心動かされる 真に美しいもの|アートを持ち帰ろう(37)|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2024年4月26日更新

心動かされる 真に美しいもの|アートを持ち帰ろう(37)

文/本村ひろみ

特集・企画

タグから記事を探す

心動かされる 真に美しいもの

児童支援牧場でインスピレーション

アーティスト・杉山遥香の卒業制作『すべてのものたちへ』の前で足が止まった。花の首飾りや額に輝く青い石、紫と緑の布を背にした白い馬に跨がり、力強いまなざしで前を見つめるドレス姿の女性。南国の植物に包まれたスタートラインから未知のまぶしい世界へ踏み出していこうとする瞬間はまさに、新しい春を迎える作家本人の気持ちを投影しているのだろう。

と、そんな予想で彼女にこの絵について質問したら想像を超える答えが返ってきた。「この絵は沖縄県北部にある児童支援牧場でインスピレーションを受けました。最初は“飛躍”“勝利”の象徴として知られる馬を自分の未来への挑戦も兼ねて描こうと決めていたんです。でも、その牧場で出会った子供たちが、のびのびと自主的に馬や動物たちの世話をしている姿から、夢や希望といったような美しいものを感じました。私の真に描きたい“美しいもの”は、大切にしたいと思うことや感謝や思いやりにあふれること、美しいと思うそのこと自体。愛から生まれるものに心動かされることに気づいたんです」。そして「馬に乗っているのは妹で、何よりも大切な妹を愛の象徴で描きました」と。
 
「すべてのものたちへ」
2273×1818mm ※価格は要相談


華やかで上品に

この温かい光に満ちた作品は北中城文化協会賞を受賞した。杉山は4月から修士課程に進学し、さらに日本画の研さんを積む。作品は華やかにかつ上品に仕上げるように心がけているそうだ。そのみずみずしい感性でこれからどんな美を描いていくのか楽しみだ。しっかりと未来への手綱を握って、いつまでも自由でしなやかに歩んでほしい。
 
「廻る」
1621×1303mm 82万5000円
 
「bougainvillea」
1455×1120mm 作家蔵


 
作家近況
杉山遥香(すぎやまはるか)
◆8月6日~9月1日 県立博物館・美術館ミュージアムショップで『パラダイス美娘』
活動情報の詳細はインスタグラムで
https://www.instagram.com/3haruka25/

本村ひろみ
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1999号・2024年4月26日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

キュレーター
本村ひろみ

これまでに書いた記事:42

ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

TOPへ戻る