2021年7月16日更新
【沖縄】番外編~アメリカの離婚×不動産事情|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[10]文/川端ゆかり
離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル
ハイターイ!! どうも、川端です! 不動産エージェントの仕事をしていてのヨロコビは数々ありますが、(1)年齢を重ねることがポジティブに考えられること(2)国内、海外の同志とつながる楽しさを体験できるということ、の二つが、しみじみ「よかったにゃ」と思うことです。
文/川端ゆかり
婚前契約書でリスク管理徹底
番外編~アメリカの離婚×不動産事情
年齢を重ねるごとに、エージェントとしての深みと経験値があがりますし、国内外の不動産エージェントと共通言語「不動産」を介して情報交換し、お互いに刺激を得ながら、「プロとしてお客さまから感謝され選ばれる仕事を構築する!」という志を確認する。…だから、この商いは飽きないのよ…とつまらないダジャレをかましてみたところで、今回はリコンサル番外編?! 米シリコンバレーの離婚不動産事情です。
プレナップでトラブルを事前に回避
今回、離婚事情を教えてくれたのはシリコンバレー在住のCさん。彼女の周りでは、結婚を控えた2人は「プレナップ」という「婚前契約書」を交わしているケースが多いとのこと。新婚のCさんも愛するパートナーと前向きにプレナップを交わしたお一人です。結婚する前に、結婚してからの約束事をお互いで取り決めをする。家事の分担や毎月の生活費の負担の割合、子どものことなど、現実を見据え向き合うことで先に備える。
クールな目線でみると、結婚って他人との共同生活のスタートでもあるわけですが、アメリカはスタートが違う! 入り口が違う! 出口戦略を見据えている?! …とにもかくにも「万が一のリスク管理が徹底している」に尽きる印象です。
また、プレナップには離婚に至った際の条項もあるそうで(思うにメインの条項はきっとこの部分)、どちらかが資産を持っていての再婚といった場合にはとくに、プレナップでの取り決めが重要視されるとのこと。将来的な万が一の泥沼トラブルを回避するためにはいい仕組みだな、と個人的には感心します。
シリコンバレーのある米カリフォルニア州はコミュニティープロパティ(婚姻中に築いた資産はすべて、夫婦各自が50%ずつ所有)と呼ばれる夫婦共有財産の法律を採用しているため、プレナップを交わしていないと夫または妻どちらかが稼いだお金で築いた資産でもすべてフィフティーフィフティーになるんだとか。日本の法律に近いですね。
アメリカは自治政権。州によって法律が異なることも一因にはあるのかなと思いますが、婚前契約でお互い取り決めごとを確認しておくことで、2人のライフスタイルを前向きに一緒に考え築いていくシステムには驚きとともに納得するところです。
万が一に備え決めることの大切さ
「愛してるわ…」「一生幸せにする」「結婚しよう」なんてほざいてるときに(あ、すみません、トゲがっ)「離婚することになったらどうするか」という思考にはなかなかたどり着かないもの。縁起悪い気もするし、離婚前提?! なんていらぬ誤解も生みそうで気が引けます。でも、結婚前に夫婦各自の資産と負債、結婚後に築いた資産の権利を確認する仕組みは、リスク管理と、また、お互いを律する上でも有効かもしれません。
Cさんによると、実際に離婚に至る場合にはプレナップに沿って粛々と事を進めるそうですが、いくら婚前契約があるとはいえ離婚はメンタルに相当な負担がかかることは米シリコンバレーも同様のようです。
「悲観的に備え、楽観的に実行する」。愛があるうちにライフスタイルや離婚時の財産分与を考える=プレナップで結婚後のライフスタイルをお二人でシミュレーションしてみるのもいいかもしれませんね。
執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1854号・2021年7月16日紙面から掲載