建物に愛着 家族の思い出にも|今ある家をバージョンアップ[33]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

リノベーション

リノベ

2023年7月14日更新

建物に愛着 家族の思い出にも|今ある家をバージョンアップ[33]

文・金城学志/リノベーション協議会沖縄支部会員、がじゅまる不動産代表

case33「DIYで自宅リノベ」

ここ数年、DIYブームもあり、「自分で棚を作ったり、壁を塗ったりしてみたい」という方が増えてきています。私自身も作ることが好きで、家族からの要望を受けて、子供部屋の壁をはじめ、脱衣所の棚や、テーブルを作るなど、日々DIYを楽しんでいます。一方で、注意点もいくつかあります。
 

◆相談・課題
DIYを始めたばかりだけど、自宅のリノベーションに挑戦してみたい。魅力や注意点を教えてほしい。


15万円が5万円に

近年は、工具が充実しているため、DIYでも多くの作業を行うことが可能です。壁を仕切ったり、床を張り替えたりという作業をご自身で行う方もいます。

以前、私も子供の成長に伴って、子供部屋に間仕切り壁を造作しました。費用的にみると、業者さんに依頼するとおおよそ15万円かかるところを、約5万円(材料代のみ)に抑えることができました(工事金額は一例。施工方法や材料によって費用は異なる)。

しかし、DIYに不慣れな方が行うと、水平が取れていなかったり、固定が不十分で生活に支障をきたす場合があります。やり直しになると、時間もコストも倍になってしまい、本末転倒になりかねません。工事の範囲が広い場合や難易度が高い作業などは、DIYでやるか専門業者に任せるか、ご自身の技術に合わせて慎重に判断することが大事です。


壁下地の位置をまず確認

実際、私もDIYを始めたばかりの頃、棚を作って壁に取り付けようとしたのですが、ビスが固定できず、壁に小さな穴を数カ所開けてしまいました。

原因は、保持力のない石こうボードに固定しようとしていたからです。

壁に棚や手すりなどを取り付ける場合には、しっかり固定するため、事前に壁下地を確認しましょう。壁下地とは、壁の内側で石こうボードを支えている柱などのことです。

最近の建物は、耐火性や防音性の高さから壁材として石こうボードが使用されることが多いのですが、石こうボードは保持力がないため、棚など重量のあるものを固定できません。そのため、石こうボードの後ろにある壁下地にビスを固定する必要があります。

壁下地の位置をチェックする方法としては「コンコンと壁をたたいて音の違いで確認する」「ピン式やセンサー式の下地チェッカーを使う」などがあります。

棚などを固定したい場所に壁下地がない場合は、保持力を高めるボードアンカーなどを使用するか、壁下地のある場所に合板(ベニヤ板)などの板材を張って、その板に棚を固定するといいでしょう。

そのほか「コンセントを増やしたい」「照明器具を増設したい」といったケースもありますが、それらの工事には電気工事士の資格が必要です。専門業者にお任せしましょう。

Before
壁の塗装などであれば子どもでも参加しやすいので、家族のイベントとして楽しめる|今ある家をバージョンアップ
壁の塗装などであれば子どもでも参加しやすいので、家族のイベントとして楽しめる
After
塗装後。壁だけでなく、棚やランドセル掛けもDIYによるもの|今ある家をバージョンアップ
塗装後。壁だけでなく、棚やランドセル掛けもDIYによるもの

壁面に取り付けた棚。ビスは壁下地に打ち込んである​|今ある家をバージョンアップ
壁面に取り付けた棚。ビスは壁下地に打ち込んである​


家にも家族にも優しい暮らし

最後に、DIYをする上で私が大切にしていることは「つくる過程を楽しむこと」です。

自分で手をかけることで建物に愛着が湧きますし、子供や家族と一緒にイベント感覚でやると、家族の良い思い出にもなります。

建物は年数が経過するごとに不具合が出てきますので、定期的なメンテナンスが必要です。そんなメンテナンスも、無理をせず、自分ができる範囲のDIYで楽しむと、長く続けていくことができ、建物にとっても家族にとっても優しい暮らし方になると私は思います。


金城学志|リノベーション協議会沖縄支部 会員| がじゅまる不動産 代表
執筆者
きんじょう・さとし
がじゅまる不動産代表。「じゅうをもっとじゆうに」をテーマに不動産売買、リフォーム、ものづくりの仕事を手掛ける。電話=098・851・8369


■リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的とした団体。全国800社弱の企業などが参画している。
https://www.renovation.or.jp

■これまでの記事はこちらから
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1958号・2023年7月14日紙面から掲載

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る