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2025年1月24日更新

管理マニュアルを作成し 生産設備の省エネに活用|省エネ診断⑪

文・写真/名嘉光男(NPO法人 沖縄県環境管理技術センター)

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管理マニュアルを作成し 生産設備の省エネに活用

中小企業のエネルギー使用状況を調査し、省エネの工夫を提案する「省エネお助け隊」。県内でお助け隊として活動するNPO法人・沖縄県環境管理技術センターの名嘉光男さんが実際の調査結果を基に省エネのヒントを紹介する。


今回の省エネ診断事例は
西表糖業(株)工場(竹富町)

診断したのは竹富町にある工場。本社は浦添市


◆西表糖業(株)工場の現状
バガスを燃料にしているボイラー

生産設備


燃料にバガスも使用

今回の省エネ診断事例は西表糖業(株)の黒砂糖製造工場である。黒砂糖の作り方は大まかに、さとうきびの刈り取り→切断→圧縮→沈殿・ろ過→濃縮→攪拌(かくはん)・冷却→検査→製缶・箱詰めである。全体的にエネルギー多消費型の業種である。

同社は1960年8月に設立し、2014年に生産設備の更新を行った。製造する製品は「含蜜糖(黒糖)」。工場の操業は毎年12月から翌年4月まで。残りの期間は生産設備の分解・清掃・補修などを行っている。

本工場は、ボイラーの燃料に、さとうきびの残りかす「バガス」を使用している。また、沈殿時に取り除いた不純物は堆肥原料として畑に戻したり、汚泥は排水処理設備で処理して河川に放流したりと、エコな工場である。


設備を効率よく使用

本工場の空調設備は業務用のパッケージエアコンによる個別空調方式である。空調機は順次高効率型に更新している。照明設備のLED化はおおむね済んでいる。給湯設備および使用電力を監視するデマンド監視装置は設置していない。

使用しているエネルギーはバガス、電力、A重油である。A重油はバガス焚ボイラーの始動と燃焼調整用に使用している。エネルギー管理に必要なグラフ化などの「見える化」は実施していない。管理マニュアルを作成し生産設備の省エネ活動に活用することを期待したい。

電力に関する課題は、電力基本料金が12月~4月の操業時に設定され、非操業時(5月~11月)を含めた年間電力料金が高くなっていることである。このような状況を踏まえ、事務所のエアコン設定温度の緩和や付帯設備をまめに停止することなど、六つの提案をした=下囲み

実行による予想エネルギー削減は、27.16キロリットル/年、予想削減金額は、302万3千円/年である。

 
◆省エネ診断による提案事項
①事務室系統冷房設定温度の緩和
②事務室系統室内機フィルター清掃(室外機フィン洗浄含む)
③バガス焚ボイラーA重油の使用量の削減
④排水処理施設ブロアーの間欠(一定時間をおいて付けたり消したりする)運転
⑤付帯設備の不要時停止
⑥デマンド監視装置の導入

本工場のエネルギー使用量は、原油換算で346.81キロリットル/年。省エネ診断による予想エネルギー削減は、27.16キロリットル/年、予想削減金額は302万3千円/年である。



省エネ診断の補助事業(中小企業向け)

事業所のエネルギー使用状況を把握し、省エネできる項目の洗い出し、改善策について提案するのが省エネお助け隊による「省エネ診断」。中小企業は国の補助(地域プラットフォーム構築事業)により、1割負担で診断を受けられる。診断は6640円~(税抜き)。詳細は「省エネお助け隊ポータル」で検索。

▼詳細はこちらをクリック。




執筆者
なか・みつお
NPO法人沖縄県環境管理技術センター理事長、エネルギー管理士、一級管工事施工管理技士。
電話=098・853・3739

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2038号・2025年01月24
日紙面から掲載

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