沖縄建築賞
2022年10月28日更新
【第8回沖縄建築賞 表彰式】次世代の沖縄建築を提案
県内の優れた建築物や建築士を顕彰する「第8回沖縄建築賞」(主催・同実行委員会)の表彰式が10月21日、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとで開かれた。受賞した建築士や施主、施工会社が喜びを共有した。
第8回沖縄建築賞 表彰式
入賞・入選した建築士ら。前列左から5人目が住宅建築部門正賞の大城禎人氏、その右3人が一般建築部門正賞の左から根路銘剛次氏、望月麻衣氏、兒玉謙一郎氏
第8回沖縄建築賞には、住宅建築部門14点、一般建築部門20点の合計34作品の応募があった。その中から7点が入賞、3点が入選作品として選ばれた。
古谷誠章審査委員長は「今回の建築賞では沖縄にふさわしいというだけでなく、沖縄での新しい働き方・住み方を提案するような〝次世代の建築〟がいくつもあった。さらに今年は、作品のバリエーションも豊かで、レベルが年々上がっていることを強く感じた」と総評を述べた。
授賞式では入賞者と入選者、施主、施工会社それぞれに盾と賞状が贈られた。
「400(ヨンヒャク)」で住宅建築部門正賞と、40歳未満に与えられる新人賞をダブル受賞した大城禎人氏(大城禎人建築設計事務所)は「自分で事務所を構え、初めて設計した建築が評価されたことは糧になる。県内建築の発展に貢献できるよう今後も活動していきたい」と力を込めた。
一般建築部門正賞は「那覇文化芸術劇場なはーと」を手掛けた根路銘設計(那覇市)、香山建築研究所(東京都)、久米設計(同)によるJV(共同企業体)が受賞。久米設計の兒玉謙一郎氏は「繁華街のど真ん中に劇場を建てるということで、人々が気軽に入れる造りと巨大なボリュームを抑えることに試行錯誤を重ねた。審査では、まさにそこを高く評価していただけて非常にうれしい。多くの人に訪れていただきたい」と話した。
歴史的建築に緊張
正賞に次ぐタイムス住宅新聞社賞は「宜野座ヌルドゥンチ」を手掛けた平田寛氏(平田寛建築設計事務所)と平田歩氏(平田設計)に贈られた。平田歩氏は「歴史的な建物を建て替えるため大きなプレッシャーがあった。施主さまはじめ多くの方と対話を重ねて実現したプロジェクト。今後も地域の重要な場所としてあり続けてほしい」と語った。
表彰式の様子。今回は建築士のみならず施主、施工会社も一緒に表彰された
第8回受賞者
◆住宅建築部門正賞・新人賞「400」
大城禎人氏(大城禎人建築設計事務所)
◆一般建築部門正賞「那覇文化芸術劇場なはーと」
根路銘剛次氏(根路銘設計)、 長谷川祥久氏(香山建築研究所)、兒玉謙一郎氏(久米設計)
◆タイムス住宅新聞社賞「宜野座ヌルドゥンチ」
平田寛氏(平田寛建築設計事務所)、平田歩氏(平田設計)
◆奨励賞「うるま市のおうち」与語一哉氏(ようび建築設計室)
「路地のある家」濱元宏氏(GAB)
「ホテルストレータ那覇」富山晃一氏(UDS)
「あおみどりの木」根路銘安史氏(アトリエ・ネロ)
◆入選「立体テラスでつながる二世帯長屋」奥原和明氏(建築設計室ant)
「三枚屋根の家」仲本昌司氏(ADeR)
「TOU cafe and gallery」二宮隆史氏、二宮清佳氏(二宮設計)
審査委員
委 員 長:古谷誠章氏(建築家・早稲田大学教授)
副委員長:小倉暢之氏(琉球大学名誉教授)
委 員:能勢裕子氏(彫刻家)
武岡光明氏(県建築士事務所協会会長)
伊良波朝義氏(日本建築家協会沖縄支部支部長)
金城傑氏(県建築士会会長)
與儀拓也氏(第7回住宅建築部門正賞受賞者)
下地洋平氏(第7回一般建築部門正賞受賞者)
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1921号・2022年10月28日紙面から掲載