企業・ひとの取り組み
2025年4月18日更新
【人物紹介】「良い空間」を設計する|team DREAM 具志 好規 さん[ひと]
今月から本紙で「Aさんの家づくり完成までの道のり」の連載を始めた建築士の具志好規さん(44)。具志さんは「これから住宅を建てたい方々に完成までの工程や時間、考え方を紹介したい」と意気込みを語った。
沖縄らしい建築を継承

team DREAM
具志 好規 さん
〈プロフィル〉
ぐし・よしのり/1981年、那覇市出身。沖縄職業能力大学校卒業。住宅・商業施設・教会や公共施設など幅広く設計に携わっている。趣味は洋裁、観葉植物の栽培など。
◆team DREAM(チーム・ドリーム)
浦添市仲間3-8-1 2F 電話098・943・4881
http://www.dream-archi.com
―建築士としての転機は
幼少期から創作が好きでしたが、建築に興味を持ったのは中学生のころに自宅の建て替えを経験したことがきっかけです。更地になった場所から自宅が完成していく様子を見て、漠然と「建物を造るって面白そう」と思ったことを覚えています。
そこから高校・大学校と建築について学び、インターンシップで当時設計中だった沖縄県総合福祉センター(那覇市)の設計の手伝いをすることになりました。インターンでは模型製作の作業を担当したのですが、それがきっかけで設計を担当していた事務所である「チーム・ドリーム」に加わり、完成まで携わる事になりました。大きな現場だったのでたくさんの図面を作図する事になりましたが、最初は現場のイレギュラーな事に対応するのが難しく、現場代理人や職人に「この図面では作業ができない」と怒られながら仕事を覚えました。ですが、この経験で建築士として大きく成長できたので、今では良い思い出になっています。
―仕事で大切にしていることは
建築士の一番重要な仕事は、施主の要望を踏まえて良い空間や長持ちする建物を設計することだと考えています。良い空間とは、入ったときにわくわくするような夢のある空間や、生活する上で機能的・効率的な空間のことです。建物が完成して、施主が喜んでくれるのは建築士としてのやりがいですが、完成したときだけ喜んでほしい訳ではありません。完成後もその建物や空間を愛着を持って長い期間使い続けてほしいと思うので、時間をかけ、施主の要望や夢をうかがい設計に取り組みます。より良い空間を設計することは、建物の長寿命化や、環境を守ることにもつながると考えてます。
―「Aさんの家づくり完成の道のり」で伝えたい事と今後の目標は
今月から毎月第1週に連載している「Aさんの家づくり完成の道のり」では、Aさん宅が完成するまでの流れを通して、Aさんのライフスタイルや敷地、沖縄の気候風土に適した住まいづくりを建築士がどのように考えて設計したかを解説しながら、住宅が完成するまでに多くの方が情熱を持って作業に携わっている事を紹介したいです。
今後の目標は、沖縄の気候風土だからこそ生まれた住宅の技術を少しずつ改良しながら継承し、沖縄らしい建築を増やす手伝いができたらと思っています。

A邸の新築作業は現在も進行中。完成に向けて仕上げ工事を進めている(team DREAM提供)
今月から新連載開始
建築工事のポイントを解説

毎月第1週に掲載。写真や当時のメモを交えて分かりやすく解説している
第1回は、施主であるAさんとの出会いや、Aさんの要望である「人が集まれる場所」と「アマハジのような空間」がほしいという要望から、沖縄の気候風土に合う空間であるパティオ(中庭)を持つ住宅をテーマに設計を始めた。具志さんは「検討過程や作業の内容だけではなく、失敗やそこからのリカバリー方法など、完成までの道のりをありのまま伝えたい」と説明した。
取材/伊波克朗
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2050号・2025年4月18日紙面から掲載