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2023年8月11日更新

壁で囲み目立たず メンテも考慮|今ある家をバージョンアップ[34]

文・佐藤ともえ/リノベーション協議会沖縄支部会員、(株)in tree

case34「築36年一戸建てに防音室を設置」

ピアノやギターなど楽器の演奏は没頭できて、時間を忘れてしまうほど楽しいですよね。しかし、マンションや住宅街では、どうしても音漏れや時間帯が気になってしまうもの。今回はリノベーションを機にユニットタイプの防音室を設置した事例をもとに、設置に際して気を付けるポイントをお伝えします。
 

◆相談&課題
時間を気にせず楽器を楽しむため、防音室を設けたい。インテリアになじむように仕上げてほしい。


階数・構造によっては補強必要

防音室にはさまざまな種類がありますが、今回設置したのは既製品のユニットタイプ。広さは1.2帖で、総重量は約400キロもあります。設置場所がRC(鉄筋コンクリート)造の1階だったので補強は不要でしたが、これが木造の2階以上であったり、RC造でも1960年以前に建築された建物であれば、「補強が必要」あるいは「設置できない」可能性があるので注意が必要です。

そのような場合には組み立て型の簡易的な防音室や、防音パネルを壁に貼り付けて施工するタイプがおすすめ。こちらは「完全に音が漏れない」ということではなく、「外にいると音が聞こえにくくなる」という感じです。

防音性能には等級があり、その等級によってコストも変動するので、周辺環境や使用する時間帯も考慮して検討しましょう。
 
防音室。1.2帖あるので、1人で使用するには十分のスペース
防音室。1.2帖あるので、1人で使用するには十分のスペース

施工中の様子。防音室=写真中央=を先に設置してから、壁を立ち上げていった施工中の様子。防音室=写真中央=を先に設置してから、壁を立ち上げていった

防音室のメンテナンススペースに通じる扉。ウオークインクローゼット内に設置することで目立たないようにした防音室のメンテナンススペースに通じる扉。ウオークインクローゼット内に設置することで目立たないようにした


エアコンのため床下に排水管

既製品の防音室は本来、既存の住まいにそのまま設置できるようになっていますが、今回はフルリノベーションを行うタイミングでしたので、防音室を壁で囲み、一見するとどこに防音室があるのか分からないようにしました。

インテリアの観点からみるとこれでOKなのですが、防音室の中は気密性が高くなるため換気設備は必須ですし、快適に過ごせるようエアコンも設置したため結露水を室外に出すための排水処理を施さなくてはなりません。フルリノベーションは給排水管も新しくするので、防音室の位置に合わせて床下に排水管を通し、エアコン結露水を排水できるようにしました。


メンテ用の作業スペースも

防音室自体は特別なメンテナンスは不要ですが、換気設備やエアコンは定期メンテナンスや、時期がくれば交換が必要になりますよね。その際スムーズに作業が行えるように、防音室と室内壁との間には人が入れるほどの作業スペースを確保しました。

冒頭でもお伝えしたようにユニットタイプの防音室は室内にそのまま設置することが可能ですが、リフォームやリノベーションを機に防音室を検討している場合には、このような対策は必須です。

今回はちょっとニッチな事例のご紹介となりましたが、防音室の設置を検討されている方にとって参考になればうれしいです。



執筆者
さとう・ともえ
間取りからインテリアまでトータルで提案する(株)in treeを夫婦で設立。夫婦で設計・リノベしたマンションに暮らす。電話=098・960・4680


■リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的とした団体。全国800社弱の企業などが参画している。
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1962号・2023年8月11日紙面から掲載

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