庭・garden
2025年3月7日更新
【自分でつくる庭】大城徳明さん宅の庭|ヘゴやマツ調和〝和熱帯〟の庭園
このコーナーでは、施主自ら楽しみながら作った庭を紹介する。
大城徳明さん宅の庭(南城市玉城)
ヘゴやマツ調和〝和熱帯〟の庭園
S字の動線で奥行き演出
門扉(右側)から玄関(中央)へ続くS字の動線。石組みが先を緩く目隠しし、奥への興味を引く和風庭園的な造り。玄関へ向けて高くなる傾斜地であることも立体感を演出している
傾斜生かし立体感
立派な琉球石灰岩の石組みから、アレカヤシやヘゴ、とげとげしくワイルドなロストラータなどが葉を広げる。そばには、美しく剪定(せんてい)されたクロキやマツが鎮座。大城徳明さん(73)宅の庭は、和風庭園と熱帯系のロックガーデンをミックスした、唯一無二の〝和熱帯〟庭園だ。「単調な庭だと飽きてしまう。毎日眺めても、手入れをしていても楽しい庭にしたかったんです」と話す。
自宅を新築した約20年前から庭づくりを始めた。植栽はもちろん、石組みも「友人に手伝ってもらいながら自分たちでつくりました」。門扉と玄関は直線上にあるが、石組みを用いてS字の動線にした。もともとの敷地が、玄関へ向けて高くなる傾斜地ということもあり、立体感や奥行きを感じさせる。
最も高い玄関前から庭を見下ろす。背の高いヤシが高低差のある庭にメリハリを付けている
玄関前にたどり付くと、高台の借景を背にした和風庭園が広がる。岩や玉石による「枯山水(かれさんすい)」だが、アガベや多肉植物も違和感なく溶けこんでいる。「ただ植えると、全体がちぐはぐになってしまう。まずは鉢植えの状態で置いて、ちょっとずつ動かしながら向きや位置を何日も何日も悩み、しっくりきたところで直植えをします。それでもやっぱり違うと思ったら植え替える。4回、移動した植物もありますよ」。このこだわりで、〝和熱帯〟をうまく調和させている。
アガベやヤシなどの間に石灯籠が見える。和洋の要素を調和させるために「植栽の位置や向きを細かく調整している」
クロキの足元から、玉石でもす水が流れ出す「枯山水」。そこにアガペやロストラータも植栽。違和感なく溶けこんでいる
玄関前の庭の遠景。海まで望める借景も自慢
15日からオープンガーデン
お手製景物にワザあり
灯籠や照明などの点景物も大城さんのお手製。照明はブイを活用。花型にくりぬいて中にライトを仕込んだ。「夜は花の形に光があふれて、とても幻想的なんですよ」と笑顔。
ブイを花形にくりぬいた照明。「夜になると穴から光があふれて幻想的な雰囲気になる」と大城さん
また、3月15日(土)から始まる「第24回南城市憩いのオープンガーデン」に合わせて、大きな灯籠を手作りした。頭や足元は自然岩を利用し、笠部分はセメントで造った。岩と色を合わせるために「セメントが固まる前に墨汁を混ぜて、自然の色合いを出しているのがポイント」と話す。
今回のオープンガーデンに合わせて手作りした灯籠。笠の部分はセメントで作成した
「オープンガーデンには昔から参加していますが、毎回どこかしら模様替えをして、リピーターの人も楽しんでもらえるようにしています」と大城さん。「皆さんに見てもらえることは励みになるし、いろいろ教えてくれる人もいて勉強にもなっています。ことしも多くの方々との交流を楽しみにしています」と話した。
庭の一角には涼やかな水音を響かせる滝もある。滝や灯籠も大城さんのお手製。ゴツゴツした灯籠とクロキが力強さを演出
オープンガーデンは23日(日)まで。大城さんの庭をはじめ、個性豊かな24カ所(予定)の庭を見学できる。ぜひ足を運んでみて。
【第24回南城市憩いのオープンガーデン】
日程/3月15日(土)〜23日(日) 9時30分〜17時
観賞パスポート/500円(高校生以下無料)
問い合わせ/098-948-4660 (南城市観光協会)
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2044号・2025年03月07日紙面から掲載
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- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。