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2025年3月28日更新

一元管理と見える化で 空調の電力消費減らす|省エネ診断⑫

文・写真/名嘉光男(NPO法人 沖縄県環境管理技術センター)

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一元管理と見える化で 空調の電力消費減らす

中小企業のエネルギー使用状況を調査し、省エネの工夫を提案する「省エネお助け隊」。県内でお助け隊として活動するNPO法人・沖縄県環境管理技術センターの名嘉光男さんが実際の調査結果を基に省エネのヒントを紹介する。


今回の省エネ診断事例は
(株)沖電工(那覇市)

地上5階建て、延べ床面積3687平方メートルの事務所ビル


◆沖電工の現状
氷蓄熱マルチエアコンの室外機と、ビル用マルチエアコンの室外機
 
氷蓄熱マルチエアコンの室内機。照明はおおむねLED化されている


省エネに積極的

今回の省エネ診断事例は総合建設業の(株)沖電工です。主な事業内容は、土木・建築工事、設備工事(電気設備・機械設備、通信設備)、電力工事(送電・変電・配電)です。特に電力工事では、沖縄電力の電力設備全般の建設や保守工事を行い、電力インフラを支えています。

本事業所は環境に優しい総合建設業を目指し、近年はカーボンニュートラルの実現に向けて現場における脱炭素化やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)推進など省エネルギーの取り組みをしています。さらに、再生可能エネルギー分野の事業にも積極的に取り組んでいます。


すでに設備は高効率化

本事業所で使用しているエネルギーは電力のみです。その内、空調機の占める電力消費量は全体の約37%です。空調設備は氷蓄熱マルチエアコン+ビル用マルチエアコン+業務用のパッケージエアコンによる個別空調方式です。高効率型への更新は済んでいます。

換気設備はエアコンと連動して天井埋め込みダクト形全熱交換器を設置して冷房負荷の低減に寄与しています。照明設備はLED化され、給湯設備は高効率の家庭用ヒートポンプ給湯機を使用しています。

本事業所のエネルギー消費原単位は一般事務所の全国平均の約75%であり、省エネ活動の成果は出ています。全体的に省エネ意識は高いです。

今後は、屋上に適当なスペースがあるため自家消費の太陽光発電設備の設置や、空調制御システムを導入して一元管理をしながらグラフによる「見える化」をすることで、さらなる省エネを期待します。五つの提案事項の実行による予想エネルギー削減金額は、年間で約254万円です。

 
◆省エネ診断による提案事項
運用改善
①冷房設定温度の緩和
②室内機のフィルター清掃(室外機フィン洗浄含む)
③こまめな空調停止

設備導入として
④太陽光発電設備の導入
⑤空調制御システムの導入












※提案実行による予想電力削減量は8万2699kWh/年。予想削減金額は254万2167円/年である。



省エネ診断の補助事業(中小企業向け)

事業所のエネルギー使用状況を把握し、省エネできる項目の洗い出しや改善策について提案するのが省エネお助け隊による「省エネ診断」。中小企業は国の補助(地域プラットフォーム構築事業)により、1割負担で診断を受けられる。診断は6640円~(税抜き)。詳細は「省エネお助け隊ポータル」で検索。

▼詳細はこちらをクリック。




執筆者
なか・みつお
NPO法人沖縄県環境管理技術センター理事長、エネルギー管理士、一級管工事施工管理技士。
電話=098・853・3739

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2047号・2025年03月28
日紙面から掲載

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