2023年11月24日更新
[沖縄]専門技術者育てる工業高校④ 建築・土木・設備・インテリア|暮らしを造る4学科
ここでは過去に本紙で特集した工業高校の紹介(2023年5月26日掲載「建築系」編、同年7月28日掲載「土木系」「設備系」「インテリア系」編)を基に、各学科の特徴や目指せる資格などを紹介する。過去に掲載した工業高校の特集記事は、各学校名をクリックすると閲覧できる。
製図
木工
左官
測量
模型
溶接
人材需要高く増える建築科
建築科はここ数年で増えている学科。2017年には南部工業高校に「建築デザインコース」が新設され、22年には名護商工、本年度は浦添工業にも「建築科」ができた。美里工業、沖縄工業を合わせて、県内5校にある。
その背景には建築業界の人材不足がある。行政は業界の待遇改善とともに、若手育成に力を入れているため、建築系の求人は多く、建築科の生徒は売り手市場。
建築科は、実習と座学を通して建物の設計・施工を学ぶ。実習では製図や模型製作、木工や左官、溶接や鉄筋加工、測量などを行う。プロの職人による実技指導もある。座学は、1年のときに各科共通の「工業技術基礎」を学んでベースづくりをする。学年が上がるごとに「建築構造設計」「建築法規」など建築の専門的な分野を学んでいく。
さまざまな資格も取得できる。授業以外にも資格取得に向けた講習が行われており、業界もそれをサポートする。(一社)県建設業協会は2級建築(土木)施工管理技士補の資格を取るための講習の授業料の一部を負担している。建築科は他の学科に比べて取れる資格が特に多いというわけではないが、就職や進学に有利になる国家資格・検定に挑戦できるメリットがある。
建築系の学科がある学校
↓学校名をクリックすると、紹介記事に移動します。
◆南部工業(建築設備科)
◆沖縄工業(建築科)
◆浦添工業(建築科)
◆美里工業(建築科)
◆名護商工(建築科)
目指せる資格
◆2級建築施工管理技士補
◆2級土木施工管理技士補
◆建築CAD検定(2~4級)
◆左官技能検定(3級)
◆建築大工技能検定(2級・3級)
◆建設業経理事務士(3・4級)
◆小型車両系建設機械
◆(卒業後すぐに受験可能)2級建築士など
土木
測量
ドローン操作
インフラ建設 技術者育成
土木系の学科があるのは、沖縄工業と美来工科。建築が建物をつくるのに対し、土木は橋やダム、高速道路、水道、港湾施設など、社会基盤となるインフラを造る。作業員というよりは、計画を立てたり、設計したり、現場を管理する技術者を育成する。
土木科の特徴的な授業が、施工の方法や材料について学ぶ「土木施工」と、土地などの角度や距離、高さを正確に測る技術を学ぶ「測量」。測量は設計をはじめ、全ての計画の土台となる技術で最新の機材も導入されており、ドローンや衛星を使った手法も学んでいる。 そのほか、「社会基盤工学」では、交通網、治水、災害対策など、まちづくりに関わる幅広い分野について学ぶ。
求人は多く、ゼネコンや施工会社だけでなく、国や自治体からも来る。土木を学べる工業高校が県内に2校しかない分、倍率も低め。公務員になりやすい。
学外からのサポートもあり、例えば県建設業協会からは、小型車両講習料の補助や現場見学会の実施、インターンシップ先の紹介などをしてもらっている。
土木系の学科がある学校
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◆沖縄工業(土木科)
◆美来工科(土木工学科)
目指せる資格
◆測量士補
◆2級土木施工管理技士補
◆小型車両系建設機械
◆第2種電気工事士
◆情報処理技能検定(文書デザイン、表計算)
◆危険物取扱者
◆ガス溶接技能講習
◆アーク溶接技能講習
◆無人航空従事者試験(ドローン検定)
◆建設業経理事務士(3級・4級)
◆計算技術検定 など
設備
水道配管
空調
冷凍配管
設備系の学科のある工業高校は全国に24校しかない。そのうちの2校が県内にある。美里工業と南部工業だ。この2校の授業カリキュラムに大きな差はないそうだ。
設備の授業の柱は配管(水道やガスなど)と空調で、その施工技術を学ぶ。冷凍(大型冷凍設備)や衛生(排水)、溶接や積算(工事の金額計算)などの授業もある。さらに建築や電気、土木の分野の知識も必要なため、工業高校の中でトップレベルに学ぶ分野が広く、実習も多い。その分、取れる資格も多く就職率も高くなっている。
求人は、県内に多い設備系企業だけでなく、商業施設やホテルなどの設備管理もある。県内外から引く手あまた。
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◆南部工業(設備工学コース)
◆美里工業(設備工業科)
目指せる資格
◆2級管工事施工管理技術者
◆第2種電気工事士
◆第3種冷凍機械責任者
◆危険物取扱者 ◆消防設備士
◆建築配管技能検定(2級・3級)
◆冷凍空気調和機器施工技能検定(2級・3級)など
インテリア
木工
家具や仕上げ 内装中心に学ぶ
県内でインテリア科があるのは浦添工業のみ。建物の内装をメインに、家具や建具の加工技術、仕上げ、建築設計も一通り学ぶ。
卒業後は木工家具メーカーや建築事務所、施工会社などに就職。近頃は建築現場で働く技術者を求める企業が目立つそうだ。
インテリアの学科がある学校
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◆浦添工業(インテリア科)
目指せる資格
◆福祉住環境コーディネーター(3級)
◆2級建築施工管理技士補
◆家具手加工技能検定(2・3級)
◆建築CAD検定
◆危険物取扱者
◆建設業経理事務士(3・4級)など
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取材/東江菜穂、出嶋佳祐、市森知
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1977号・2023年11月24日紙面から掲載