特集・企画
2020年2月28日更新
異国情緒あふれる建物 個性生かし「非日常感」|HOTELに習う空間づくり[9]
当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。
ザ・プールリゾート沖縄(恩納村)
ホテル1階にあるキッチン付きの部屋「プールサイドツイン&キッチン」。素焼きタイル張りの床や、丸い梁・柱がサンタフェ風。個性的な空間にカラフルなソファやクッション、アートがマッチしている
築30年のホテル改修
床は素焼きタイル、ぽってりと厚みのある塗り壁、天井には角の無い梁(はり)が並ぶ。アメリカ・ニューメキシコ州の街「サンタフェ風」の木造ホテルだが築30年たち、あちこちが劣化。数年前までは開店休業状態だった。
3年前、運営について相談を受けたのは、県内でホテルコンサルティングや開発・運営を手掛ける(株)ファイブスターコーポレーション。同社・代表取締役の鈴木義浩さんは、「同施設は敷地の中央にプールがあり、それを囲むようにホテルが建つ。1階の客室のベランダからすぐプールへ入れたり、2階はメゾネットだったり、贅沢(ぜいたく)で個性的な造り。それを生かすべく、建物自体は傷んでいたり汚れている部分の改修にとどめました」と話す。
家具やインテリアは建物の雰囲気に合わせ、木やビビッドカラーを取り入れた。「最初、この建物を見たときにイメージカラーは赤だ!とピンときたんです」。情熱的な赤をホテルのメインカラーにし、黄色や青などのインテリアで異国情緒を強調。フォトジェニックな28室の客室を持つ「ザ・プールリゾート沖縄」へ生まれ変わらせた。
各居室に飾っているアートは、「建物自体にインパクトがあるので、負けないよう大胆で抽象的なものを多く選びました」。存在感のあるアートが埋もれず浮かない、バランスの取れた空間となっている。
そうした主張の強いアイテムを住まいに取り入れるには勇気がいる。「リゾートなので家の延長ではつまらないかな、と。非日常感を味わってもらうべく、わりと〝攻めた内装〟を心掛けた」
プールサイドデラックス。こちらは、ホテルのイメージカラーである赤をあちこちに取り入れた空間。アートはモノトーンだが大胆な柄で空間を華やげている。
ザ・プールリゾート沖縄の外観。中央のプールを囲むように建物が建つ。1階の客室からはすぐプールに入れる
新たにコテージ10棟配置
ホテルをリフォームする際、草が生い茂っていた隣地も整備して10棟のプライベートコテージを配置した。
箱のような約10坪の建物は、実はトレーラーハウス。トラックでけん引して移動することが可能だ。「隣地のホテルは、補修したといえど何十年も持つわけではない。取り壊して新しく建てる際、この土地まで広々と使えるように」と先を見据えてのことだ。
コテージの扉を開けると、ポップな黄色の壁が目に飛び込んでくる。3.1メートルある天井と相まって、外から見るより明るく広々とした印象。ロフトもあり、最大5人で宿泊できる。
インテリアコーディネートを手掛けた池田真由美さんは「ビタミンカラーの壁を基調に、カジュアルな雰囲気にまとめました。ファミリーや女子会などでワイワイ使ってもらいたい」と話す。さらに一面だけは、「ちょっと面白い壁紙を使ってアクセントにしています」。トイレも同様に一面だけ柄を変え、四角い空間が単調に見えないよう工夫を凝らしている。
家具は落ち着いた色でまとめている。「鈴木さんと話しながら、非日常感を演出しつつ、リラックスできる空間になるよう配慮しています」
希望ヶ丘という、さまざまな宿泊施設が建つ場所で「新築ではないし、高級感を重視した施設ではないが個性的で楽しめる空間になっていると思う」と鈴木さんは話した。
新たに設置した「プライベートコテージ」。約10坪のトレーラーハウスだが、ビタミンカラーの壁や天井高のおかげで窮屈さは感じない
トレーラーハウスの脱衣所側からトイレを見る。トイレも1面だけ壁紙を変えて単調に見えないよう工夫している。
プライベートコテージの外観。軽量鉄骨造のトレーラーハウスだ。ピンクやイエロー、ブルーなど元気な色の外観で見た目も楽しい
プライベートコテージ内にはもちろん、トイレや浴室も付いている。洗濯機まで設置されているから長期滞在にも向いている。ロフト付きで、最大5人で宿泊できる
