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2025年5月23日更新

デマンド監視装置で 事業所全体を省エネ|省エネ診断⑬

文・写真/名嘉光男(NPO法人 沖縄県環境管理技術センター)

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デマンド監視装置で 事業所全体を省エネ

中小企業のエネルギー使用状況を調査し、省エネの工夫を提案する「省エネお助け隊」。県内でお助け隊として活動するNPO法人・沖縄県環境管理技術センターの名嘉光男さんが実際の調査結果を基に省エネのヒントを紹介する。


今回の省エネ診断事例は
那覇青果物卸商事業協同組合(那覇市港町)

同事業所は築44年が経過しており、業容の拡大により別棟の増築を行っていて現在は5棟ある


◆那覇青果物卸商事業協同組合の現状
冷蔵庫のクーリングコイル
 
冷凍機


多数の冷蔵庫

今回の省エネ診断事例は輸入青果物卸売業の那覇青果物卸商事業協同組合です。業務内容としては、搬入した輸入青果物を植物検疫検査をした後、冷蔵庫で保管したり、加工室で追熟したりして、組合員へ搬出しています。

冷蔵庫は30室あり、青果物の種類により設定温度を調節しています。冷蔵くん蒸倉庫を設置しているのも特徴です。冷凍機は25台あり、常時稼働しているためエネルギーを多く消費しますが、温度管理の徹底により最大電力量は減少傾向です。

使用エネルギーは電力のみ。使用状況としては、事務所系統の空調設備は個別空調方式。エアコンは順次、高効率型に更新中です。照明設備のLED化はおおむね済んでいます。給湯設備は設置していません。部分的にデマンド監視装置を設置しています。冷凍機は順次、高効率型に更新していますが旧型も多数あり、経年劣化による効率の低下、故障も発生しています。


見える化と目標値設定

 全社的に省エネ意識は高く、継続的に省エネに取り組んでいますが、具体的な目標値は設定しておらず、グラフ化などの「見える化」は実施していません。

そこで、電力の使用状況をリアルタイムで監視し見える化する「デマンド監視装置」の設置を提案しました。そうすることで、部分的ではなく全社的に電力の使用方法やタイミングを知ることができ、工夫次第で「契約電力」が下がり「電力消費量」の削減ができます。

冷凍機はインバーター制御の高効率型に更新することで年間を通し省エネ運転を実現できます。

さらに、管理標準を作成・活用することで事業所全体のエネルギーバランスの最適化が達成できます。そのほか七つの提案をし、実施による予想削減金額は年間で625万5000円です。

 
◆省エネ診断による提案事項
運用改善
①事務所の冷房設定温度の緩和
②空調機室内機フィルターの清掃(室外機フィン洗浄含む)
③こまめな空調停止
④管理標準の作成・活用による省エネ
⑤クーリングコイルの除霜の適正化

設備導入
⑥冷凍機の高効率型への更新
⑦デマンド監視装置の導入















※提案事項の実施による予想エネルギー(電力)削減量は253953kWh/年、予想削減金額は625万5千円/年



省エネ診断の補助事業(中小企業向け)

事業所のエネルギー使用状況を把握し、省エネできる項目の洗い出し、改善策について提案するのが省エネお助け隊による「省エネ診断」。中小企業は国の補助(地域エネルギー利用最適化・省エネルギー診断拡充事業)により、1割負担で診断を受けられる。診断は5720円~(税込み)。詳細は「省エネお助け隊ポータル」で検索。

▼詳細はこちらをクリック




執筆者
なか・みつお
NPO法人沖縄県環境管理技術センター理事長、エネルギー管理士、一級管工事施工管理技士。
電話=098・853・3739

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2055号・2025年5月23
日紙面から掲載

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