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2023年9月22日更新
想像かきたて 光と影も演出|アートを持ち帰ろう(30)
文/本村ひろみ
想像かきたて光と影も演出
11月末に那覇市でグループ展「いつも日常を通した表現を心がけています。樹脂の作品は日常の中でふと目に留まったことにイメージをのせていく感じです」。美術家・金城徹は穏やかに語る。
数年前のグループ展で彼の作品を初めて見た時の印象を覚えている。言葉にすると「詩的で幻想的」。その作品、透明なアクリルのフェンスに蝶(チョウ)が舞う「あなたのたつところ」(2017)は、ノスタルジックで静かなメッセージを持っていた。金城は鉄や非鉄金属(真ちゅう、銅、洋白など)を使用して制作をするが、9月の展示会では樹脂や木を使った「記憶のかけらシリーズ」が印象に残った。
味わい尽くせる作品
海辺の砂地や浅瀬のブルーを思い起こさせる船型の木目と樹脂に、繊細な金属が浮かび上がる作品群。金属の影まで計算されたかのように、光を受けてテーブルに映る線も美しかった。
器から飛び立つ蝶と花の作品は一瞬で買い手が決まった。パネルに設置してアクリルケースに入った壁掛けの作品。金属がまだらに溶けているような形状の器から羽ばたいていく蝶と花はさまざまな想像をかき立てる。器の底に沈んだいつかの記憶がよみがえったのか、それとも記憶のかけらが飛翔(ひしょう)したのか。金城の作品を鑑賞する時は全体からその物語を味わい、近寄って一つひとつのモチーフに込められた手技を見てほしい。そして再び離れて作品を眺めるとパーツのバランス、光と影の演出にも気づく。味わい尽くせる作品なのだ。
「記憶のかけらシリーズ」 1 2 3
1 W200×H250×D60mm 5万5000円(税込)
2 W80×H55×D40mm 2万7500円(税込)
3 W70×H70×D50mm 2万2000円(税込)
作家近況
金城徹(きんじょうとおる)美術家・沖縄県立芸術大学非常勤講師
https://www.instagram.com/tohrukinjo/?hl=ja
【年内グループ展】
◆10月26日~11月1日/Fe展 gallery green & garden(京都)
◆11月27日~12月9日/結展vol.10 アンテルーム那覇
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1968号・2023年9月22日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。