが映り、陰影で家の雰囲気が変わる。外から見ても温かくて、ホッとします」と、笑みを浮かべた。


アーチになった垂れ壁と、アイアンのシャンデリアが印象的なダイニング。個室感がありながらキッチンと一体的につながる。左手には勉強用のカウンターも造り付けた


リビングから和室、キッチン、ダイニングを見る。和室は小上がりになっていて、子どもが腰掛けるにも便利。「ソファと向き合って、お話もしやすいです」と夫人


白で統一し、シンプルでスッキリとしたキッチン。奥にある水回りまで一直線につながる

 

ここがポイント
キッチン中心に回遊性

敷地はほぼ正方形で、南側に前面道路、周囲を緑に囲まれた環境。建築士の伊波豪さんは、自身の子育て経験を生かし、家事、子育てがしやすく、人が集えるプランを提案した。

一番のポイントは、パブリック・プライベートの空間分けと回遊動線だ。

室内は、家の中心に据えたキッチンを軸に南側にリビングと和室、東側にダイニング、西側に水回り、北側に個室を配置。パブリック空間とプライベート空間を完全に分けることで、来客時も気兼ねなく過ごせるようにした。「ダイニングと和室には、東側に掃き出し窓を設け、隣地の緑と心地よい風を取り込めるようにしました」と伊波さん。

リビング、ダイニング、和室は壁で仕切られているが、出入り口を大きく取ることで見通せる。キッチンからプライベート空間へ、パブリック空間へと向かう二つの回遊動線を設けることで、家事も見守りも楽にできる。

収納は、プライベート空間にまとめてたっぷり。廊下を利用して天井高いっぱいのクローゼットを設け、個室を広く使えるようにした。水回りから個室へ向かいながら、必要な物を取り出し、収める仕組み。「スペースと移動のムダが省けます。来客が通らないので、クローゼットには扉をつけずロールカーテンで目隠し。コストダウンになるだけでなく換気にもいい」

玄関脇に設けた、半戸外の多目的スペースもポイント。物干し、物置、遊び場を兼ねた空間には、家事室への出入り口があり、「将来、部活などで汗だくになって帰ってきても、洗濯物を出して、お風呂に直行できます」。玄関とは別に家族の出入り口を設けることで、玄関もきれいに保てる。
 


玄関脇に設けられた多目的スペースは、4.4畳。屋根があるから天気を気にせず洗濯物が干せ、自転車やアウトドアグッズを置いても、十分な広さ。換気がしやすいよう、窓はジャロジーに。正面のドアから家事室へ出入りできる
 


南側の外観。道路に面しているため、窓は小さく高窓に。シンプルなキューブ型だが、玄関前の垂れ壁をアーチにし、外壁の角の一辺を曲線にすることで、柔らかい雰囲気に。玄関左手に多目的スペースが続く


広々とした洗面室。キッチンと同じ並びにあり、玄関からもキッチンからも行き来しやすい。右奥は家事室


廊下に設けた大容量のクローゼット。扉がなく、必要に応じてロールカーテンで目隠しできる。廊下の突き当たりには換気と明かり取りのための窓を設けた


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:317.31平方メートル(95.98坪)
1階床面積:105.46平方メートル(31.90坪)
建ぺい率:34.00%(制限なし)
容積率:33.24%(制限なし)
用途地域:指定なし
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(有)武一建設 伊波豪
施工:(有)武一建設

問い合わせ
(有)武一建設
  電話098・965・3001
  http://takeichikensetsu.com/


撮影/比嘉秀明 取材/比嘉千賀子(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1874号・2021年12月3日紙面から掲載

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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