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2021年7月23日更新

[沖縄・お住まい拝見]姉妹の「好き」詰めた家|(株)一級建築士事務所 斎

[程よい距離感で支え合い]
畑が広がる地域の一角に、姉妹二人で建てた家がある。姉のAさん(50)と妹のHさん(44)が、「コンクリート打ち放し」「シンプル」「ホテル風」といった共通の好みを詰め込んだ家だ。程よい距離感で、支え合いながら仲良く暮らす。

姉のAさんと妹のHさんがこだわったコンクリート打ち放しの外観。手前の趣味室部分は、杉板模様がアクセントになっており、床が浮いているようにも見える


似ている好みや考え方

Aさん宅・Hさん宅
 RC造/自由設計/家族2人 

コンクリート打ち放しの直方体。その中央部、共有の玄関を抜けると、右手にAさん、左手にHさんの住まいがある。2人は4人姉妹の三女と四女。「好みや考え方が似ているんです」と声をそろえる。

家づくりの際も「コンクリート打ち放しのホテルのような空間」「リビングとキッチン、寝室があればいい」と意見が一致。そのため、壁はコンクリート打ち放しで、LDKと寝室、水回りを基本にしたワンルームのような住まいが左右対称にある。

そんな空間で、Aさんは庭を眺めながらコーヒー、Hさんはお風呂でアロマなど、それぞれが独立した暮らしを楽しむ。

一方で、食事のお裾分けなど、互いの住まいを行き来することも。すると、「隣家で暮らす次女を呼び、さらに近くに住む長女も、という流れで、いつも4人姉妹が集まるんです」とHさん。Aさんも「こないだはみんなで月食を見たし、バーベキューもするようになった。気を使わなくていいから集まりやすいんですよ」と加える。程よい距離感が、姉妹の絆をより強くしているようだ。


Aさん世帯のLDK。コンクリート打ち放しの壁に、チーク材の床で落ち着いた印象。梁(はり)が見えないようにしているほか、天井の一部を掘り込むことで、圧迫感がなく広がりを感じる
 

玄関。突き当たりを右に行くとAさん、左に行くとHさんの住まいがある。掃除道具などは共有しており、中央奥に収納されている
 

Aさん世帯のキッチン。ステンレスのカウンターは、Aさんが「飲食店の厨房のようにしたい」とこだわったもの。その下は、壁と同様にコンクリート打ち放しになっている


コスト半分 増す安心感

以前は2人とも1人暮らしをしていたが、ある日、父から姉妹それぞれに土地が譲られた。そこでAさんはHさんに声を掛け、2人で家造りをすることに。次女に紹介してもらった建築士に相談したところ、話しやすい人柄を気に入って、そのまま依頼した。

2人で建てたことについて、「建てるときはもちろん、メンテナンスなどのコストも折半できる」とHさん。Aさんは「防犯面だけでなく、将来や、体調を崩した時の安心感もある。夜、帰宅する時に明かりがついているのもうれしいですね」とたくさんの利点を感じているよう。

2人は「理想が詰まった夢の家。これからも仲良く、助け合いながら暮らしていけたら」と思いを共有している。


Hさん世帯のLDK。Aさん世帯に比べて収納は少なめ。部屋の雰囲気に合わせるため、家具や家電は黒に統一している。キッチンカウンターの下は床と同じチーク材で温かみを感じる
 


Hさん世帯のキッチン。床には黒いタイルが敷かれている。「ホテルのように生活感を出さないようにしている」と、家電類も必要最低限。炊飯器はなく、ご飯は土鍋で炊くという
 

Hさん世帯のリビングから寝室(左奥)を見る。中央にある、大きな一枚戸を開ければワンルームのように使える
 

Hさん世帯の洗面室。トップライトから光が入り、電気をつけなくても明るい。浴室の扉は、ホテルにあるような大きなガラス扉を採用


ここがポイント
左右対称のワンルーム 好み反映し細部に違い

AさんとHさんはライフスタイルが異なるため、それぞれ独立した暮らしができるよう求めていた。そこで、建築士の玉那覇昇一さんは「程よい距離感」を意識。玄関のほか、共有の掃除道具を収める収納など、「建物の真ん中に共有スペースを設けることで両世帯を分けた」と話す。

姉妹の好みや考え方が似ていたことから、両世帯の間取りはほぼ同じ。LDKと寝室、水回りというシンプルな構成だ。寝室とLDKは一枚の大きな可動間仕切りで仕切っており、開けるとワンルームのように使うこともできる。

もちろん好みが違う部分もある。例えばキッチンでは、Aさん世帯の床がチーク材なのに対し、Hさん世帯は黒いタイル。一方で、Hさん世帯のカウンターが人工大理石なのに対し、Aさん世帯では厨(ちゅう)房(ぼう)にあるようなステンレスを使っている。洗濯や入浴の方法も異なるため、水回りの造りも違う。「左右対称に見えるが、それぞれの細かいこだわりや生活スタイルを反映させながら調整していった」。

通風と採光にも配慮。坪庭は各世帯の浴室に面しており、Hさん世帯の干し場やAさん世帯の手洗い場の窓を開ければ、一直線に並んだ水回り全体に風が通る。また、坪庭からの光により玄関も明るい。玉那覇さんは「坪庭上部に格子を取り付けて外からの侵入を防ぐなど、防犯面にも気を使いながら風や光を取り入れた」と話した。


ポーチと庭。左手には、光を入れつつ、外からの視線を遮る高さの外壁がある


[DATA]
家族構成:姉、妹
敷地面積:448平方メートル(約135.52坪)
1階床面積:115.01平方メートル(約34.79坪)
建ぺい率:25.67%(許容60%)
容積率:25.67%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:壁式鉄筋コンクリート造
設計:(株)一級建築士事務所 斎 玉那覇昇一
構造:(有)翔光プラン 西筋義憲
施工:(株)朗建設 安次嶺盛朗
電気:喜友名電気 喜友名盛久
水道:(有)ライフ工業 高山佳晃
キッチン・ガス:エッカ石油(株) 玉村竜二

問い合わせ
 (株)一級建築士事務所 斎
  電話098・996・3512
  http://www.atelier-sai.net/


撮影/比嘉秀明 取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1855号・2021年7月23日紙面から掲載

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スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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