企業・ひとの取り組み
2025年1月17日更新
【人物紹介】施主と関係者みなを笑顔に|一級建築士事務所 株式会社スリールデザイン・野里雅樹さん&野里美幸さん[ひと]
昨年10月、読谷村にある3階建ての自邸の一角に夫婦で事務所を構えたスリールデザインの野里雅樹さん(47)と美幸さん(50)。「分離発注ならこだわりの家づくりをより納得して適正価格で行える。お施主さんと関係者みんなが笑顔になる家づくりを目指します」と意欲を燃やす。
分離発注で納得の家づくりサポート

一級建築士事務所 株式会社スリールデザイン
一級建築士 野里美幸さん(左)・代表取締役 野里雅樹さん(右)
〈プロフィル〉
◆のざと・みゆき/1974年 読谷村生まれ。県外の不動産会社設計部。2003年~24年、(有)真玉橋設計事務所に勤務。24年、株式会社スリールデザインを設立し取締役に就任。一級建築士。
◆のざと・まさき/1977年 那覇市生まれ。県内設計事務所で勤務。2003年~24年、(有)真玉橋設計事務所に勤務。24年、株式会社スリールデザインを設立し代表取締役に就任。建築士。
◆一級建築士事務所 株式会社スリールデザイン
読谷村高志保1276-1 電話=098・975・8924
http://www.souriredesign.net
-事務所名に込めた意味は?
美幸 スリールはフランス語で笑顔という意味。つくる過程から楽しんでもらってトラブルなくお引き渡しができ、アフターフォローも含めて、お施主さん、そして家づくりに関わるすべての人を笑顔にしたいとの思いを込めています。
雅樹 独立して3カ月ですが、おかげさまで前職の真玉橋設計事務所で設計したお施主さんから今でも連絡をいただきますし、ご紹介も多いです。
-大切にしている点や強みは?
雅樹 前職でお世話になった真玉橋朝雄所長の教え、「常に誠実であれ」ですね。また、そこで身につけたコスト管理や分離発注による家づくりの手法が私たちの強みです。
分離発注とは、施主が大工や電気、内装工事などの各業者と直接契約を結んで家づくりを進める手法のこと。現場に要望が伝えやすく、中間マージンが省け建築コストも抑えられるメリットがあります。業者と直接やりとりと聞くと不安に思われる方もいますが、私たちCM(コンストラクション・マネジメント)がお施主さんの立場で建物の性能・品質・コスト・工期をマネジメントしサポートしますので、こだわりの家づくりをより適正価格で行えます。例えば35坪のRC住宅を同じ条件で建てた場合、一括発注に比べ約10%コスト圧縮が可能です。
美幸 2年前、自分たちも家を建てたからこそ共感できアドバイスできる点が増えました。例えば、メーカーにもよりますが、トイレの水洗の音は想像以上に大きいとか(笑)。コストダウンの手法もしかり。わが家の場合、3階のLDKは上質感のあるタイルを使い、2階のプライベート空間はタイル調のビニール床を土間に直貼りしていますが、思いのほか見た目も足触りも良く、オススメです。ほかにも回遊できる間取りや収納計画、内装や設備まで、設計中のお施主さんにはモデルルーム代わりにわが家を案内。スケール感や使い勝手がイメージしやすいと喜ばれています。
雅樹 打ち合わせは2人で担当。大まかな設計やコスト、現場監理などは私が、動線や収納計画など使い勝手良くブラッシュアップするのが妻と、役割分担できている点も強みです。

自邸の3階テラス。LDKとオープンにつながり、大パノラマで美しい夕日を堪能できる(スリールデザイン提供)
-住宅設計の面白さは?
雅樹 お施主さんとのコミュニケーションに尽きますね。夢をお話ししていただくので私たちも楽しい! 思いをカタチにするためにも大切だと考えています。そんなお施主さんの期待を必ず超える提案ができるよう努めるのが私たちの役目。完成後「とってもいい!」と喜んでいただけたら最高です。
美幸 打ち合わせはどうしても細かくなりますが、「思っていることを汲み取ってくれたんですね」と喜んでいただけた時は、本当に良かったとホッとしますね。これからも、みなさまのこだわりの住まいを共に作り上げるパートナーとして、メンバー一堂力を尽くします!
自宅兼事務所 読谷村に

読谷小学校向かいに立つ3階建ての自邸兼事務所。植栽に囲まれた杉板模様の壁と照明に照らされた看板が目印
昨年10月、読谷小学校向かいにオープンした一級建築士事務所株式会社スリールデザイン。3階建てになっている野里さん宅の2階の1角にある。「お施主さんがやりたいこと考えていることをカタチにし、家づくりに携わるすべての人が笑顔になり、安心、そして信頼のできる家づくりのパートナーとなるのが目標」と野里雅樹代表。今後、そうして建てた建物の完成見学会の情報はSNSで発信する。
4月からは省エネ基準義務化も始まるが、沖縄新エネ開発とパートナー契約を結び、初期設置費用ゼロで太陽光パネル・蓄電池が利用できる「かりーるーふ」も導入。平日は仕事を終えてからの相談も受け付ける。
4月からは省エネ基準義務化も始まるが、沖縄新エネ開発とパートナー契約を結び、初期設置費用ゼロで太陽光パネル・蓄電池が利用できる「かりーるーふ」も導入。平日は仕事を終えてからの相談も受け付ける。
取材/徳正美
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2037号・2025年1月17日紙面から掲載