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2020年9月18日更新

台風後の住宅メンテナンス&チェックポイント |気になるコト調べます![64]

台風シーズンまっただ中。住まいを守るには、襲来前の対策はもちろんだが、去った後のメンテナンスも忘れてはならない。アーキテクトラボ ハロームの管理建築士・新里尚次郎さんは「外壁からサッシまで、家全体の塩分を落として。天井裏も確認を」と話す。

すぐに洗って塩害防ぐ


 屋上から外壁まで「丸洗い」 
洗車機の前にできる長蛇の列。台風後の沖縄で必ず見られる光景だ。その様子に新里尚次郎さんは「車もだけど、まずは家を洗って」と訴える。「台風の雨や風が、車のさびの原因になるほどの塩分を含んでいることを、沖縄の人は知っているはず。その塩分は家にも影響を与える」という。

そもそも台風は海水を巻き上げながら移動するため、その雨や風には海水中の塩分が含まれる。「塩分は外壁の塗装を劣化させてしまう。沖縄では沿岸部だけでなく、内陸部でもそのような塩害のおそれがある」

そこで、台風後に取り組みたいのが「家の丸洗い」。屋上から外壁まで家全体を洗って、塩分とともに、葉っぱや土ぼこりなどの汚れも落とそう。
方法は、ホースで水をかけ、モップなどでこする。家庭用の中性洗剤を水で薄め、モップに付けてこすると、より塩分や汚れが落ちやすくなるという。このとき、柔らかい素材でこするよう注意が必要。デッキブラシなどの硬い素材でこすると、塗装がはがれることもあるためだ。高圧洗浄機も、古い塗装をはがしたり、小さな傷や亀裂の奥へと水を押し込んでしまう可能性があるので気をつけたい。

また、外壁と一緒に洗ってしまいがちな照明やインターホンなどは、勢いよく水をかけると故障やさびの原因になる。できればぬらした雑巾などで拭いて汚れを落とそう。

何日も放置しないことも大切。「手の届く範囲でいいので、風が収まったらすぐにやる。家を洗うついでに車も洗うくらいの気持ちで」と新里さん。そうすることで家の見た目がきれいになるだけでなく、塗装も長持ちする。


 塩分はサッシも腐食させる 
見落としがちなのがアルミサッシ。一般的に「水に強い」とされているが、台風の雨や風に含まれる塩分と化学反応を起こし、腐食してしまうという。「放置すると、白くてざらざらした斑点が出てきて、最終的にはボロボロになる。サッシも忘れず洗うように」。サッシの下から雨が吹き込んできた場合は、サッシを外し、ローラーやレールも拭く。
そのほか庭の植栽も、葉の裏側や木の根元までしっかり水をかける。

台風後のチェックポイントとして、新里さんは「外壁に使われたパネル材の継ぎ目」を挙げる。木造や軽量鉄骨造などの場合、強風で建物全体が揺れ、サイディングボードなどの継ぎ目のシーリングが切れてしまうことがあるためだ。

天井裏や床下も、換気口から雨が吹き込んでいないか確認を。水が入ってしまうと、雨漏りや、躯体の構造材を腐らせる原因になる。「換気口の位置を変えるのも手だが、風の向きは毎回変わるため、換気口を閉じられるようにしたり、吹き込みにくい形のフードに取り換えるのもいい」

新里さんは「家を長持ちさせるには、台風後のメンテナンスやチェックは大切。しかし、これらは台風後だけでなく、日頃から意識することで、より住まいを長持ちさせられる」と強調した。


台風後の住宅メンテナンス
◆屋上、外壁を洗う
・ホースで水をかけながら、モップやスポンジといった柔らかい素材でこすり、塩分や汚れ、土ぼこりなどを落とす
・バケツに入れた水に家庭用中性洗剤を混ぜ、それをモップにつけてこすると、塩分や汚れが落ちやすくなる
・屋根や雨どい、排水溝にたまった葉っぱなどの飛来物を取り除く

◆植栽を洗う
・葉の裏側や木の根元など、植物全体にしっかり水をかけて、付着した塩分を落とす
・土中の塩分濃度が高くても植物は枯れることがあるため、新里家では水たまりができるくらい地面にも水をまいて土中の塩分濃度を下げるそう

◆サッシを洗う
・サッシも塩分で腐食するため、外壁などと同様に柔らかい布などで洗う
・サッシの下から吹き込んだ場合、サッシを外し、ローラーやレールも洗う

塩分でサッシが腐食し、雨水が入った様子

※いずれの作業も、手の届く範囲でOK。気になる場合は無理せず業者に依頼する


台風後のチェックポイント
◆屋根・外壁
・瓦などの屋根材がはがれていないか
・外壁のシーリング材が切れていないか
・コンクリート打ち放しなら、亀裂がないか
    ↓
異常があれば補修し、次の台風に備える

◆天井裏・床下
・部材を固定する金物が曲がっていないか
・換気口から雨水が吹き込んでいないか
 2階のベランダなど、サッシの下に床下換気口があるケースも注意。排水溝が詰まるなどして、ベランダにたまった水が2階の床下換気口から建物内に入り、1階に水漏れするケースもある




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取材/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1811号・2020年9月18日紙面から掲載

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