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2022年5月20日更新

[沖縄]基地跡の都市型公園|新都心公園(那覇市おもろまち)|街中のみどり②

文・写真/吉田朝啓

の国、どの町にも公園はある。だがその成り立ちにはいろいろな事情があっておもしろい。例えば、徳川幕府が江戸に本拠地を置いて、全国の大名屋敷を近くに集めたのが、その後次々と公園になっていったという。日比谷公園などがその例だ。

さて、わが沖縄の場合はどうか。舜天、英祖、察度、尚巴志と続いた時代に、勝連城や中城城、首里城などが築かれた。だが、残念ながら、これらが歴史的な形をとどめることはなく、戦災ですべて失われた。
 

住民のための理想の公園

しかし、うれしいことに、那覇市に「新都心公園」が誕生した。米軍家族の住宅地域だったのが、広々とした公園になったのだ。園内の豊かな樹林に囲まれて、テニス、草野球、ランニングなどを楽しんでいる市民を見ると、この理想的な公園を企画した当局に脱帽したいと思う。そして、桃色や黄色のイペー、トックリキワタ(トボロチ)、ガジュマル等々、数千本の熱帯花木を吟味・選別して提供した、地元企業のオリオンビール株式会社に敬意を表したいと思う。

この公園の優れた点はもう一つ。十分な駐車スペースと「那覇市緑化センター」を設けたことだ。内部の講義室、展示室が民間への委託によって運営されていて、市民による活用を促している。

公園とは、「公共の園」と書く通り、「近隣住民の、住民による、住民のための存在」であってほしい。新都心公園は、その意味にピタリと当てはまっている。
那覇市おもろまちにある新都心公園。数千本の美しい木々が育っており、その下を人々が散歩やランニングをして楽しんでいる

ランで沖縄独自の景観に

最後に、この公園に推奨される事業が一つある。それは、園内のすべての樹木に、ランやシダ類(オオタニワタリなど)を着生させて、より複合的で豊かな植栽の公園に仕上げること。そうすれば、台湾や香港、シンガポール、ハワイなどにも見られない、沖縄独自の景観となり、観光資源として活用されるだろう。

さらに、その活動が地域住民の手によって行われるとより理想的。そのためには行政に透徹した「都市計画に関する理念」がなければならない。幸いにして、「いちゃりばちょうでー(相互扶助)」の精神を持つ県民に恵まれた沖縄だ。当局のやる気と実践に期待したい。
 


那覇市役所前のガジュマルに洋ランを着生させた様子。ガジュマルの古木とランは相性が良い。世界でも珍しい景観となり、観光資源としての活用も期待される



カエンボクの樹幹に着生したラン。ガジュマル以外でもさまざまな木に着生する



執筆者
よしだ・ちょうけい/1931年生まれ。那覇保健所や琉球衛生研究所、中央保健所などに勤め、県内の公衆衛生に寄与。NPO法人首里まちづくり研究会の顧問を務めるなど、地元首里の緑化に励む。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1898号・2022年5月20
日紙面から掲載

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