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2025年1月31日更新

プランターで育てるイチゴ&サツマイモ[緑のある暮らし④ ]

当コーナーでは、㈲わかば種苗の照屋清司さんに初心者向けの野菜や果実の植え方を教えてもらう。今回は、家庭菜園で大人気のイチゴと丈夫なサツマイモの育て方。両方とも3月以降が植え付けの適期で、プランター栽培も可能。「難易度は高くない。自分の好きな品種を植えて楽しみましょう」と話す。


 

プランターで育てるイチゴ&サツマイモ

深くて水はけの良いプランター選ぶ
プランター栽培をするときは、サツマイモもイチゴも深さが30センチ以上あり、水はけの良いものを選ぶ。土は、追肥などが入っている「培養土」を選ぶと手軽。イモ(根菜)用の培養土やイチゴ用の培養土なども販売されている。
 


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肥料はほぼ不要

サツマイモは暑さや乾燥に強く、丈夫で家庭菜園初心者にもぴったり。照屋さんは「プランターでも育てられます。30センチ以上の深さがあり、水はけが良いものを選びましょう」とアドバイスする。土は最初から元肥などが入っている「培養土」がおすすめだ。

沖縄でのサツマイモの苗の植え付け適期は3月〜9月。初心者向けの植え方は「『斜め植え』や『水平植え』。根が活着しやすく、育ちやすい」と話す=下イラスト

プランターは日当たりの良いところに置き、植え付け直後(1週間~10日程度)は毎日しっかり水やりをする。根が活着したら、土が乾いたときにたっぷり与える。

サツマイモは痩せた土地でも育つ野菜で、「培養土を使っていれば、追肥はほとんど必要ない」。逆に肥料が多過ぎると葉やつるばかり育ち、イモが育たない「つるぼけ」という現象が起きてしまうので注意が必要だそう。

また、畑に植える場合はつるが成長してきたら、「つる返し」をする。つる返しとは、成長したつるから伸びた根を土から剥がし、葉の上など根が張りにくい場所に乗せる作業だ。「根がたくさん出ると、養分が分散されてイモが小さくなってしまう。それを防ぐために、つる返しをする」と説明する。

「植え付けから5カ月前後で収穫できる。サツマイモはいろいろな品種があり、味や食感が違う。好みの品種を植えて楽しんでほしい」と照屋さんは話した。
 
 初心者向けのサツマイモ 

①切り苗を植え付ける
サツマイモの沖縄での植え付け適期は3月〜9月。苗はいくつか植え方があるが、初心者向けの植え方は、「斜め植え」「水平植え」。「斜め植え」は根が活着しやすい。「水平植え」は小さなイモがたくさんできる。「垂直植え」は数は少ないが大きなイモがなりやすい。
 

②水やりは土が乾いたらたっぷり
日当たりのよい場所におき、植え付け後1週間~10日は毎日水をやる。その後は、土が乾いたらたっぷりやる。追肥はほとんど必要ない

③5カ月前後で収穫&追熟
植え付けから5カ月前後で収穫できる。葉が黄色っぽくなり始めたころが目安。収穫したサツマイモは追熟すると甘味が増す。水で洗わずに土がついたままの状態で、雨があたらない場所で3日ほど乾燥させる。
 
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カビ対策が重要
老若男女に人気のイチゴ。プランターで育てれば、枝垂れるように実がなり、見た目もかわいい。「病気に注意すれば、難易度は高くない」と照屋さん。ちなみに、イチゴは春ごろに1回、収穫できる「一季なり」と春と秋の2回収穫できる「四季なり」がある。今回は一季なりを中心に紹介する。

沖縄でのイチゴの植え付け適期は「3月〜4月ごろ。種苗店やホームセンターなどに、さまざまな品種の苗が出てくる」。

イチゴも根がしっかり張れるよう深めのプランターと培養土、苗を準備する。苗を植える際は「クラウン」と呼ばれる葉の付け根部分が土から出るようにすること。

日がよく当たり、風通しの良い場所で育て、水は土が乾いたらたっぷり与える。「イチゴはカビやウイルスが原因の病気にかかりやすい。風通しの良い場所に置き、葉が密集してきたら適宜、葉を取り除く。市販の殺菌剤を使うのも手」と説明する。日ごろからよく観察し、追肥をしたり、葉や茎に異変が表れたらそこを除去するなどの対処が大切だ。

病気に注意しながら、実りを待つ。「日々の成長過程を見られるのも家庭菜園の醍醐味(だいごみ)。観察も楽しみましょう」と照屋さんは話した。

 見た目もかわいいイチゴ 
 
①苗を植え付ける
沖縄では3月〜4月頃が植え付け適期。苗は、「クラウン」と呼ばれる茎の根元にある王冠のような形の部分=下イラスト赤丸部分=が太いものを選ぶ。植える際はクラウンを地上に出すこと。水やりは、土が乾いたらたっぷりが基本。
 
 
②葉が出たら病害虫対策や追肥
イチゴを育てる際に注意すべきは病気。イチゴの病気の一番の原因はカビだ。カビの発生を防ぐため、日当たりや風通しの良い場所に置き、葉が密集していたら葉かきをしよう。市販の殺菌剤を使うのも手だ。「普段から観察して異常な部分を取り除いたり、追肥したりすることが大切」と照屋さん。「うどんこ病」は葉などに白い斑点が、「炭疽(たんそ)病」は葉などに黒い斑点が現れる。「灰色かび病」は果実などに灰色のカビが付く。
 
③花が咲いたら人工授粉
プランター栽培の場合はミツバチなどによる自然受粉が難しいので、花が咲いて2~4日の間に人工授粉を行う。イチゴは花の中心に雌しべがあり、その周囲に雄しべがある。花の中心を柔らかい筆や綿棒などで優しくなでるようにして授粉させる。​

④植え付けから200日前後で収穫
植え付けから200日前後、開花から1カ月程度で収穫できる。
 
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手軽なバッグ栽培
最近の家庭菜園のトレンドが「バッグ栽培」。大手食品メーカーが、直接袋に野菜などを栽培できる製品を販売している。入っている土は肥料などが入っていて水はけも良い「培養土」。収穫後は可燃ゴミとして捨てられるのも手軽。

下写真は、照屋さんがKAGOMEの「そのまま育てる野菜の土」でさつまいもを育てて収穫した。「結構、立派ないもができました!」と話す
 
 
 


教えてくれた人

てるや・きよし/創業約70年の老舗「㈲わかば種苗(那覇市樋川)の種苗部長。野菜ソムリエの資格も持つ。
わかば種苗
電話=098・832・5422
https://www.wakabaseed.com/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2039号・2025年01月31
日紙面から掲載

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