【人物紹介】沖縄独自の省エネ基準を|(公社)日本建築家協会沖縄支部支部長の金城優さん[ひと]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

家づくりのこと

企業・ひとの取り組み

2025年9月19日更新

【人物紹介】沖縄独自の省エネ基準を|(公社)日本建築家協会沖縄支部支部長の金城優さん[ひと]

6月から「(公社)日本建築家協会(JIA)沖縄支部」の新支部長に就任した金城優さん(59)。「多分野との交流を取り入れながら、持続可能な建築のあり方を考慮したい」と支部長としての意気込みを語った。

企業・ひとの取り組み

タグから記事を探す

組織再編して横の連結強化


(公社)日本建築家協会 沖縄支部
支部長
金城 優さん


〈プロフィル〉
きんじょう・まさる/1966年、南風原町出身。95年に門建築都市研究室設立。2005年、(有) 門に改称。19年にNPO蒸暑地域住まいの研究会理事長、25年に日本建築家協会沖縄支部支部長に就任。

◆(公社)日本建築家協会 沖縄支部
浦添市西原1-4-26 沖縄建築会館内 
電話=098-943-8949

https://www.jia-okinawa.org/



―協会の特徴は?

JIAは、建築家の職業理念を基に環境の保全と建築文化の発展に貢献することを目的としています。当支部は建築のスペシャリストである正会員が57人、準会員や協力会員も含めると100人ほど在籍しています。九州の一地域ではなく、一支部として活動しているので、建築に関する意見や提案を沖縄の建築家の立場から本部と直接やりとりできるのが強みです。


―現在力を入れている事は?

JIAとして取り組んでいるのは、災害や環境問題についての対策です。沖縄はコンクリート造の住宅が普及しているので、比較的災害に強い地域ですが、コンクリート造の特質の一つで建物内が暑くなりやすいため、その対策を検討し続けました。結果、暑さの問題は少しずつ解決しています。今後は環境問題について考える段階だと思います。

国が提唱している省エネ住宅は高気密・高断熱化や高性能の設備を導入し、エネルギーの消費を抑えた住宅です。一方、私たちはこれまでに集積された技術で、沖縄の気候に合った独自の省エネ住宅の基準が作れるのではないかと他団体と共に県や国に働きかけています。沖縄の気候は他府県よりも東南アジアに近い環境です。JIAは日本を代表して国際建築家連合に加盟しているので、世界中の情報が集まります。国内だけではなく、世界と比較して、改めて沖縄の環境を理解する必要があります。


台湾訪問では、台中国家歌劇院を見学した(JIA沖縄支部提供)


―組織を再編されたそうですが、どのような狙いが?

本年度から支部長に就任したのですが、それまで副支部長を14年間務めていました。その経験から、各取り組みの中で1人に業務が集中し、負担が大きくなっていたのを感じていました。再編成をすることにより横の連結を強化し、業務を協力し合うことで、より良い活動や個々の意見が出てくるのではと考えました。


―今後の目標は?

環境問題などに配慮し、粋美を高め、持続可能な建築のあり方を考慮したいと思います。また、他分野との交流を取り入れながら、会員らと共に積極的に努めていきます。

個人の目標も、持続可能な建築について取り組みたいと思います。省エネ住宅は、生産から廃棄までのCO2量で考える必要があります。建材や設備で対策するよりも、最小限の資源の利用で最大限の効果を生み出す設計を提案したいと思います。建築の力を信じたいです。



台湾で現地交流会を開催
国際的なネットワーク構築に注力

台中市建築師公会訪問、意見交換した(JIA沖縄支部提供)

沖縄支部の活動は、他団体や行政、企業と協力して40歳以下が対象の設計競技「ティーダフラッグス」や、県内の優秀な建築物・建築士を表彰する「沖縄建築賞」を実施。他にも、学生や若手の建築従事者に向けたワークショップ「沖縄未来建築塾」や、県内外から有名な建築士を呼び、セミナーを主催している。

また、若手会員の東南アジア進出を促進するために国際交流事業も展開している。昨年の2月は、台湾で現地の建築家と意見交換・現地調査を行った。同じ蒸暑気候の建築手法や台風災害の対策について学ぶことで、沖縄の気候風土に適した建築技術のさらなる向上や、文化的な連携を深める事を目的としている。
取材/伊波克朗
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2072号・2025年9月19日紙面から掲載

企業・ひとの取り組み

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2727

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る