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2025年3月21日更新

【人物紹介】県の防災を一貫でサポート|合同会社MIYA CREATE.・宮平辰義さん&宮平辰史さん[ひと]

おととしの4月、宮平辰義さん(40)は19年間、辰史さん(42)は21年間務めていた消防官を退職し、合同会社「MIYA CREATE.」を設立した。「私たちのこれまでの経験や知識、技術を生かして県内の防火・防災体制の構築に貢献していきたい」と決意を語った。

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元消防官の経験糧に兄弟で起業


合同会社MIYA CREATE.
代表社員 宮平辰義さん(左)・副代表社員 宮平辰史さん(右)


〈プロフィル〉
◆みやひら・たつよし/1985年 豊見城市生まれ。2004年那覇市消防本部(現那覇市消防局)採用。2023年3月に那覇市消防局を退職。同年4月に合同会社MIYA CREATE.を設立し、代表社員に就任。

◆みやひら・たつふみ/1982年 豊見城市生まれ。2002年那覇市消防本部(現那覇市消防局)採用。2023年3月に那覇市消防局を退職。同年4月に業務執行社員に就任。

◆合同会社MIYA CREATE.
 豊見城市翁長854-1 MEGAドン・キホーテ 6F 電話=098・840・0888
 hhttps://www.miyacreate.co.jp



―会社の事業内容は

辰義 防火・防災活動支援事業が主。自治体や児童施設で訓練指導や研修、ライフラインが停止したときでも電気を供給する太陽光パネルや蓄電池などの販売や設置をしています。

他にも太陽光を主な動力源とした自販機と備蓄倉庫を組み合わせた「流通在庫備蓄倉庫」を開発し、普及活動も行っています。これまで備蓄水の多くは使用されずに廃棄されていた事に着目し、普段は一般販売することで備蓄水を流通させ、売れた分をその都度補充する事で廃棄量の削減と財政の負担を減らすほか備蓄倉庫の位置を周知するのが目的。現在は那覇市の新都心公園に設置して実証実験を行っており、来年度には各地での設置を目標としたい。

辰史 私は21年間、代表(弟)は19年間消防官を務めていました。在職期間中に私は東日本大震災、代表は熊本地震が発生した時に緊急消防援助隊として被災地に派遣された経験があります。現地での救助活動を経験し、「陸続きでない沖縄で同様の災害が発生したら、県外からの応援や支援物資の輸送に時間がかかる。それまでは県民の力で乗り越える必要がある」と強く思い、消防官として現場で得た知識や技術を発信し、県の防災をソフト面・ハード面の両方から一貫してサポートするために起業しました。


県同社が開発した新型備蓄倉庫。通常時は備蓄水を流通させ、売れた個数を倉庫内から補充し、新しい飲料水を倉庫に備蓄することで消費期限が更新される(MIYA CREATE.提供)​

―業務で大切にしていることは

辰史 「災害に対する不安を訓練を通して減らせるようにする」です。私たちは被災地での経験から実際の状況に基づいた訓練や研修などを行っています。東日本大震災では、保護者と連絡が取れず保育園で3日間園児を預かっていたケースがあった。訓練では実際に保護者の方に安否確認のメールを送り、返信状況を確認してすぐに迎えに来られない可能性がある児童数を把握し、夜間の宿泊体制を構築するなど過去の災害の事例から学び、備える防災行動を提案しています。

辰義 「正しい情報をわかりやすく伝える」ことを意識しています。自分が消防官として経験したことは当たり前の経験や知識ではないと退職してから改めて気がついた。だからこそ研修では丁寧な説明を心掛けています。前職では防火管理者講習の講師もしていたので、テキストベースの内容ではなく自分の言葉で話せるのが強み。災害を経験したことがない方に正しい情報を基に備えてもらうことも私たちの役割です。

―今後の目標は

辰史 災害発生時に大事になるのは自助と共助。これまでの大きな災害でも、助かった方の大半は自助や共助によるものだった。私たちの経験を伝え、アイデアを形にすることで災害に強い地域作りに貢献したい。

辰義 今後発生が予想されている南海トラフ地震などの大規模災害に備えて、弊社の目標である「持続可能な防災体制の構築」を目指し、これからも地域の課題解決に挑戦します。
 

宜野湾市で防災研修

宜野湾市職員を対象にした防災研修。宜野湾市地域防災計画の概要などを伝えた(MIYA CREATE.提供)

昨年8月27日に、宜野湾市の災害応急業務担当する職員を対象に全3回に分けて防災研修を実施した。第1回目の講義は、宜野湾市地域防災計画の概要や沖縄県・宜野湾市の災害リスク、熊本地震・能登半島地震の被災市町村の災害対応の確認などについて研修を行った=写真

「私たちが行政出身だからこその防災研修の内容だったと思う。消防官時代に培った知識や経験を基に行政や福祉施設などに防火・防災サポートを行いたい」と意欲をみせた。

取材/伊波克朗
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2046号・2025年3月21日紙面から掲載

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