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2021年8月13日更新

[沖縄・移住]暮らしをサイズダウン シニアから楽しむ沖縄移住[5]

[文・写真/青木 容子]
60代後半で沖縄に移住した青木容子さん。本連載は、青木さんが移住に伴って、資産整理や断捨離などの暮らしをサイズダウンした経験と、沖縄で生活する中での楽しみを紹介します。

荒波越えて船で沖縄へ


美術館や歴史巡るプチ旅行

沖縄での住まいが決まり、友人たちに見送られて静岡を出発。約1週間かけて、息子家族や知り合いに会ったり、故郷を訪れたりしながら車で鹿児島まで行き、フェリーで沖縄へ渡りました。実は船が苦手な私。決心できず飛行機で行くことも考えていたのですが、「沖縄県民になるには荒波を越えなくては」という夫の一言で覚悟を決めて、このプランになったのでした。

まずは岡山県倉敷市へ行き、翌日に市内観光。モネやピカソなどの西洋美術が楽しめる大原美術館へ久しぶりに足を運び、その隣のエル・グレコという大正時代の建物にあるカフェで楽しい時間を過ごしました。

次に訪ねたのは広島。原爆の爆心地や資料館などを回り、私の故郷・長崎と同じような歴史を持つ街に触れられたような気がしました。その日は、これから自分たちが沖縄で開くための参考にと、ゲストハウスに宿泊。今後の暮らしのイメージを形作っていきました。

その翌日は大分の知人を訪ね、初めて岡城跡に登ったあと、長崎へ。途中に通ったやまなみハイウェイから見た阿蘇山の雄大な草原は、今でも忘れられない景色です。長崎に着き、久しぶりのお墓参り。学生時代の友人らとも集まることができて、タイムスリップしたような再会を、時間がたつのも忘れて楽しみました。


青木さんが通っていた長崎の女子大学(通学当時は短期大学)。十数年ぶりに来訪、旧友らとも再会してから沖縄へ向かった

爆ドームにて、夫・嘉一郎さん=写真=と。初めて広島を訪れてその歴史に触れた

移住という名の片道切符

次の鹿児島では、息子家族と1日を過ごしました。料理人の息子がつくる中華料理を堪能し、ゆっくり話をする時間も取れました。

そしてフェリー出発の時。車を積み込むため、夫は一足先に船内へ。車が入っていく様子を待合室から撮影した時に、「これは片道切符なんだ」と身に染みて感じ、期待と不安で今までにない複雑な気持ちになりました。

奄美大島や徳之島など四つの島に寄港して、本部港へ。酔い止め薬やグッズのおかげで気分に問題はなかったものの、とても長く感じた24時間でした。そして2016年12月13日の夕方、本部港に到着した私たちはようやく沖縄県民になる第一歩を踏み出したのでした。


陶芸家・森下真吾さんから「旅のお供に連れていって」といただいた人形「ごぐう」


嘉一郎さんが運転する車がフェリーに乗り込む様子。移住するんだと実感した瞬間だった


[沖縄・移住]暮らしをサイズダウン シニアから楽しむ沖縄移住|青木容子さん
あおき・ようこ/1948年、長崎市生まれ。夫・嘉一郎とともに、90年から静岡県富士宮市で企画アートギャラリー「芸術空間あおき」を経営。2016年に沖縄移住し、北中城村瑞慶覧のカフェ「沖縄物語」内でアートショップを営む。☎︎090・4799・2873
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1858号・2021年8月13日紙面から掲載

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