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2023年4月7日更新

【プロがつくる庭】小スペースに凝縮 造園技能の腕競う|第8回沖縄県造園技能競技大会

使用する植物や資材、広さ、時間など、同じ条件のもとで庭をつくり、技術やデザインを競う「第8回沖縄県造園技能競技大会」が2月23日、那覇地域職業訓練センターで開かれた。参加チームの作品を紹介する。

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和風と洋風がミックス

県造園技能競技大会(主催・県職業能力開発協会、日本造園組合連合会沖縄県支部)は、造園技能の向上や、技能士について多くの人に知ってもらうことを目的に、毎年開催されている。

競技は、2・8メートル×2メートルのコンクリート土間に、各チーム2人で庭を造っていくというもの。制限時間は5時間。四つ目垣を製作する指定課題のほかは自由で、その技能やデザインを競う。植物や石、木材などは同じ材料が支給されたが、植物と修景物1点ずつの持ち込みは許可された。

今回は4チームが出場し、比嘉耕太さん(沖縄ガーデン)と塩浜康起さん(塩浜園芸)のチームが金賞に輝いた。比嘉さんは「仕事終わりに2人で集まり、決められた材料をどう生かすかイメージを共有しながら考えていった。その結果が評価されてうれしい」。塩浜さんは「昨年、1級園芸技能士に合格し、四つ目垣の製作には自信があった。違う会社の耕太さんと組めて勉強にもなった。この経験を仕事に生かしたい」と話した。

審査委員の仲村弘喜さんは「四つ目垣の寸法や施工の仕方で差が出たが、どの作品も和風庭園と洋風庭園をミックスさせた形で創造性に富んでいた。今後の仕事も創意工夫しながら頑張ってもらいたい」とエールを送った。


金賞
(株)沖縄ガーデン+塩浜園芸 比嘉耕太さん(左)、塩浜康起さん
(株)沖縄ガーデン+塩浜園芸
比嘉耕太さん(左)、塩浜康起さん



作品のポイント
右奥の山から流木を伝ってくる水の流れや砂利の水辺を、あずまやにある竹のベンチから眺めてほっと一息つける庭をイメージ。地面に石を敷き詰める「延べ段」や、砂浜を表現する「州浜」など、和風庭園の手法を取り入れている。

評価ポイント
コケに覆われた築山(小さな山)のバランスがよく、流木の使い方も自然らしく見える。日本庭園の手法を取り入れながら、れんがと玉砂利をうまく組み合わせている。手前と奥でメリハリがあり、余白の使い方が上手。四つ目垣も完璧だった。

角の丸い石を敷いて浜を表現した州浜。砂地は水が引いた様子を表している
角の丸い石を敷いて浜を表現した州浜。砂地は水が引いた様子を表している

赤瓦が載ったあずまや。地面は、延べ段の手法でれんがを使っている
赤瓦が載ったあずまや。地面は、延べ段の手法でれんがを使っている


 

銀賞
許田植木 許田裕之さん、本田明さん
銀賞 許田植木 許田裕之さん、本田明さん
作品のポイント
折れて倒れている竹と、倒木から出るキノコを使って、「山の一角で朽ちていくものと新しい命」を演出。石の間や瓦の下など随所に隙間を設けることで、生き物の気配も感じられるようにした。

木の間にはヤシ殻繊維で作った鳥の巣を配置。生き物の気配を感じられる
木の間にはヤシ殻繊維で作った鳥の巣を配置。生き物の気配を感じられる

手彫りの石獅子が精霊のようにたたずむ。その足元にはキノコが生えている
手彫りの石獅子が精霊のようにたたずむ。その足元にはキノコが生えている



銅賞
末吉園(株) 宮城辰彦さん、又吉裕二朗さん
銅賞 末吉園(株) 宮城辰彦さん、又吉裕二朗さん
作品のポイント
手前はれんがを使った洋風で現代チックな庭園、奥は小さな滝口がある古風な琉球庭園をイメージし、それを四つ目垣で緩く仕切った。入り口から飛び石を渡った正面には、古い工法で作る「版築(はんちく)土塀」を配置してインパクトを出した。


土を突き固めて作る版築(はんちく)土塀
土を突き固めて作る版築(はんちく)土塀

奥側にある、滝口をイメージした瓦
奥側にある、滝口をイメージした瓦



奨励賞
(株)平成造園+西里造園 原田匠治さん、西里直樹さん
奨励賞 (株)平成造園+西里造園 原田匠治さん、西里直樹さん
作品のポイント
コンセプトは「結ぶ」。左側を西里さん、右側を原田さんが担当し、その間に設けた竹製の橋が「異なる会社の架け橋」となって両エリアを結んでいる。右手前の植栽部分はれんがでミンサー柄を作って沖縄らしさも出した。


二つのエリアを結ぶ竹製の架け橋
二つのエリアを結ぶ竹製の架け橋

四つ目垣にとまるトンボ。シュロ縄で作った
四つ目垣にとまるトンボ。シュロ縄で作った


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1944号・2023年4月7日紙面から掲載

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スタッフ
出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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