企業・ひとの取り組み
2020年12月18日更新
紅型の魅力を世界へ発信|下地秀樹さん アラヤプランニング(株)代表取締役
アラヤプランニング(株)の下地秀樹代表取締役(47)は、紅型を本革、ガラスなどと組み合わせた日常品を提案するブランド「紅(びん)琉(りゅう)」を展開。「暮らしの中から紅型を世界へ広げ、業界を盛り上げて伝統を継承させたい」と熱く語る。
活用広げ食器や壁紙に

下地秀樹さん
アラヤプランニング(株)代表取締役
-紅型による新しい提案が数々あるがその思いとは?
紅型は後継者不足や技術の継承が難しくなっていて危機的状況にあります。しかし沖縄の誇る伝統工芸をなくしたくない。そこで紅型を特別なものではなく身近に感じてもらえるよう暮らしになじむデザインにし、伝統を暮らしで語り継ぎたいと考えました。
そのため、製品は古典柄と手作りにこだわっています。実際に使うことで手染めの魅力を知り、半襟、帯、着物へと本物の紅型を持つ人が増えていく、そのきっかけになりたいと思っています。
-下地さんの役割は?
当社のブランディングと販路拡大を図ること。常にデザイン担当の妻と打ち合わせしながら、商品開発を行っています。
紅型壁紙=下=も妻がずっとやりたがっていたのですが、私が戦略をしっかり立ててから、と待たせていました。そのかいあってか、今年2月の東京インターナショナル・ギフト・ショーで発表したところ、3千余りの出展社の中からベストブースデザイン賞を受賞できました。
-今後の目標は?
温故知新をモットーに、ものづくりの気持ちを大切にしながら、紅型を世界に広めていく先駆者になりたい。
フランスで開かれた見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも出展しましたが、紅型は好評で南仏やモナコなどで人気です。しかし、海外だけでなく日本でも、沖縄の紅型について認知度を上げる努力が必要です。紅型の素晴らしさをアピールし、伝統の継承を含めた人材育成につながるよう業界を盛り上げたいです。
新作「紅型壁紙」シリーズ
国内外で注目集める
紅琉は12月5~7日、那覇市久茂地のタイムスビルで展示販売会を開催した。今年、発表した新作「紅型壁紙」が訪れる人の注目を集めた。
フランス・パリでの見本市「メゾン・エ・オブジェ」で発表したもので、紺色を基調に、沖縄の海に揺れるサンゴ礁を花に見立てた。壁紙は妻のナホさんが手染めしたデザインをスキャンしてテキスタイル化し、特殊な機械でプリントを施したもの。古典柄など11種類がある。
早速ハウスメーカーやホテル関係者から相談を受けたという下地さんは「ホテルエントランスの柱や、病院カウンターなど、優しい雰囲気にしたい空間のイメージアップになる」と自信を見せた。
「紅琉」の紅型壁紙
しもじ・ひでき/1973年、宮古島市出身。県内広告代理店での営業勤務を経て、妻のナホさんと京都に移住。観光土産関連の直営店を全国展開する会社で商品開発、販売促進に携わる。2006年、帰沖。紅型を活用した日常品を製造するブランド「紅琉」を立ち上げる。愛犬・クルミとの散歩が趣味。
◆アラヤプランニング(株)
宜野湾市宇地泊86
電話098・914・4855
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1824号・2020年12月18日紙面から掲載