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2024年9月27日更新

生活に溶け込む 木彫りと漆芸|アートを持ち帰ろう(42)

文/本村ひろみ

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生活に溶け込む 木彫りと漆芸

40年余で個展 プラザハウスで29日まで

ヤンバルに自生する椎(シイ)の木。沖縄では「イタジイ」と呼ばれ親しまれている大きな木だ。春先、高速道で北部へドライブすると、勝連半島の青い海を右手に、目の前にはブロッコリーのような新緑の山が見えてくる。その若々しく精気にあふれる木々が椎の木(イタジイ)だ。
「ゴーヤーとカタツムリ」
810ミリ×410ミリ
価格は要相談


木彫と漆芸の作家・兼次幸子は、ずっしりと重量感のあるイタジイに愛着をもち、20年近く寝かせていた一枚板で今年「ゴーヤーとカタツムリ」を彫った。40年余の作家人生の節目に、久しぶりの個展を開催するため、半年かけて彫ったこの作品の「ゴーヤー」は、兼次にとってずっと掘り続けているモチーフ。堅い椎の木は“のみ”で荒彫りする。木目を見ながら彫っていく作業は次第に無心になりいつの間にか穏やかな心持ちになると言う。そんな境地を「木から気をいただくんです」と言う。

琉球椎紅で沖展賞

今回の展示には生活を楽しくしてくれる作品も並ぶ。例えば桐(きり)で制作された「ポテッと角盆」。表面に掘られたススキや弾んだ文様が愛らしい。楠木で作られた「小皿 もみじ」は、背景の石目彫りもリズミカルで手触りがいい。角盆も小皿も、飾ったりトレーにしたりと秋の食卓に活躍しそうだ。

木彫の作品に朱漆を施す琉球堆紅(ついこう)。兼次はその発案者である前田孝允氏に学び、2013年「牡丹(ぼたん)紋琉球堆紅文箱」で沖展賞を受賞した。ひたむきに制作に向かう姿勢はずっと変わらない。玉辻山を散策し草花を愛(め)で、アカショウビンの鳴き声で朝を迎える。暮らしに溶け込む作品にはそんな自然の鼓動が息づいている。
「小皿 もみじ」
150ミリ×140ミリ
2枚セット5000円(税込)

「ポテッと角盆」
300ミリ×190ミリ
9000円(税込)

 
「牡丹紋琉球堆紅文箱」
沖展賞受賞(2013年)
333ミリ×258ミリ×88ミリ
(非売品)

 
作家近況
沖縄県認定工芸士
工房兼ギャラリー「木彫・漆工芸教室 ゆん」主宰
◆「兼次幸子展」
9月24日(火)~29日(日)11時~18時
プラザハウス3Fギャラリー
入場無料

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2021号・2024年09月27日紙面から掲載

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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