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2023年9月29日更新

【第9回沖縄建築賞】古谷誠章審査委員長から総評

古谷誠章氏による、第9回沖縄建築賞の総評。

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古谷誠章審査委員長(建築家・早稲田大学教授)

 

風土の持続性と新たな可能性を提案

年々確実に水準が上がる中、今年は沖縄の風土や景観にただなじむだけでなく、沖縄の新しい建築や暮らし方を生み出そうとする大変刺激的な応募作品も多かったです。

今後を見据えた斬新さも

住宅建築部門の正賞を獲得したのは「ヨナシロのいえ」。伝統的な沖縄の住宅のエッセンスを咀嚼し、これまでに見たことのない沖縄の住宅を体現させたものでした。ディテール(細部)も非常に洗練されており、新しい挑戦と技術による裏付けが見事に融合していたと思います。

一般建築部門の正賞である「謝敷集落の宿」は、よく手入れされたフクギ並木の残る集落内の空地や空き家を生かして分散した宿として再生する計画です。集落の人々の暮らしをそのままに、またそれらの手を生かしてもてなそうとする試みで、集落を持続させる意欲的な試みです。

タイムス住宅新聞社賞を獲得したのは「衣食住創~育む家~」です。既存マンションの改修という今日的なテーマで、室内に木箱を挿入するという斬新な手法によって実現。木箱は配置を変えることで、四季の変化や家族の成長に応じた柔軟な使い方のできる装置となっています。

奨励賞を含めた他の入選作品も、いずれも沖縄の気候風土の特性に対して、それぞれのプロジェクトの持つ新たな沖縄建築の可能性を切り拓くものとして、高く評価したいと思います。
 

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1969号・2023年9月29日紙面から掲載

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