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2020年12月31日更新

【プロがつくる庭】年末年始特別編[2]

プロがつくった庭を取り上げるシリーズの年末年始特別編。今回は、二つの和風庭園を紹介する。

かりゆしぬ村(名護市)
大らかな中庭で美と品格を表現


「かりゆしぬ村」の中庭には、約4平方メートルの二つの平庭が並び、奥行きを感じさせる


二つの庭が奥行き演出

利用者の動線も考慮

約4平方メートルの平らな「平庭」が手前と奥、縦に二つ並ぶ。正面玄関の真正面にあり、奥行きを感じる。特別養護老人ホーム「かりゆしぬ村」(社会福祉法人松籟会・仲兼久文政理事長)の庭は四方から見られる中庭にあるため、あえて起伏を付けず、横や上からでも美しく見えるよう配慮されている。「植栽や延段、飛び石なども斜めに配置。どこから見ても『表』になるよう意識して造った」とナカムラ造園土木の仲村弘喜さんは話す。

利用者の動線や排水設備に配慮して二つの庭を3メートルほど離しつつ、枯山水の物語でつなぐ。「一番奥の松の下に源流がある。そこから砂利の清流が流れ出し、手前の庭まで広がっていく」。起伏の少ない平庭は、大らかな海を思わせる。

その“水”の間を走る飛び石や延段には、縄で結わえられた小さな石が鎮座している。「これは茶庭などで用いられる『関守石』。通行止めを意味する」と仲村さん。道が交錯する場所に配し、利用者の動線をそっと導く。

延段の脇にある背の低い竹垣は「金閣寺垣」。その名の通り、金閣寺にも用いられてお り、上部に割竹が施されている。シンプルだが品格を感じる造りだ。平たんで小さな庭の中に、大自然と造園の技が詰まっていた。


奥の庭。石で水を模す枯山水のストーリーは、最奥の松の足元から始まる。流れ出た小さな源流は砂利で模す清流となり、手前の庭が表す大海へと広がっていく


中庭のため、半日陰でも育ちやすいクロキやサツキ、タマリュウやムラサキオモト、アジサイ、ジャワサンダンカなどを植栽している。また、四方の窓から見られることを意識して延段などは斜めに走らせ、どこから見ても「表」になるようにした
 

道が交錯する場所には、縄で結わえられた小さな石が鎮座。茶庭で通行止めを意味する「関守石」だ

設計・施工/ナカムラ造園土木
☎︎098・964・5670




Oさん宅(八重瀬町)
赤瓦の家と融合 自然な琉球庭園


琉球石灰岩をふんだんに使った庭。赤瓦の家にマッチしている。右側の大きな岩がひんぷん


木に囲まれ「沖縄らしく」

大きなひんぷん岩鎮座

駐車場から玄関に向かう。アプローチの足元に用いられているのは琉球石灰岩だ。野趣あふれる大ぶりの乱形で、思わず歩みもゆったりとなる。

門を入ると、家を守るように鎮座する大きな岩に突き当たる。存在感はあるが、どっしりと優しい雰囲気を醸す。Oさん宅の庭を手掛けた金勢造園の知念政徳代表は、「これは家を災いから守る『ひんぷん』です。Oさん宅は、昔ながらのうちなー家的な外観。庭も沖縄らしい雰囲気になるよう心がけました」と話す。

280トンもの琉球石灰岩の間に、フクギやガジュマル、クロキやアカバナーなど沖縄を代表する植物が枝を伸ばす。「木々は手を入れず、自然の樹形を生かしています」。その効果で優しく、温かみのある琉球庭園となっている。

琉球石灰岩のアプローチを抜けると、起伏に富んだ緑の丘が広がる。「実は人工的に作った『築山』です。凹凸を付けることで庭に奥行きが生まれます」。フクギの屋敷林に囲まれたそこは、子どもたちの遊び場にもなっている。

石で人を導き、ひんぷんが家を守り、豊かな緑の中を子が駆ける。まさに古き良き沖縄の姿が表現されていた。


琉球石灰岩の主庭の向こうには、なだらかな起伏のある「築山」がある。人工的に作った山で庭に立体感と奥行きを生む


門扉の前には大きなガジュマル。もともとこの敷地に生えていたもの


駐車場から玄関へ続くアプローチ。大ぶりの琉球石灰岩の切り石が歩みを誘う

設計・施工/金勢造園
☎098・946・7800

関連記事:【プロがつくる庭】年末年始特別編[1]


編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1826号 第2集 ・2021年1月1日紙面から掲載

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東江菜穂

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週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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