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2023年3月24日更新
線と面が成す日常の風景|アートを持ち帰ろう(24)
文/本村ひろみ
線と面が成す日常の風景
庭が見える窓際に置き山原感じて
白い衣装の人物が画面いっぱいに描かれている楽園シリーズでおなじみの仲本京子。新しい“静寂シリーズ”では一転して人物がほとんど描かれず、乗り物や建物に人の気配を漂わせているだけだ。色彩も楽園シリーズはビビッドで彩度が高いのに対し、静寂シリーズはセピアカラーのブラウン、オリーブ、クリームの霞(かすみ)がかったニュアンスカラーで心象風景のように描いている。
気温・湿度・季節まで
画面の大半を埋め尽くす空と海、水平線に山の輪郭線。画面構成はシンプルな線と面。そして茫洋(ぼうよう)とした景色から、気温や湿度、季節まで伝わってくる質感。眺めていると、いつかの記憶がふとよみがえる。寄せては返す波のように穏やかに。具象のようで抽象化された日常の風景。そこにあるのは普遍的なものなので誰の心の中にも懐かしさが浸透してくる。
静寂シリーズでひときわ春の色彩ピンクに染まった作品「山原/イタジイの山」。イタジイとは山原の森に最も多い樹木で、遠くからだとブロッコリーのようにモコモコと見える木々のこと。これからのうりずんの季節はこの木のおかげで、鮮やかな緑に覆われた山原が新鮮な野菜にも見える。この絵を庭の木々が見える窓際に飾りたい。いきいきとした山原の森がいつもそこにあるように感じるはずだ。
ところで、沖縄は海に囲まれているので雲の発生が多く天気は変わりやすく年間降水量も2000ミリを超える。意外だが快晴の日はそう多くないそうだ。仲本の静寂シリーズの霞の秘密が少しだけわかった気がした。(敬称略)
「静寂シリーズ」
「山原/イタジイの山」
33センチ×19センチ 3万2000円(税込み)
「ノルウェー/アトランティックロード」
33センチ×19センチ 3万2000円(税込み)
楽園シリーズ 「海の中のたからもの」
44センチ×35センチ 18万5000円(税込み)
「カラフルな昼下がり」
38センチ×32センチ 15万円(税込み)
作家近況
画家・仲本京子
Kyoko Nakamoto Gallery
(新都心・予約制 098-943-9815)
ホームページはhttps://kyokoart.com/
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年内の活動/沖展(デザイン部門準会員出展)
もとむら・ひろみ
那覇市出身。清泉女子大学卒業。沖縄県立芸術大学造形芸術研究科修了。ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2」でパーソナリティーを務める
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1942号・2023年3月24日紙面から掲載
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。