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2021年6月11日更新

[沖縄・お住まい拝見]家族の絆育む 小さな家|カメアトリエ

[23坪に家族5人+愛猫]
檜(ひのき)屋根+コンクリートブロックの壁で成る23坪のM邸。子どもは一番下が高校1年生。「巣立つまであと少し。それまで家族の時間を大切にしたい」と天井で家全体がつながる小さな家を建てた。

センス良く彩られたリビングダイニング。築3年だが檜のよい香りがする。形はシンプルな長方形で、家の中央を走る廊下のおかげで家の端から端まで見通せる。また、仕上げの無い天井が家全体をつなぐ
センス良く彩られたリビングダイニング。築3年だが檜のよい香りがする。形はシンプルな長方形で、家の中央を走る廊下のおかげで家の端から端まで見通せる。また、仕上げの無い天井が家全体をつなぐ


天井でつながる

Mさん宅
 補強CB造+木屋根/セミオーダー/家族5人+猫1匹 

使い込まれた食器、手塩にかけた植物、ハンドメイドのインテリアが小さな家を所狭しと彩る。手を掛けることを楽しむMさん一家。

愛情がこもるモノに包まれるLDKには、自然と家族が集まる。「会話は多いけど、けんかも多い(笑)。長男は今でも『個室がほしかった』ってグチるし。『じゃあ自立しなさい』って返してます」

19歳、17歳、15歳の2男1女がいる。家造りを決めたのは3年前。転勤族だが、うるま市勝連の環境が気に入って土地を購入。「巣立ちが見え始めているからこそ、家族の居場所を作って、たくさんの思い出を残したい」と新築を決意した。

檜(ひのき)の屋根(トラス)と、補強コンクリートブロックの壁で構成する「トラストブロック」を手掛ける建築士夫妻に依頼。「木の香りがする家に住みたかったのと、2人の人柄にほれ込んでお願いしました」

新居は「プライバシーより顔が見えることを重視」。23坪に、個室は夫婦の寝室と長女の部屋だけ。2人の息子はデスクスペースの上にあるロフトで眠る。

また、トイレと浴室以外の居室は天井でつながり、LDKの音が子ども室や寝室にも聞こえる。「ウチは夜10時以降、テレビの音も小さくして静かに過ごすというルールがある」。近さが煩わしい日もあるが、翌日にはたわいの無い話をする。良い日も悪い日も、そこには家族がいる。

植栽や見せる収納を上手に使い、まるで雑貨店のようなLDK。開放的な小屋組みや大きな窓のおかげで明るく伸びやか
植栽や見せる収納を上手に使い、まるで雑貨店のようなLDK。開放的な小屋組みや大きな窓のおかげで明るく伸びやか


壁付けのキッチンの窓からは勝連城跡が見える。「室内で一番景色の良いところをキッチンにしてもらった」。壁面収納に並ぶ、使い込まれた食器や鍋もM邸のやわらかい雰囲気づくりの一端を担う
 

息子2人の部屋。床を椅子代わりにした掘り込み式のデスクとロフトベッドで、狭い空間を有効活用

息子2人の部屋。床を椅子代わりにした掘り込み式のデスクとロフトベッドで、狭い空間を有効活用


台所から勝連城跡

長方形の中央に玄関があり入って右側にLDK、左側に個室がまとまる。LDKの位置は景色の良さが決め手となった。中でもキッチンは「洗い物をしながら勝連城跡が見える」という特等席だ。

モノが多くても窮屈ではない。「天井の抜けが効いている。開放的だし、家中明るいのも気に入っています」

ことしから家族になった愛猫も小屋組みがお気に入り。キャットウオーク代わりに闊歩(かっぽ)。小さな家だが、家族の居場所が随所にある。

北側のデッキテラスは眺めが抜群。台所と隣接していて、窓越しに食材などを手渡しできる
北側のデッキテラスは眺めが抜群。台所と隣接していて、窓越しに食材などを手渡しできる
 

広々としたトイレ。かわいらしい床のタイルがM邸にマッチしている

広々としたトイレ。かわいらしい床のタイルがM邸にマッチしている
 

 

洗面脱衣所。勝手口のほか、洗面台の真横に明かり取り用の窓を設置

洗面脱衣所。勝手口のほか、洗面台の真横に明かり取り用の窓を設置


夫妻の寝室。4畳半とコンパクトながら、シングルベッドを2台おける広さを確保している
夫妻の寝室。4畳半とコンパクトながら、シングルベッドを2台おける広さを確保している



ここがポイント
三角地の余白も楽しむ

M邸はシンプルな長方形。屋根は香りがよく、涼しくてぜいたくな檜(ひのき)、壁は防水コンクリートブロックで湿気と台風対策を兼ねる。さらに、「大まかに“箱”のサイズを規格化して、分かりやすい家造りを形にした」とカメアトリエの建築士、亀崎義仁さんは説明する。

横幅は4・96メートルと決まっているが、長さはブロック単位で変えられる。目安としてXS(7・57坪)~XL(38・77坪)の5サイズある。

「Mさんが購入を検討していた敷地にはMサイズ(23坪)がピッタリ収まること、三角形の敷地に長方形の箱を入れると余白が生まれ、かえってそこが豊かな場になることを話した」

背中を押され、変形地を購入。「先端部分(北側)からは勝連城跡や中城湾が望める。そこにはバーベキューなどを楽しめるデッキテラスを配置。室内から食材が手渡せるようキッチンと隣接させた」

長い円弧状の道路側には低い木の柵と、植栽を配置。「地域とのつながりを考慮した」

室内は、端から端まで見通せる廊下を中央に通した。さらに「天井の小屋組みをあらわにすることで光と風を家中に行き渡らせ、広さを感じさせている」。
Mさんは小屋組みに植栽やインテリアをつるし、キャットウォークとしても活用する。「こんなふうにも使えるのか、と勉強になった。箱は同じでも中身によって個性が出る。それがトラストブロックの面白さ」と義仁さんは話した。

三角形の土地に長方形の住まいがたつ。余白スペースを3台分の駐車場や庭、テラスなど機能的かつ楽しく使う
三角形の土地に長方形の住まいがたつ。余白スペースを3台分の駐車場や庭、テラスなど機能的かつ楽しく使う


愛猫も小屋組みがお気に入り。「たまに足を踏み外して落ちてきて、しばらく上らなくなる(笑)」とMさん


[DATA]
家族構成:夫婦、子3人、猫1匹
敷地面積:214.82平方メートル(約64.9坪)
1階床面積:78.56平方メートル(約23.76坪)
建ぺい率:40.16%(許容60%)
容積率:36.58%(許容100%)
用途地域:指定なし
躯体構造:補強コンクリートブロック造(木造屋根)
設計:カメアトリエ 亀崎義仁・さちえ
構造:前田建築設計事務所
施工:(株)尚建、(株)合掌(木造トラス)
電気:(有)丸市電気工事社
水道:(株)フジ設備工業
キッチン:リッタイメタルワークス
ガス:沖縄協同ガス(株)

問い合わせ
 カメアトリエ
  電話098・836・7221
  http://cameatelier.com


撮影/矢嶋健吾 取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1849号・2021年6月11日紙面から掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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