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2015年8月14日更新

早めに建物の診断を|メンテでお得 すまい長持ち[5]

分譲マンションの場合、躯体はもちろん、バルコニーなどの共用部分の状態が、建物の安全性や資産価値に影響する。マンションの診断、改修工事の設計監理を行う建物診断設計事業協同組合の沖縄県支部支部長の西田勝紀さん(49)は「改修は時間が掛かる。早めの建物診断を検討したい」とアドバイスする。

 分譲マンション 

改修に時間と労力


外壁の打診検査。コンクリートや塗装の浮きといった劣化症状が出ていないかを、棒でたたいて確認する(建物診断設計事業協同組合沖縄県支部提供)


分譲マンションは、室内を中心に区分所有者の物である「専有部分」と、バルコニーや玄関ドアなど、全区分所有者共同の持ち物である「共用部分」に分かれる。

一つの建物に複数の区分所有者が住む上に、共用部分の改修は全区分所有者からなる「管理組合」の許可が必要になる点が、一戸建てと違う。西田さんは、躯体だけでなく共用部分の状態が、建物の安全性や資産価値に大きく影響する点を指摘する。「劣化症状が現れる築15~20年の時点で、建物診断を検討したい」と話す。

建物診断はマンションの現状をつかむだけでなく、改修工事の設計、管理組合への説明に不可欠なプロセスだ。組合の総会で、診断内容や費用について了解を得る必要がある。

コンクリートや塗装、タイルの浮き、サッシ周りのシーリングの劣化を調べるほか、バルコニーや屋上の防水塗装のはがれや膨れをチェックする。給排水管の内部劣化をテレビカメラを使って調べるなど、予算に応じて調査の範囲や精度を設定できる。

 

管理会社一任も手

西田さんによると、区分所有者が自ら管理する(自主管理)マンションの場合、建物診断から改修工事の設計、工事監理まで、同組合に依頼することが多いという。

一方、管理業務をすべて管理会社に委託しているマンションなら、改修工事の設計を管理会社に任せるのも手と、西田さんは提案する。

「管理状況をこまめに組合に報告する会社であれば、建物の状態を把握し、効果的な改修案が提示できるはず。総会の運営もサポートしてもらえる」と説明する。
建物診断から、改修工事の設計、工事完了まで2年以上掛かるケースは珍しくない。改修の範囲によるが、区分所有者の

4分の3(軽微な改修なら過半数)の賛成を得る必要があるためだ。

「建物の劣化は待ってくれない。一方、区分所有者の意見集約には時間と労力が掛かる。診断の必要性も含め、専門家に相談してほしい」と呼び掛けた。

 

建物診断の様子 


外壁タイルの引っ張り検査。専用の機器を使い、強度を調べる/写真左。排水管の中の状態を、テレビカメラを管の中に入れてチェックする/写真右


診断後は…


管理組合の総会。診断結果を区分所有者に説明し、改修工事をするかどうか検討してもらう/写真左。外壁の改修工事。工事の設計を手掛けた建築士(左)が、きちんと施工されているか監理する/写真右

 

この人に聞きました

西田勝紀(にしだ・かつのり)
1966年、那覇市生まれ。建物診断設計協同組合沖縄県支部長。時設計沖縄営業所所長。一級建築士。マンションの診断、改修工事の設計、改修工事の監理を行う
 

編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 「メンテでお得 すまい長持ち」<5>」第1545号・2015年8月14日紙面から掲載

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