家づくり
2025年12月19日更新
なぜ? エアコン・空気清浄機は動いているのに息苦しい部屋 専門の一級建築士が考えた原因とは|インスペクションで解明 住まいのミステリー(33)
文・下地鉄郎(インスペクション沖縄メンバー、既存住宅状況調査技術者)

住宅の劣化状態などを調査して報告する「インスペクション(建物診断)」。今回は、エアコンや空気清浄機は稼働しているのに、なんとなく息苦しさを感じる部屋の謎を、インスペクション沖縄の下地鉄郎さんが解き明かす。
第33話「換気と二酸化炭素の関係」
なぜか息苦しい部屋
調査物件の二酸化炭素濃度のイメージ

無 臭で清潔だが…
今回、調査依頼があったのは住宅密集地に建つ築30年の平屋建てコンクリート住宅。依頼者からの要望は「目立った劣化は見られないが、近々外壁の全面塗り替えと水回りのリフォームを予定しているため、念のため建物の状態を確認してほしい」というものであった。
現地で調査したところ、建物全体として雨漏りや構造的な劣化は見られなかった。これまでカビ被害なども一度もないそうだ。依頼者とは、外壁や開口部の経年状態のほか、普段の換気状況にまで話が及んだ。住宅密集地であるため普段から窓を開けることが少ないとのことで、各部屋にエアコンや空気清浄機が設置されていた。室内は無臭で清潔に保つよう心掛けているということだった。
最後に依頼者から、「水回りリフォームに合わせて何か改善した方がよい点があれば何でも言ってほしい」と聞かれたため、ひとつだけ気になった点をお伝えした。「室内は快適ですが、部屋によってはなんとなく息苦しさを感じます」
二酸化炭素濃度の目安
~600ppm=非常に良好(屋外に近い)600~1000ppm=許容範囲
1000ppm~=換気不足→息苦しくなってくる
2000ppm~=眠気にも襲われる
3000ppm~=頭痛、吐き気が起こる
二 酸化炭素濃度が影響
同物件は、2003年の「24時間換気の義務化」以前に建てられたこともあり、各部屋に給気口が設けられていないようだ。さらにエアコンは、外気を取り入れる換気機能はないことを説明するとふに落ちたようであった。(※一部のエアコンには外気取り入れ換気機能があるが一般的には無い)
エアコンや空気清浄機により、温湿度や臭い・ホコリが改善され快適ではあっても、人間が吐き出す二酸化炭素濃度(CO2)が蓄積され、濃度が高まり過ぎると息苦しさや眠気を感じるようになる。
意外に勘違いされているのが、現在普及している多くのエアコンは外気を取り込む機能を持っていないこと。さらに空気清浄機と併用することで室内空気はきれいで快適になるが、屋外の外気を取り入れる「換気」とは別物だ。
調査の際に息苦しく感じた部屋は、家族がよく過ごす場所だが窓の開閉はほとんどなく、調査時も家族が在室していたことに加え、調査者もいたため二酸化炭素濃度がさらに上がっていた可能性がある。
筆者も、15年以上前に約9坪の事務所で4人が常時働いていたことがある。事務所内には換気扇もエアコンもあったが、来客が重なると最大9人という過密状態に。なんとなく日中でも息苦しさや眠気を感じることがあった。思い立って換気扇を倍の能力のものに交換したところ、その症状を感じることはほとんどなくなった。当時を振り返ると、屋内での快適な二酸化炭素濃度は1000ppm以下が目安とされているが、2000ppmを超えていた可能性が高かったと思う。
今回の依頼者には、今後のリフォームを機に、
・適度な窓換気(必要に応じて除湿器)
・換気扇の能力を確認
・部屋間ドアへの通気ガラリ設置
・壁や外部建具に給気口設置
などを検討することで、より質の高い空気環境で暮らせるとアドバイスした。
◆ ◆ ◆
わが家の状態が気になったら、インスペクション沖縄のサイト(https://inspection-partners.jp/okinawa/)で建物の健康状態の簡易チェックができる

しもじ・てつろう/1級建築士。(株)クロトン代表取締役
電話=098・877・9610
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2085号・2025年12月19日紙面から掲載











