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2022年4月29日更新
[建築系学科がある工業高校]沖縄工業(那覇市)
沖縄工業高校(建築科)は
◆建築業界で活躍する卒業生が多く、ブランド力がある。県内外の大手企業からの求人もある。
◆現場で必要な資格取得に積極的。琉球大学工学部など外部とのつながりも多い。
沖縄工業(那覇市)
※定員は40人。オープンキャンパスは7月26日に開く予定。
過去3年間の進路状況/就職先は、清水建設㈱、青木あすなろ建設㈱、㈱東恩納組、㈱大城組、沖縄総合事務局、沖縄県職員(土木職)など。進学先は金沢工業大学、神奈川大学など。
長い歴史とブランド力
県内工業高校の建築科の中で、最も長い歴史がある沖縄工業高校の建築科。沖縄の建設現場を支える多くの人材を輩出してきた。その実績もあり、「一種のブランドのようになっている」と安座間均先生は話す。「進路は進学と就職が半々くらいだが、これまでの卒業生が頑張ってくれているおかげで、就職先として県内外の大手企業から声がかかったりもする」という。そのため、県内各地から生徒が集まっており、今年の一般入試の倍率も1.81倍と高かった。
「沖工訓練」と呼ばれる取り組みでは、指さし呼称をする「安全管理」「あいさつ練習」などを毎週実施。「大きな声を出すことで意識的に安全管理ができ、卒業後も役立っているという声もある」。
琉大と連携し地域貢献
資格取得に力を入れており、「2級建築施工管理技士補」については、放課後や夏休みに講座を開くなど、先生たちが組織的に連携。「高校生にとってハードルが高い試験」と言われる中、昨年11月の試験では、照屋林洸さんと宮野紗李さんを含め、建築科の2・3年生44人が合格した。
外部との関わりも多く、実習では県職業能力開発協会の「マイスター制度」を活用。鉄筋・型枠・左官などのプロから実技指導を受ける。また、昨年には、琉球大学工学部の学生がデザインし、沖縄工業建築科の学生が製作した家具を、那覇市繁多川公民館に寄贈した。
安座間先生は「もともと手先が器用な人はもちろん、不器用な人でも真面目に頑張れば伸びる業界。心配しないでチャレンジしてほしい」と話した。
わが校のここがイイ!
建築科3年の宮野紗李さん(左)、照屋林洸さん
◆沖縄工業の建築科を選んだ理由
(宮野)昔から工作など作ることが好きだった。建築会社で働く母から、仕事の話を聞いたり現場を見せてもらううちに建物に興味が湧いた。父や叔父が卒業生ということもあり沖縄工業を選んだ。
(照屋)家のリフォームを取材するテレビ番組を小さい時から見ていて、建築に憧れを持っていた。「進学や就職に強い」と聞いて受験することにした。
◆大変なこと、良かったこと
(照屋)資格の勉強は難しいけど、先生に気軽に聞けるなどコミュニケーションが取りやすい。ものづくりコンテスト沖縄大会では木材加工部門で優勝もできた。
(宮野)実習や製図など専門的な授業が楽しい。部活も自分たちで立ち上げて活動するなど、自由度が高い。
◆将来の夢
(宮野)インターンの時、職人さんとコミュニケーションをとって現場の雰囲気を良くする姿がかっこよかったので、そんな現場監督になりたい。
(照屋)イチから建物に関われる施工管理もすごいし、自分の手を動かして作るのも楽しそう。とにかく、ものづくりに携わっていきたい。
建築会社で活躍する卒業生
清水建設㈱に就職した古謝景愛さん(2022年卒)
沖縄工業の建築科は資格取得に熱心な上、クラスの仲も良いので互いに励まし合って勉強を頑張れた。おかげで今も、研修内容をしっかり理解できる。研修後は施工管理の仕事をする予定だが、2級建築士の勉強もしている。
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撮影・取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1895号・2022年4月29日紙面から掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 出嶋佳祐
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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。