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2017年10月20日更新

考えよう!沖縄の省エネ住宅[03]|基準値を満たす住宅とは?「省エネ住宅基準 その実態は①」

文・松田まり子/「建築物省エネ法」施行に伴い、沖縄で住まい造りを考える上で知っておきたい点を、NPO蒸暑地域住まいの研究会の松田まり子さんにつづってもらう

省エネ住宅基準 その実態は①

基準値を満たす住宅とは?

建て方が悪いわけではない

前回、住宅では外皮基準(外気と接している屋根や壁、窓などの性能基準)と一次消費エネルギー基準の二つの基準があることをお話ししました=図①。

私たちは、鉄筋コンクリート造9件、木造2件、混構造5件の合計16件の住宅について外皮基準を計算しました=表①。この中で基準を満たしている住宅は何件あると思いますか? 驚くかもしれませんが、モニタリングした住宅の全てが外皮基準3.2以下を満たしていませんでした。現在は300平方メートルを超えない住宅は対象となっていないため問題ありませんが、2020年にはすべての住宅で義務化予定となっているので、このままというわけにはいきません。建て方が良くないのか、基準が実情と離れているからなのか、原因を突き止め対策を立てる必要があります。

一方、私たちNPOは以前に県内に建っている住宅が1年間でどのくらいエネルギーを消費しているか調査したことがあります。結果が表②です。標準的なRC住宅の年間一次エネルギー消費量は、66.6GJ(ギガジュール)と試算されていますので、これらは決して高い値ではありません。つまり、間違った建て方はしていないように思えます。




 

50万円~150万円の建設費追加

では、どうすれば基準値に合う仕様になり、そのための費用は幾らなのでしょうか?

糸満市にある築5年の混構造住宅の場合、外皮基準は6.1になりました。これを基準値である3.2まで減らすには、全ての窓ガラスを単板ガラスから断熱性の高いLOW-E複層ガラスに変更し、屋根の断熱材を現在の厚み25ミリに50ミリ追加。さらに全ての窓にひさしを1メートル追加することでクリアできることが分かりました。一次エネルギー消費量基準に関しては、基準値50.1GJのところ、設計値が52.8GJでした。主寝室およびその他の居室の換気回数5回/hとなる手法を用いることでクリアできる計算になりました。

また那覇市にある築6年のRC住宅の場合、外皮基準は3.6で、これを基準値3.2まで減らすには、全ての窓ガラスを遮熱性の高い熱反射ガラスに変更する必要があることが分かりました。一次エネルギー消費量基準は、基準値60.9GJのところ設計値が39.6GJでしたので、何もしなくてもクリアできる計算になります。

これらの事例から、外皮基準と一次エネルギー消費量基準の二つの基準値をクリアするには50万円~150万円程度の建設費が追加になる可能性があると言えます。

ところで後者のRC住宅で実際の年間一次消費エネルギー量を計測したところ、40.2GJでした。外皮基準値に合わせるために費用を追加して施工することは、本当に意味があるのでしょうか。次回は、そのことについて考えてみましょう。
 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1659号・2017年10月20日紙面から掲載

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