日常と非日常が溶ける体験|多くの拠り所がある暮らし[1]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2020年4月17日更新

日常と非日常が溶ける体験|多くの拠り所がある暮らし[1]

「定年を迎えたらキャンピングカーで日本を周遊」「お金がたまったら別荘を手に入れて田舎暮らし」「いつかは世界一周」。このような願いを一度は持ったことはないだろうか。2019年の秋に約1カ月間、日本各地で多拠点生活してみた。その体験などを通して、定住にとらわれずにいくつかの生活の拠点を持つような新しい暮らし方について、連載で紹介する。(文・久高友嗣)

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定住しないという暮らし方

いま、通信サービスや格安航空会社(LCC)などの発展、ゲストハウスの増加や民泊に関する法律の改正などから、生活や住まいの拠点が1カ所にとどまらない暮らし方、いわゆる多拠点生活が少しずつ簡単にできるようになり、注目されている。例えば、ワンボックスカーなどを使って車中泊をしながら暮らすバンライフ、特定の住まいを持たずに移動しながら暮らすアドレスホッパーなど、生活の方法はさまざまだ。


長崎の古民家を活用した月定額制の宿の一例。庭にテントを張ってミーティングスペースなどに使っていた​


京都で利用した宿のコミュニティースペース。古民家や中古物件をリノベーションして宿に活用している
 

散歩から多拠点生活へ

私はもともと好奇心が旺盛で、住んでいる地域で身の回りの新しい発見ができる散歩や、普段とは異なる非日常の場をその土地ごとで楽しめるキャンプに親しんでいる。遊牧民とまではいかないが、移動しながら暮らすことが日常になれば、散歩やキャンプよりも幅広い学びやより多くの楽しみを得られるように感じていた。多拠点生活を体験する大きなきっかけになったのは18年12月、出張先の東京で訪れた多拠点生活にまつわるトークイベントだった。そこでは、東京・長野・福井の3拠点を1~2週間単位で行き来して暮らしている人、シェアハウスなどで共同生活をしていた人たちが自身の経験談を話していた。彼らは、日頃から住む拠点を変えることで生まれる生活のメリハリ、共に暮らす人や訪れる人と交流することで生まれる刺激など、日常と非日常の境目が溶けるような、新鮮な気持ちで居られる日々に、生活の豊かさを感じているようだった。翌年3月には、多拠点生活を支援するサービス「ADDress(アドレス)」が(株)アドレス(東京都)より発表された。日本各地の空き家などを使って、複数の物件に月定額で泊まれる・暮らせるといったサービス内容だ。県外のさまざまな地域を訪ねること、日本各地で人とのつながりができることを期待し、期間限定ではあるが、前述サービスのお試しプランを使って多拠点生活を体験してみることに決めたのだ。


バンライフのイメージ。車で移動しながら寝泊まりする。写真は糸満市の浜辺でバンキャンプをした様子


一つの住まいにとどまらない暮らしのイメージ



 久高友嗣/くだか・ともつぐ/1990年、那覇市生まれ。琉球大学卒業後、健康×ITの領域で起業。2018年からキャンプ団体「CAMPO(きゃんぽ)」の活動を開始。レジャーの枠を超えたキャンプをテーマに、用品の提供や遊休地などを利活用した場づくりなどを手掛ける

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1789号・2020年4月17日紙面から掲載

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