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2024年11月15日更新

増える高経年マンション|修繕費の確保がカギ|そろそろ補修・改修

県内マンションの高経年化が進んでおり、修繕積立金不足に悩む管理組合も多い。そんな中、沖縄振興開発金融公庫の「マンション共用部分リフォーム融資」が実績を伸ばしている。沖縄公庫の住宅融資班・島袋林紀さんと與座申一郎さんに県内のマンションの現状と同融資について聞いた。

修繕積立金 不足の理由 

全国的にマンションストック数は右肩上がりに増加しており、築40年を超える高経年マンションも増えている=下図。それに伴って「昨今、マンションの修繕への関心が高くなっている」と沖縄公庫の住宅融資班・島袋さんは話す。

築年数を重ねても資産価値や安全性を保つには、必要に応じて修繕工事を行うことが重要だ。「外壁や屋根の補修工事、エレベーターや駐車場設備の取り換え工事など、マンションの大規模修繕には大きな支出が伴う。そのため、十分な資金の確保がポイントとなる」と同班の與座さんは説明する。

こうした共用部分の修繕資金は、入居者(区分所有者)全員から毎月徴収して積み立てておく「修繕積立金」から捻出するが、不足しているケースは少なくない。

理由は「工事費の高騰が大きく影響している」と県内のマンション管理会社の担当者は語る。「工事費は年々上がり続けている。10年前の感覚で、そのまま積み立てていると将来的に大きな負担を背負うことになる。定期的に積立計画を見直すことが大切」と警鐘を鳴らす。

 築40年以上のマンションストック数の推移(全国)

※2023年末・国土交通省発表資料 ※()内は築40年以上となるマンションの築年を示す。
※建築着工統計などを基に推計した分譲マンションストック戸数および国土交通省が把握している除却戸数を基に推計
沖縄県が2020年に行った県内のマンション実態調査では、20年度時点で築40年以上のマンションは52件だが、その5年後(25年度)には186件、その10年後(30年度)は367件になるとしている。


また、新築当初は積立金額を低く設定して徐々に増額していく「段階増額積立=下参照」を採用している管理組合は多いが「予定していた時期に値上げできず、計画通りに積み立てられていないケースもあるようだ」と島袋さんは説明する。
 
修繕金の積立方式「均等積立」と「段階増額積立」
修繕積立金の方式には、最初は低く設定して徐々に増額していく「段階増額積立」方式と、最初から一定額を徴収する「均等積立」方式がある。 国土交通省の「マンション総合調査」によると、2000年以降に完成したマンションでは段階増額積立を採用しているところが多い。
 

融資活用するのも手

資金がたまるのを待っていられない状況においては、金融機関の融資を利用するのも手だ。公庫の「マンション共用部分リフォーム融資」は、マンション外部や内部の修繕工事=下参照=はもちろん、耐震改修や省エネルギー対策工事の費用なども貸し付ける。

島袋さんは「修繕意識の高まりとともに、融資実績は伸び続ている。2023年度の融資件数は19件で金額は4億4720万円と過去最高だった。さらに本年度は上半期ですでに13件3億9530万円に達している」と話す。「融資の平均額は3000万円程度。返済期間は10年以内だが、工事内容によっては20年以内に延長できる」と與座さん。

また、公庫では管理組合向けの債券「美ら家債」も発行している。「10年満期時の平均利率は0・650%。さらに同債権を保有していると、共有部分リフォーム融資の金利が、年0・2%引き下げになる」と與座さん。家ら家債の応募受付は、25年1月6日までだが募集状況によっては受け付け終了日が前倒しになる可能性がある。その際は公庫のホームページに掲載予定。

 沖縄公庫の融資対象となる工事の例 
マンションの経年変化が進む中で、修繕積立金の不足や工事費の高騰などから金融機関の融資を利用する管理組合が増えている。代表的なのが、沖縄振興開発金融公庫の「マンション共用部分リフォーム融資」だ。下記のような工事が融資の対象となる。

◆外部の工事
◆内部の工事

※詳細は沖縄公庫のホームページ(https://www.okinawakouko.go.jp)か
沖縄公庫本店住宅融資班(電話=098・941・1850)に問い合わせを

 

取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2028号・2024年11月15日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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