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2021年11月26日更新

【沖縄】OMO5沖縄那覇by星野リゾート(那覇市松山)|HOTELに習う空間づくり[22]

当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。今回はOMO5沖縄那覇by星野リゾートをクローズアップする。

やぐらや仕掛け壁ワクワクする造り

OMO5沖縄那覇by星野リゾート(那覇市松山)

20㎡にくつろぎと広がり

客室の扉を開けると、木組みの「櫓」が目に飛び込んでくる。靴を脱ぎ、和紙畳を味わうのもそこそこに、くぐったり上ったり。広さでも景色でもなく、造りでテンションが上がるホテルは珍しい。

11月1日にオープンした「OMO5沖縄那覇 by  星野リゾート」の客室は20平方㍍に満たない。ちょっと広めのシングルルーム程度だが、狭さを感じさせない仕掛けが満載だ。

先の「やぐらルーム」は、狭い空間を縦に活用。下は足を伸ばしてゆったり座れるソファ、上は「やぐら寝台」になっている。くつろげるスペースを確保しつつ、「2・9㍍の天井高と、1・5㍍四方の大きな窓が広がりを感じさせます」と総支配人の請川哲生さん。

さらにテレビボードやサイドテーブルなどの家具がなくスッキリしている。「仕掛け壁」にテレビやアメニティーが納まっている。寝台に上がる階段も収納になっていて、実に機能的だ。

櫓や壁収納に使われている木材は太さを統一し、内装デザインの一部にもなっている。太めの木材、和紙畳、彩度を抑えたカラーコーディネートが「和モダン」な印象を醸す。

無駄は省いても、ワクワク感やデザイン性は妥協しない。これが、星野リゾートが提供する「OMO」ブランドだ。「都市にあるホテルは『ビジネスホテル』と呼ばれますが、弊社の調査に
よると、実は6割がプライベート利用。限られた広さの都市型ホテルでも旅のテンションを上げる場所にしたい、と誕生したのがOMOブランドです」

北海道旭川や東京都大塚などの都心に6施設あり、今後も大阪市などで開業が続く予定。

やぐらルーム


「やぐらルーム」は上がやぐら寝台、下はソファになっている。1~4人で利用可能。写真左側の仕掛け壁も、奥行きでなく縦の空間を利用して、テレビやアメニティーを収納


「やぐら寝台」は寝台車のような狭さが落ち着く空間


下のソファは足を伸ばして座れるサイズ。3人以上で利用する際は、ここがベッドになる。階段下も収納として活用

ダブルルーム

1~3人で利用できるダブルルーム(上)、1~2人で利用できるツインルーム(下)にも、足を伸ばして座れるソファが設置されている

ツインルーム


花ブロック印象的に使う

全国的なブランドだが、地域色も反映。「OMO5沖縄那覇」の外観は、花ブロックが印象的に用いられており、国道58号のけん騒をシャットアウトする。

フロント前のパブリックスペースにも花ブロックを応用した「花格子」があしらわれている。シンプルな空間に丸や斜線の文様が映える。「室内に落ちる影も幾何学的な形になり、面白いんですよ」と請川総支配人。

ロビーやアプローチの床にもその文様がデザインされているほか、客室内のインテリアにも文様を取り入れ、ホテル全体で花ブロックを踏襲している。




外観前面に花ブロックをあしらっている。よく見ると花ブロックの形が「OMO」になっている

フロント前のパブリックスペースにも花ブロックの文様を踏襲したスタイリッシュな「花格子」が設置されている。床にも文様をデザインしている


ホテル入り口そばにある「OMOベース」は旅の作戦を練るスペース。同ホテルスタッフがおすすめする那覇のスポットを掲載した「ご近所マップ」が設置されている


やぐらルームの浴室。壁のタイルがミンサー柄になっている

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請川支配人の話を聞いていると、「斬新さ」の裏に綿密なニーズ調査がある。

「靴を脱いでゆったりしたいけれど、畳に座るスタイルではくつろげない」「寝るときまで、ベッドはきれいにしておきたい。旅の作戦を練ったり、荷造りできるスペースがほしい」

こうした声を空間にギュッと凝縮したことで、秘密基地のように楽しい空間となっている。  


取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1873号・2021年11月 26日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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