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2021年4月16日更新

「築50年ほどの地域になじんだ住宅」|今ある家をバージョンアップ[12]

築年数のたった住宅を所有していると、修繕するか、建て替えるかを悩むと思います。ですが、愛着のある家であれば修繕して長く住みたいもの。例えば天井からコンクリート片が落ちてきた場合でも、きちんと調査し、修繕すれば住み続けることはできます。
文・豊見山智(リノベーション協議会沖縄支部 副支部長)

case12「築50年ほどの地域になじんだ住宅」
天井が落ちても修繕できる?

◆相談&課題
天井からコンクリートの塊が落下。
住み続けたいが、建て替えるべき?

◆リノベのプロが提案!
他の部屋も調査し、原因を把握。
鉄筋にサビ止め&保護材で修繕。


築年数のたった住宅を所有していると、修繕するか、建て替えるかを悩むと思います。ですが、愛着のある家であれば修繕して長く住みたいもの。例えば天井からコンクリート片が落ちてきた場合でも、きちんと調査し、修繕すれば住み続けることはできます。

慣れ親しんだ住まい

あるお客さまから「もうすぐ築50年になる家で、ある時、寝室の天井を突き破り、コンクリートの塊が部屋に落ちてきた。修繕はできるのだろうか」と相談がありました。

建てられてからずいぶんたつので「修繕してあと何年持つのだろう。いっそのこと建て替えた方がいいかな」と悩んだことでしょう。ですがその方は「小さい頃から住んでいて、地域にもなじんでいる。仕事や学校、交通の便なども不自由はない。思い入れもあるので、できればずっと住みたい」との思いを持っていました。そのため、修繕工事をすることに。


天井内の調査。コンクリートが剥がれて、鉄筋がむき出しになっている。
下にはコンクリート片も見える


修繕の様子。赤い部分は鉄筋のサビ止めを施した箇所で、
その上から保護材を施工している


施工後の様子。ここから剥がれることはほとんどない

数十年で向上した修繕技術

まずは修繕箇所の調査。相談は寝室でしたが、他の部屋もコンクリートの劣化が考えられたので全体的に調べました。一部の天井を剥がすだけでは全てを把握できないため、全部屋の天井を剥がして調べるのが重要です。

次に原因の把握。コンクリート片が落ちる原因の多くは、コンクリート内部の鉄筋のサビによるものです。雨漏りなどでコンクリート内に雨水が浸入し、鉄筋がさびて膨張することでコンクリートを押し出すように剥がれるのです。原因が地盤によるものなどであれば修繕は厳しいですが、今回のケースも雨漏りによる鉄筋のサビでしたので、計画は続行。また、コンクリート内部に埋め込まれた電気配線用の鉄管にもサビが見つかりました。

原因が分かれば補修です。天井内に落ちていたり剥がれそうなコンクリートを撤去し、むき出しになった鉄筋にサビ止めを施工。その上からコンクリート保護剤を施しました。

今の時代は、スクラップ・アンド・ビルドの高度経済成長期と比べると修繕技術がかなり向上しているので、修繕した箇所から再度剥がれることはほとんどありません。ただ、今はひび割れていなくても今後ひび割れが発生することもあるので、天井を張る際に状況を確認できる位置へ点検口を新設しました。

修繕しながら住み続ける

このような修繕工事は「1度やれば今後やる必要がない」というものではなく、別の場所で起きたらそこも行わなければなりません。新築でも年数がたてば修繕が必要になりますし、今回の鉄管のように不具合を発見できるのも利点です。天井が落ちても住み続けることを諦めず、修繕しながら大切な家を守っていきましょう。



執筆者
とみやま・さとる
1977年生まれ、宜野湾市出身。2008年、LSDdesign株式会社参加。取締役。誕生日が3月3日のひな祭りです。

◆LSDdesignの強み
建築・商業施設・リノベーションに始まり、プロダクトやグラフィックまで多岐にわたるジャンルを通して、“モノヅクリ”へと関わってきました。常に新しいことにチャレンジし、イノベーションし続けるクリエーティブな集団として、デザインと向き合いながら成長したいと思います。
宜野湾市上原2-3-6  電話098-894-4282
https://www.lsd-design.co.jp/


リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1837号・2021年3月19日紙面から掲載

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