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2025年9月5日更新

【自分でつくる庭】神里良光さん宅の庭(南風原町)|家と庭に愛情と趣

このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。


神里良光さん宅の庭(南風原町)
 

家と庭に愛情と趣

植物は「足音を聞いて育つ」

主庭は一面豆砂利が引かれている。「以前は芝生だったけど、手入れが大変で豆砂利に変えた」と神里さん。青々と茂る低木やきれいに刈り込まれたクロキなどから神里さんの愛情を感じられる

豆砂利が「サクサク」

8月下旬、通り雨が降った直後、神里良光さん(78)宅を訪ねると、立派な琉球石灰岩の石垣は雨にぬれて風合いを増し、門かぶりのリュウキュウマツも水滴が光っていた。


琉球石灰岩の石垣と赤瓦屋根、門かぶりのマツが趣を感じさせる

敷地に入ると、目前にひんぷんが建ち、ソテツとともにその先を目隠しする。ひんぷんの前には直径1メートルはあろう石鉢が鎮座し、オオタニワタリが葉を広げ出迎えてくれた。


敷地に入ると、ひんぷんとソテツが目隠しする。その前には大きな石鉢が鎮座

主庭では、きれいに刈り込まれたクロキやリュウキュウマツ、ソテツなどが日を浴びて輝く。合間からは巨大な琉球石灰岩がのぞくほか、ブーゲンビレアや色とりどりのサンダンカも目を楽しませてくれる。足元には豆砂利が敷かれ、歩くたびにサクサクと小気味よい音を響かせる。

神里さんは農林高校を卒業しており、「植物が大好き」と言う。加えて「結婚前、先輩に『家庭』には、『家』と『庭』が必要だよって言われたんです。ミートゥンダ(夫婦)オーエー(ケンカ)して奥さんが出て行っても、すばらしい庭があれば、後ろ髪引かれて帰ってくるって。それがずっと頭に残っている」と話す。

朝、ラジオ体操をした後に水やりや草むしりをするのが日課。「『植物は足音を聞いて育つ』という言葉がある。その通りだと思います」と日々、愛情を注ぐ。



随所の琉球石灰岩で重厚感

強めに剪定 借景楽しむ

約30年前の新築時に、プロに依頼して作庭。赤瓦屋根の住居に合わせ「琉球石灰岩をふんだんに使い、趣ある庭にしたかった。石には結構、お金を掛けました」と話す。庭石だけでなく、石垣にもこだわった。

木々は以前の家にあったものを移植したり、友人に譲ってもらったり、こぼれ種などから徐々に増やしていった。中には、神里さんが高校時代から大事に育てている木もある。


最近、石垣周辺のクロキを大胆に伐採した。借景が見通せるようになったほか、「庭の木々も1本1本目が届くようになった」と話す

庭の管理は長年、1人でやっていたが「最近は、いとこに助けてもらっています」と話す。 「先日は、石垣沿いに茂っていたクロキを思い切って伐採しました。木に隠れていた岩も良く見えるようになったし、借景も見渡せる。いい感じになった。これからも気持ちの良い庭を維持したい」と神里さんは話した。


「どの植物にも思い入れがあり、どれもかわいい」と愛情を注ぐ神里さん


里道沿いの長い石垣は、まるで城壁のように迫力がある


深い庇の下には広々とした縁側があり、庭を見ながらくつろげる


庭の橋には井戸もつくった。実際に、井戸水を水やりなどに使っている


随所に多肉植物や花木も植栽され、庭の彩りになっている。写真は「倒れてしまったロッカクサボテンから、子株が出てきた。植物のたくましさを感じる」と神里さん
 
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2070号・2025年09月05日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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