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2024年6月14日更新

足場とセットで経済的に|知っておきたい!補修・改修のキホン③

今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせない。が、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手掛けるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに、ポイントを解説してもらう。3回目は、セルフチェックを基に建物調査や見積もりを依頼する際の注意点と費用について。


文・赤嶺雄一郎 ㈱タイズリフォーム代表取締役
 

足場とセットで経済的に

前回は、建物のセルフチェックを実施して記録に残しておくことをお勧めしました。今回はその記録を基に専門業者へ建物調査や見積もりの依頼をする際の注意点や費用についてお話します。

セルフチェックを実施した上で、一番気になるのはその修繕にかかる費用だと思います。専門業者へ建物診断や見積もりを依頼する際、建物の規模や調査の難易度などによっては有償になる場合もあるため、事前に確認をしておきましょう。

業者から調査結果の説明を受ける時は口頭でのやりとりではなく、必ず調査報告書を提出してもらうことが重要です。また、疑問に感じたことは納得できるまで質問し、さらにそのやりとりを議事録として残しておくことで、別業者との比較や後のトラブル防止に役立ちます。
 

漏水修繕は高額に
 
業者の建物診断によって、セルフチェックでは気付けなかった不具合や深刻な劣化部位が露見する場合があります。具体的には漏水やコンクリートの爆裂、各種設備機器の劣化などです。これらは表面的な補修ではなく、抜本的な修繕や改良が必要となることが多いため高額な費用を要します。

表に一般的な仕様に基づく各種修繕の概算金額をまとめました。この金額は劣化の度合いや工法、使用材料などによって多様に変動するため、あくまでも参考とお考えください。

■一般的な仕様に基づく各種修繕の概算金額

 

コストかかる足場
 
意外とコストがかかるのが「足場」です。足場には種類があり、安全性や作業性の高さに比例して金額が変動します。この高額な足場を設置した時に確実に実施しておきたいのが「バルコニーの床防水」です。バルコニー内の工事は原則全て足場が必要ですが、その中でも特に漏水事故やコンクリート爆裂を未然に防ぐ床防水は非常に重要な工事となります。

修繕時期に達したさびだらけの給水管や高所に設置され耐用年数が近づいている照明器具なども一緒に取り換えましょう。後で実施した場合は足場代や塗装代、諸経費などが別途発生するからです。


■主な足場の種類


左上が単管足場、上がくさび式足場。幅や形状、連結・組立方法、高さの制限に違いがあり、状況に応じて業者から提案される。費用も異なる。このほか枠組み足場や次世代型足場などがあり、工事中はすべての足場は塗料・粉じんなどの飛散防止用シートで覆われ、注意喚起や禁止事項などの掲示物が張り出される。
 

足場をかける際は、バルコニーの床防水だけでなく、窓枠・換気フード・エアコンスリーブのシーリングの打ち替え、照明器具も取り替えを(点線部)

 
総額修繕費で判断
 
逆に比較的状態が良く、予算が限られている時に、次期工事に回せるのが、外部足場が不要な廊下や階段の床防水や内壁塗装です。ただ、単発実施すると割高になる場合もあるので注意が必要です。

いかがでしたか?セルフチェックと専門業者からの診断結果をすり合わせることで、現状の問題点と対策が明確になるだけでなく、今後の建物チェック精度の向上や次期修繕計画の策定にも大いに役立ちます。

修繕工事は建物が存在している間、常に発生します。その時々の金額に一喜一憂するのではなく、長い目で見た建物の総額修繕費用(ライフサイクルコスト)で判断されることを強くお勧めいたします。



【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/㈱タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士

◆㈱タイズリフォーム
電話=098·975·7815

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2006号・2024年06月14日紙面から掲載

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