ホテル1階にあるキッチン付きの部屋「プールサイドツイン&キッチン」。素焼きタイル張りの床や、丸い梁・柱がサンタフェ風。個性的な空間にカラフルなソファやクッション、アートがマッチしている
築30年のホテル改修
床は素焼きタイル、ぽってりと厚みのある塗り壁、天井には角の無い梁(はり)が並ぶ。アメリカ・ニューメキシコ州の街「サンタフェ風」の木造ホテルだが築30年たち、あちこちが劣化。数年前までは開店休業状態だった。
3年前、運営について相談を受けたのは、県内でホテルコンサルティングや開発・運営を手掛ける(株)ファイブスターコーポレーション。同社・代表取締役の鈴木義浩さんは、「同施設は敷地の中央にプールがあり、それを囲むようにホテルが建つ。1階の客室のベランダからすぐプールへ入れたり、2階はメゾネットだったり、贅沢(ぜいたく)で個性的な造り。それを生かすべく、建物自体は傷んでいたり汚れている部分の改修にとどめました」と話す。
家具やインテリアは建物の雰囲気に合わせ、木やビビッドカラーを取り入れた。「最初、この建物を見たときにイメージカラーは赤だ!とピンときたんです」。情熱的な赤をホテルのメインカラーにし、黄色や青などのインテリアで異国情緒を強調。フォトジェニックな28室の客室を持つ「ザ・プールリゾート沖縄」へ生まれ変わらせた。
各居室に飾っているアートは、「建物自体にインパクトがあるので、負けないよう大胆で抽象的なものを多く選びました」。存在感のあるアートが埋もれず浮かない、バランスの取れた空間となっている。
そうした主張の強いアイテムを住まいに取り入れるには勇気がいる。「リゾートなので家の延長ではつまらないかな、と。非日常感を味わってもらうべく、わりと〝攻めた内装〟を心掛けた」
プールサイドデラックス。こちらは、ホテルのイメージカラーである赤をあちこちに取り入れた空間。アートはモノトーンだが大胆な柄で空間を華やげている。
ザ・プールリゾート沖縄の外観。中央のプールを囲むように建物が建つ。1階の客室からはすぐプールに入れる
新たにコテージ10棟配置
ホテルをリフォームする際、草が生い茂っていた隣地も整備して10棟のプライベートコテージを配置した。
箱のような約10坪の建物は、実はトレーラーハウス。トラックでけん引して移動することが可能だ。「隣地のホテルは、補修したといえど何十年も持つわけではない。取り壊して新しく建てる際、この土地まで広々と使えるように」と先を見据えてのことだ。
コテージの扉を開けると、ポップな黄色の壁が目に飛び込んでくる。3.1メートルある天井と相まって、外から見るより明るく広々とした印象。ロフトもあり、最大5人で宿泊できる。
インテリアコーディネートを手掛けた池田真由美さんは「ビタミンカラーの壁を基調に、カジュアルな雰囲気にまとめました。ファミリーや女子会などでワイワイ使ってもらいたい」と話す。さらに一面だけは、「ちょっと面白い壁紙を使ってアクセントにしています」。トイレも同様に一面だけ柄を変え、四角い空間が単調に見えないよう工夫を凝らしている。
家具は落ち着いた色でまとめている。「鈴木さんと話しながら、非日常感を演出しつつ、リラックスできる空間になるよう配慮しています」
希望ヶ丘という、さまざまな宿泊施設が建つ場所で「新築ではないし、高級感を重視した施設ではないが個性的で楽しめる空間になっていると思う」と鈴木さんは話した。
新たに設置した「プライベートコテージ」。約10坪のトレーラーハウスだが、ビタミンカラーの壁や天井高のおかげで窮屈さは感じない
トレーラーハウスの脱衣所側からトイレを見る。トイレも1面だけ壁紙を変えて単調に見えないよう工夫している。
プライベートコテージの外観。軽量鉄骨造のトレーラーハウスだ。ピンクやイエロー、ブルーなど元気な色の外観で見た目も楽しい
プライベートコテージ内にはもちろん、トイレや浴室も付いている。洗濯機まで設置されているから長期滞在にも向いている。ロフト付きで、最大5人で宿泊できる
取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1782号・2020年2月28日紙面から掲載
この連載の記事
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
これまでに書いた記事:350
編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。