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2024年11月29日更新

冬野菜の植え付け 気温と土が大切[緑のある暮らし③]

当コーナーでは家庭菜園やガーデニングなど「緑のある暮らし」を、㈲わかば種苗の照屋清司さんに教えてもらう。今回は、ダイコンやじゃがいも、にんじんなど冬野菜の植え付け方&育て方を紹介。照屋さんは「12月も目前だが沖縄はまだ暑い。今植えるなら、耐暑性の高い品種を選びましょう」と説明する。

冬野菜の植え付け 気温と土が大切

耐暑性の高い品種選ぶ
少しずつ寒くなってきたこの時期は、冬野菜の種まき(植え付け)の適期だ。「とはいえ、本土と比べると沖縄はまだ暑い。冬野菜は寒さには強いけれど暑さに弱いものが多いので、沖縄独自の品種=下写真=や耐暑性の高い品種を選んで植えると失敗が少ないですよ」と照屋さんはアドバイスする。「もっと気温が下がったら、耐暑性の低い品種も植えられるようになります。植える季節に合わせて品種を選びましょう」。
 

パッケージに「沖縄」などと表記されているものは耐暑性が高く、育てやすいものが多い
 
冬野菜は、ジャガイモやニンジン、タマネギやダイコンなど地中で育つ野菜が多いため「土づくりも大切。土をフカフカの状態にして成長しやすい環境を整えましょう。また、水はけが悪いと土の中で腐ってしまう恐れがあるので、しっかり耕して水はけのよい土にすることも重要です」と話す。

間引き・芽かき適宜行う
植え付けをしたら、適宜水やりをして月に1回程度肥料をやる。「水は、土が乾いたらたっぷりやるようにしてください」と照屋さん。

芽が出たら、間引きや芽かきをする。間引きとは、混み合った芽を減らして日当たりや風通しをよくすること。芽かきは、種イモから伸びた芽をいくつかを摘み取ることでイモに栄養を行かせる。「元気な芽を残して、それ以外の芽を取り除きます。ちょっとかわいそうですが収穫までに2〜3回程度、間引きや芽かきをすることで収穫量がアップします」。

間引きをしたホウレンソウや小さなニンジン、ダイコンなどはもちろん食べられる。間引き野菜は新鮮で柔らかく、栄養も豊富。それを堪能できるのも家庭菜園の楽しみの一つだ。   

「冬野菜は初心者でも育てやすい。気候的にも作業しやすく、夏よりも虫が少ないので、家庭菜園を始めるのにぴったり。ぜひチャレンジしてほしい」と照屋さんは話した。

菜園初心者におすすめの冬野 どれも9月〜2月くらいまで植え付けできる
 


種?苗?種イモ? どう選ぶ?

ダイコンやニンジンは種から育てるのが一般的。苗を移植して育てるのがとても難しいためだ。

ジャガイモは、植え付け用に作られた市販の種イモを購入するのがベスト。食用のジャガイモも放っておけば芽が出るため、種イモとしても利用できそうに思えるが「病気に感染している恐れがあるのでオススメしない。販売されている種イモは病気や害虫に対する検査が義務づけられている」と照屋さん。

タマネギは種、セット球(球根)、苗が売られている。「種のメリットは安価なこと。セット球や苗は早く収穫できるのが利点」と話した。


 プランター栽培の場合 

根菜は深いプランターで
上記の野菜はプランター栽培も可能だ。「根菜を育てる場合は40〜50センチほどの深さがあるプランターを使いましょう」と照屋さんは話す
 
土は市販の培養土を使うと手軽だ。植え付けから1カ月程度の成長を手助けする肥料がすでに入っている。水やりは「土が乾いたら鉢底から染み出るくらいたっぷりと与えましょう」。   
 
 
植え付けたら、間引き・芽かきや月1回の追肥、土寄せ=下③、④参照=などをする。


 地植えの場合 

①土作り
まずはしっかりと耕して土に空気を含ませることで、地中の微生物が活動しやすくなり、水はけも良くなる。

植え付けの2~3週間ほど前には、堆肥を投入して土になじませる。堆肥とは家畜のふんや落ち葉などの有機物を腐熟させたもので、良い土壌にするために入れる。

その後(植え付けの2週間ほど前)酸性度を調整する。沖縄の土は酸性に偏りやすいため、石灰をまいてアルカリ性よりにする。

植え付けの1週間ほど前に元肥(肥料)をまく。植える作物に合わせた肥料を入れる。ちなみに、植物が育ってから加える肥料は追肥という。基本的に元肥は効果が長い遅効性のものを、追肥は速効性のあるものを選ぶ。

②植え付け
土を盛り上げて畝(うね)を立てる。畝を立てることで水はけがよくなり、根も伸びやすくなる。そこに作物に合わせた株間で植え付けをする。

③間引き・芽かき、月1で追肥
芽が出てきたら元気な芽を残して間引いて間隔をあける。収穫までに2〜3回間引く。

ジャガイモは、一つの種イモから出た複数の芽のうち、生育の良い1~2本を残してあとは抜く「芽かき」をする。種イモごと引き抜いてしまわいないよう株元を押さえながら丁寧に行う。
 

間引きや芽かきをしながら、月1回程度のペースで肥料を与える。

④土寄せ
ダイコンやニンジン、ジャガイモなどの根は、日光に当たると緑色に変色してしまうため、土寄せをして地中に埋めて収穫を待つ。
 



 植え付け&栽培 手軽なアイテム 
ポテトバッグ
手軽にジャガイモを育てられるとして人気のアイテムがポテトバッグ。このバッグには、土や初期生育に必要な肥料が入っていて、バッグに直接植え付けることができる。さらに収穫後は燃えるごみとして捨てられる。

シーダーテープ
シーダーテープとは水溶性のテープの中に、適正な間隔や粒数で種が封入された製品。株間を測らずともテープを置くだけで種まきできる。「自然に優しい素材のテープで、土中に埋めると溶ける。一粒一粒、種まきをする必要がないので効率的。特に広い畑で重宝すると思う」と照屋さん。


教えてくれた人

てるや・きよし/創業約70年の老舗「㈲わかば種苗(那覇市樋川)の種苗部長。野菜ソムリエの資格も持つ。
わかば種苗
電話=098・832・5422
https://www.wakabaseed.com/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2030号・2024年11月29
日紙面から掲載

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