家にウイルス入れない・留めない|住まいですべき新型コロナ対策|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2020年4月10日更新

家にウイルス入れない・留めない|住まいですべき新型コロナ対策

新型コロナウイルスが世界的に感染拡大する中、家ですべき対策はなんだろう。沖縄県立中部病院・感染症内科の横山周平医師は「帰宅後は手洗いをして自宅にウイルスを持ち込まないことと、換気をして室内に留めないことが大切」と呼びかける。それらは新型コロナ対策に限らず、日々の暮らしでも当たり前のこと。神経質になりがちな昨今こそ「最も効果的な予防は、継続すること。昨日は一生懸命やったけど今日は疲れたからしない、が一番危ない」と強調する。

特集・企画

タグから記事を探す

接触・飛沫感染を防ごう


飛沫感染/感染者のくしゃみ、せき、つばなどと一緒にウイルスが放出され、他者がそれを口や鼻などから吸い込んで感染する。屋内などで互いの距離が十分に確保できない状況で一定時間を過ごす場合は注意



接触感染/感染者がくしゃみやせきを手で押さえた後、その手で物に触れるとウイルスが付く。未感染者がその部分に接触すると、感染者のウイルスが未感染者の手に付着。その手で自分の口や目、鼻などを触ることで感染する


最も危ない「手」

住まいでの対策は、まず家にウイルスを持ち込まないこと。横山医師は「自分の手にはウイルスが付着している、と認識して行動しましょう」と話す。

帰宅後、最初にするべきは手を清潔にすること。それが新型コロナなどのウイルスを家に入れないための最も効果的な対策だ。

外でさまざまなものに触れた手は、多数のウイルスが付着している。新型コロナは「接触感染」=下記参考=することから、帰宅後その手であちこち触ると、そこから家族に感染することも考えられる。
帰ったらどこにも触れずに「手洗い場に直行するか、玄関にアルコール消毒剤を置き、消毒しましょう」。

アルコール消毒とせっけん手洗いの違いを聞くと、「アルコールは手軽で、せっけんより若干、殺菌効果が高い。だが、手に汚れ(タンパク質)が付いていると殺菌効果が弱まる。せっけんは、汚れとウイルスをまとめて落とせる。手を見て、汚れが付いている場合はせっけんで手を洗った方がいい」とアドバイスする。

横山医師は「ウイルス対策の中でも手洗いは徹底している。帰宅後、トイレの後、食前などは必ず手洗いする。耳にタコができるほど聞いていると思うが、手を清潔にすることが最も効果的な予防」と強調する。



帰宅後は手洗いまたは消毒を!

帰宅後は、どこにも触らず手洗い場に直行するか、玄関にアルコール消毒剤を置いて消毒をしよう。手は体の中で一番、さまざまなものに触れる部位であり、多数のウイルスが付着している。手を清潔にし、外からの菌を持ち込まないことが大切だ
 


換気も大切

住まいでの「飛沫感染」予防に有効なのが換気だ。密閉空間では、くしゃみやつばで出た飛沫は、空間を漂い続ける。「自覚がないまま新型コロナなどのウイルスに感染した家族がいた場合、その人の飛沫を吸い込むことでほかの家族が感染する恐れがある。その飛沫を換気によって外に出す」と横山医師は語る。

(一社)日本建築学会と(公社)空気調和・衛生工学会は3月23日と30日、ホームページ上で換気に関する文書をアップしている。同文書では、新型コロナについて、現状では「どの程度の換気を行えば十分なのかについては科学的根拠のある情報が得られてない」と前置きしつつ、「正しい換気の方法は汚染物質が何であっても大きくは変わらない」としている。

通常の家庭用エアコンは空気を循環させるだけで換気を行っていないため窓開け換気などを推奨しているほか、窓開け換気をする場合、2方向の窓を開けることで換気量・換気効率を向上させることができる、などの情報を提供している。


まめに換気 飛沫を外へ


密閉された空間では、つばなどの飛沫(ひまつ)が空気中に漂い続ける。家族に感染者がいた場合、その人の飛沫を他の家族が吸い込むことで飛沫感染が起こってしまう。
その飛沫を外に出すためにも、換気が大切。窓開け換気をする場合は2方向以上の窓を開けて、風の流れを作ろう。一般的に、入り口と出口が離れている方が換気効率は良くなる。
日本建築学会と空気調和・衛生工学会が発表した換気にまつわる資料によると「窓が一方向にしかない場合も多いと思いますが、そのような場合でもバルコニー側の窓を開き、廊下の扉を開いて、玄関の扉を開けば(防犯上問題のない程度に)、大きな換気性能が期待できます」としている


手洗い継続が最重要

もう1歩、進んだ対策としては家族みんなが触れるドアノブや電気のスイッチ、水回りの蛇口、共有しているパソコンなどの「高頻度接触面」を消毒すること。それにより、家庭内の接触感染を防ぐ。
「家族の中に感染者がいる恐れがあれば有効な対策です。新型コロナに限らず感染予防という観点から言うと、やるにこしたことはない」としつつ、「〝コロナ疲れ〟という言葉も耳にする昨今。あれこれ気をもみ過ぎず、まずはまめな手洗いを続けること、3密(密閉空間・密集場所・密接場面)を避けることを徹底してほしい」と呼び掛けた。


皆が触れる部分消毒

家庭内の接触感染を防ぐのに、家族皆が触れるドアノブやスイッチ、リモコンなどの消毒は有効。厚生労働省によると「薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤(主成分が次亜塩素酸ナトリウムのもの)で拭いた後、水拭きしましょう」とある。家族の体調が気になるときや、日々の掃除の後、余力があるときに実行しよう。


横山医師に聞いてみた

Q・まめな手洗いとは、どのくらいの頻度か
A・具体的な回数でお答えするのは難しいですが、私自身は患者さんに接触する前後や、帰宅後、食事の前、トイレの後などには必ず手洗いしています。自分の手にはたくさんのウイルスが付着していて汚いことを認識し、うつらない、うつさない意識を持つことが大切です。また、手指衛生で見落としやすいのが指先や親指。意識して洗うようにしてください。

Q・スーパーの出入り口にあるアルコール消毒液はいつ使う?
A・私は入る前にも出る時にも使っています。それでも、帰宅後は必ず手洗いしていますよ。

Q・重症化しやすい人は
A・持病がある人は重症化しやすいようです。中国で発表されたデータによると、重症になりやすいワースト1位は心疾患、2位は糖尿病、3位は慢性呼吸疾患(ヘビースモーカーなど)、4位は高血圧、5位はがん、です。ですから、持病がある人は薬をきちんと服用するなど、病をコントロールすることが重要です。
 

沖縄県の新型コロナウイルス感染症コールセンターと特設サイト

沖縄県は、新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口として、コールセンターを開設している。
電話=098・866・2129(24時間対応)
また、県のホームページでも新型コロナに関する各種情報を発信している。県内での発生状況や支援策などを紹介している。(https://www.pref.okinawa.lg.jp/)


編集/東江菜穂
『週刊タイムス住宅新聞』住まいですべき新型コロナ対策
第1788号 2020年4月10日掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
東江菜穂

これまでに書いた記事:350

編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

TOPへ戻る