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2023年4月28日更新

深いブルーと 少女の崇高さ|アートを持ち帰ろう(25)

文/本村ひろみ

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深いブルーと少女の崇高さ

かえる場所に置き、愛着深める


吸い込まれるような絵に出合うことがある。去年開催されたアーティスト・竹口莉央の個展「ほしふるよる」で「星の子」を見た時、きらめく深いブルーを背景に、浮かび上がる少女の崇高さが強烈で息をのんだ。その後、他の会場での個展「忘却の彼方(かなた)」でも「星の子」を見たくて足を運んだ。絵の中でひとつの物語が完結しているような印象で忘れられない1枚となった。


「星の子」
F20号(727×606mm) 6万8000円



“かえる”テーマに
竹口は現在、沖縄県立芸術大学工芸専攻陶芸分野に所属している。器の展示では、小ぶりでも量感のある作品が並んでいた。絵画については「何かに“かえる”というテーマで制作している。人も生物も物質も皆、かえる場所がある。かえる場所があるありがたみや、ぬくもり、当たり前過ぎて忘れていたことを思い出させるように描いている」と話してくれた。

この春、彼女は三つの展示会をこなした。「五人展up_and_coming」が開催されたのはKIYOKAWA GALLERY。昨年10月に那覇市泊の住宅街にある「黄金(くがに)通り」にオープンしたギャラリーで、若い作家を中心に勢いのあるアーティストたちの発表の場となっている。今回の展示作品には「星の子」の分身のような少女たちがいた。もしかすると描かれた少女たちを通して竹口は自分自身を見つめているのかもしれない。

1日の終わり、かえる場所にこの少女たちのシリーズを置きたい。見るたびに変化する、日々の感情の揺らぎの中で絵の物語はゆっくりと成熟してゆくだろう。そして作品への愛着は深まっていく。

 




「読めない」
F20号(727×606mm)
6万8000円





「考えて」
F20号(727×606mm)
6万8000円



「眠れない」
F15号(651×530mm)
6万4000円

作家近況

竹口莉央(情報はSNSで随時発信)
Instagram https://www.instagram.com/rio00_o_o_/
Twitter https://twitter.com/Rio0_0_
2023年展示予定(陶芸)
※阪神百貨店梅田本店 POP UP(5月17日~23日)
※五芸祭in東京(5月26日~28日)
 

本村ひろみ

もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1947号・2023年4月28日紙面から掲載

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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