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2021年8月6日更新
沖縄|車椅子トラベラー三代達也さん ことし3月から沖縄移住
18歳の時にバイク事故で車椅子生活になった三代達也さん。2年のリハビリを経て28歳の時に単独世界一周を達成。ことし3月から沖縄に移住している。住み心地や県内のバリアフリーについて聞いた。
沖縄の人々に根付く「心のバリアフリー」
車椅子トラベラー三代達也さん
みよ・たつや/1988年、茨城県生まれ。18歳のときにバイク事故で頸椎(けいつい)を損傷。車椅子生活に。28歳の時、約9カ月間で23カ国42都市以上を回って世界一周を達成。ことし3月から糸満市に移住。医療系専門学校で講演を行うなど積極的に活動する。著書「No Rain No Rainbow 一度死んだ僕の、車いす世界一周(光文社)」。YouTubeチャンネル「Miyo channel」を運営
―ことし3月から沖縄に移住されましたが、住み心地やバリアフリー面に感じることは?
とても居心地が良いです。沖縄の人って、僕が困っていると「手伝うねー?」「どうしたの?」って声をかけてくれる。本土ではそれが当たり前ではないので、さすが沖縄! 海外っぽいマインドだなと感じます。
僕が「車椅子トラベラー」になったきっかけは、10年前に行ったハワイ旅行。初めての一人海外旅行だったのですが、思い切って、通りすがりのバーに立ち寄ったんです。すると、周りの人がガンガン話しかけてきて(笑)、仲良くなって大盛り上がりしました。日本では知らない外国人、しかも車椅子の人に話しかけるってなかなか考えられない。「心のバリアフリー」を実感しました。
そのハワイと似た感覚が沖縄にもある。今日も、老舗の沖縄そば屋に一人で行ったんです。バリアーはあったけれど、お店の人やお客さんがスッと手を貸してくれて、沖縄の味を存分に堪能できました。
一方で、ハワイとの違いは交通面。ハワイは車椅子対応のバスが全域を走っていて、一人でも観光を楽しめました。沖縄では障がい者が公共交通を使って、一人で中北部まで行くのはハードルが高いと思います。
ただ、県内でもさまざまな人や団体が地道な活動をしてきたおかげで、モノレールのバリアフリーは少しずつ充実してきています。それが県内全域に行き渡れば、ハワイに負けないバリアフリー観光地になれると思います。
―沖縄ではどんなお仕事を?
観光関係者の方と意見交換させていただいたり、県内の学校で講演をさせてもらったりしています=下写真。
移住は9月までの予定でしたが、先々の仕事も決まっているのでもう少し居ることになりそうです。引き続き、沖縄での出合いを楽しみにしています。
県内学校で講演活動も
ことし6月に行った沖縄統合医療学院での講義
三代さんは、県内のリハビリ専門学校や普通高校などでの講演も行っている。「当事者である僕の行動を知ることで、その生徒さんがリハビリを指導する立場になったときに、説明の仕方も変わってくると思うんです。例えば、単にベッドから車椅子へ乗降させるのではなくて『この動きは、ディズニーランドのアトラクションに乗るときにも必要なんだよ』とかね。僕の体験談を通して、患者さんの未来を想像できるようになればいいな、と思っています」
若者たちの視野を広げるべく、県内外でコツコツと講演活動を続けている。
第1857号・2021年8月6日紙面から掲載