住まいの法律・制度
2021年1月22日更新
[沖縄建築確認検査センターに聞く「グリーン住宅ポイント制度」の活用]30万円相当のポイント付与
「グリーン住宅ポイント制度」は、省エネ基準など一定条件を満たす住宅を取得すると、商品などと交換できる30万円相当のポイントが受け取れる制度。沖縄建築確認検査センターの賀数保男さんは「省エネ基準が緩和されて条件を満たしやすくなったので、ぜひ活用して」と話す。今、住宅取得を考えている人には見逃せない制度の概要を解説する。
21年10月末までに契約
国土交通省は、コロナ禍で落ち込んだ経済の回復を図るため、「グリーン住宅ポイント制度」を2020年12月15日に創設。省エネ性能など一定の条件を満たす住宅を新築・購入・リフォームすると、商品などと交換できるポイントが受け取れる。1ポイント=1円相当で、発行ポイント数は30万ポイントが基本だ。第一にチェックすべきは、契約の時期。工事請負または売買契約が、20年12月15日〜21年10月31日までに締結していることが条件だ。今まさに住宅取得などを考えている人にとって、見逃せない制度ではないだろうか。次に、新築、リフォーム、中古住宅の購入について、それぞれの条件を見てみよう。
省エネ住宅新築で30万ポイント
注文住宅を新築する、または新築の分譲住宅を購入する場合は、省エネ性能をチェック=1。省エネ基準に適合する住宅なら、30万ポイントが受け取れる。さらに、特例に当てはまる場合は60万ポイントに増加。特例は①玄関などが二つ以上ある3世代同居仕様②18歳未満の子どもが3人以上いる多子世帯が取得する③東京圏または④災害リスクが高い区域から移住する住宅が対象。
また、高い省エネ基準に適合、つまりZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や長期優良住宅などに認定される住宅であれば40万ポイント、特例だと100万ポイントが受け取れる。
中古購入に除却+15万ポイント
中古住宅の購入では、主に取得目的をチェック=2。空き家バンクに登録された住宅を購入する、東京圏または災害リスクが高い区域から移住するために購入する場合は30万ポイント、住宅の除却に伴う購入の場合は15万ポイントが受け取れる。なお、空き家バンクまたは移住で住宅の除却を伴う場合は、15万ポイント追加され、45万ポイントが受け取れる。
若者・子育て世帯は上限UP
住宅のリフォームでは、断熱改修やエコ住宅設備の設置が必須=3・4。工事別に0・2万〜15万ポイントが発行され、上限30万ポイントまで受け取れる。ただし、工事別発行ポイントの合計が5万ポイント未満の場合は対象外。中古住宅を購入してリフォームする場合は、各工事のポイントが2倍になる。
特例には世帯構成で上限アップも。40歳未満の若者世帯、18歳未満の子どもがいる子育て世帯がリフォームすると、上限が45万ポイントに引き上げられる。それ以外の世帯でも、耐震など一定の安全性が認められた「安心R住宅」を購入すれば、上限が引き上げられる。
基準緩和で適合可能性大
沖縄建築確認検査センターの賀数さんは、住宅の新築について、「鉄筋コンクリート造の住宅(RC住宅)は、これまで沖縄の省エネ基準が厳しくクリアしにくかったため、ポイント制度などを活用するメリットが少なかった。だが、19年に基準が改正。一般的な造りのままで基準をクリアする可能性が高くなった。今回のポイント制度の条件に当てはまる住宅の幅が広がっているので、ぜひ建築士に活用の相談をしてみて」と呼びかける。外皮基準がクリアのカギ
新築における同ポイント制度の基本条件は「省エネ基準=下表参照=への適合」。そのためには①外皮基準=屋根・外壁・窓などの断熱性能②一次エネルギー消費量基準(一次エネ基準)=太陽光発電などによる創エネ量から、冷暖房・照明などで使うエネルギー量を差し引いた住宅の総消費エネルギー量—の二つに関する基準をクリアしなければならない。「一次エネ基準は、省エネタイプのエアコンやLED照明を使うなど、設備変更で消費エネルギーを抑えることができ、基準をクリアしやすい。一方、外皮基準はこれまで3・2以下とされ、ハードルが高かった」。だが、日射による熱の影響の許容幅を大きく緩和し、「6・7以下」に改定されてハードルが下がったことが、今回のポイント制度活用の大きなカギになる。
省エネ対策なしで活用も
過去の事例調査=下表=によると、RC住宅の外皮平均値は5・9、緩和前の外皮基準3・2以下をクリアするのは0件だった。一方、現在の基準(6・7以下)に当てはめてみると、そのほとんどが基準をクリアする。
さらに、同センターでは外皮基準をクリアする住宅の造りを整理=下図。昨年省エネ関連のポイント制度に申請された住宅事例をみると、「窓ガラスには単板ガラスを使い、断熱材は屋上にのみと一般的な造り。特に省エネ対策をせずとも基準をクリアする可能性があることが分かった。このことから、今回のポイント制度の条件を満たす住宅の幅が広がったと言え、特別な対策もいらず、活用のメリットがあるだろう」。
説明義務の資料にも
今年4月から一般住宅には省エネ基準への適合性について建築主への説明が義務化。「ポイント申請に必要な証明書や性能評価書は、説明時の資料にもなる。省エネ性能評価は、建築士にとって今後必要なスキルになるだろう」と話した。
◆ポイント制度に関する問い合わせ
住宅ポイント制度コールセンター
03・6730・5414
午前9時〜午後5時
詳細や今後のスケジュールについては国交省ホームページで公開
◆グリーン住宅証明書や省エネ性能評価方法に関する問い合わせ
沖縄建築確認検査センター(那覇)
098・851・3382
午前9時〜午後4時(平日)
*2月頃から相談窓口を開設予定。毎週水曜午後2時〜同4時の2時間
賀数保男さん/沖縄建築確認検査センター企画調整課長。同センターは県内多数の建築確認検査を行う
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1829号・2021年1月22日紙面から掲載