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庭・garden

2021年2月5日更新

【プロがつくる庭】喧騒を和らげる庭 技ちりばめ広がり

vol.12 このコーナーでは、プロが作った庭を紹介する。今回はガーデン小屋のあるかわいらしい庭を紹介する

Tさんの庭(糸満市)

迫力ある水音響く

庭の良さは住まいと外界を切り離し、安らぎを感じさせてくれること。Tさん宅の庭は、その魅力が光る。 外塀沿いに植栽された木々が前面道路や近所の家をやんわりと隠し、高さ1・5㍍ほどの滝は、ドドドッと水音を轟かせる。大自然を摸した石や植栽が住宅街の喧噪を和らげる。

見せない演出」で想像膨らませ

主庭の広さは8平方㍍ほど。限られた面積の上、庭の中央には家の柱が建つ。決して恵まれているとはいえない場所だが「見せない場所、見せる場所のメリハリを付けることで広さを演出した」と手掛けた庭師は語る。 主庭は門を入ってすぐのところにあり、力強く枝を伸ばすクロキや建物の柱が滝を隠す。水音はすれど姿は見えない。想像を膨らませながら歩みを進めると、どっしりとした滝が現れる。狭い場所でも「先」を感じさせる技が広がりを生む。

Tさん宅の主庭。建物の柱を避けながら庭や石を配した。外塀沿いに高木を配し、外界を遮る


門側から主庭を見る。一番奥に滝があるが、木や柱で目隠しされていてここからは見えない。「見せない演出」で先を想像させ広さを感じさせる

細長い庭を「大海」に


既存の木活用しコスト減
滝から流れ出した水は足元に落ち、また上から流れ出てと循環しているが、庭のストーリーは続く。水を摸した白い砂利が、敷地の奥へ続く側庭へと広がっていく。幅1・5㍍ほどの細長い空間ながら、そこは「大海」。大きなマツや存在感のある石橋が雄大な印象を醸す。窮屈さを感じないのは庭師の技だ。

敷地の奥へと続く側庭。幅1.5メートルほどの細長い空間に、砂利で摸す「大海」が広がっている

例えばあえて手前のリュウキュウマツで視界を遮りつつ、その先を開けさせることでトンネルを抜けたような開放感を演出。さらに一番奥には袖垣を設け、「突き当りを隠すことで、まだ先があるように感じさせている」。

奥には石橋や最奥の畑を目隠しする袖垣が配されている。奥へ向かい、見どころをちりばめることで奥行きを感じさせている

さまざまな見どころを作りつつ、「Kさん宅にもともとあった木や廃材を利用することでコストを抑えた」。5年前、家の建て替えを機に庭造りを依頼された。その際、以前の庭にあったクロキやマツ、サルスベリやシャリンバイなどを植え直した。袖垣に使っている木は廃材を活用。住居と主庭の間には、手水鉢や灯籠を配した「水場」を設置。そこにも廃材の欄間が飾られている。

水場の角には石積みが、足元には石を敷き詰めた延べ段が走る。「細かな場所にも技をちりばめ、見どころをたくさん作った。広がりを感じさせつつ飽きがこない庭になるよう心がけた」と庭師は話した。
主庭と住居の間にはつくばいなどのある「水場」がある。灯籠や石積み、欄間を利用した飾りを設置している

主庭の一番奥にある滝。高さは1.5メートルほどと、さほど大きくはないが大きな水音を響かせる。「水が落ちてくる『水受け石』の置き方で音が変わる。見た目の良さとともに、迫力ある水音になるよう工夫した」と庭師は話す



毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1831号・2021年2月5日紙面から掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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