小さくても広々した空間は作れる?|今ある家をバージョンアップ[9]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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リノベ

2021年1月15日更新

小さくても広々した空間は作れる?|今ある家をバージョンアップ[9]

「実家を増築して2世帯住宅にしたい」「子どもが成長したので、新婚時に購入した家を増築したい」など増築に関する相談をよく受けます。

Case9「4人家族で暮らす15坪」⇒「18.5坪の開放的な空間」

◆相談&課題
コンパクトな家でも、狭さを感じさせないようにしたい!

◆リノベのプロが提案!
間仕切りの窓・天井・窓の外の景色を工夫 縦にも横にも視覚的な広がりを生む


間仕切り壁に取り付けた木製の窓。透明ガラスを使って視界を遮らないように
することで、手前の部屋と奥の部屋がつながり、狭さを感じにくくなる



リノベをする際、多くの人は「せっかく工事をするのだから全体的に新しくしよう」という意見や「長年同じところに住んでいるので雰囲気を一新したい」などの意見が強く出る傾向にあり、何かを「残す」という部分が薄れがちになります。

でも「やっぱり長年住んでいたという思い出も残していきたい」という思いもある。そんなときは、家具や建具をリメークし、リノベーションに取り入れてみてはいかがでしょうか。一部ではありますが、事例を紹介したいと思います。


10平方㍍以内の増築は申請不要

第一子が生まれたのを機に、私は1階が15坪(2DK)、2階が13坪(1LDK)で、外階段のある中古の2世帯住宅を購入しました。1階を住居とし、2階は収益物件として賃貸に出しました。 月日は流れ、子どもが増えて4人家族に。上の子が中学生になると間取りが手狭になってきたので、増築を含めてリノベーションすることにしました。10平方㍍以内の増築であれば申請不要なため、まずは1階部分を10平方㍍増築し、18.5坪に。それでも、4人家族が住むには小さめです。そこで、狭さを感じさせない工夫を散りばめました。

間仕切りに窓設け「つなぐ」

リビング・ダイニングと子ども室の間にある間仕切りに窓を設置。視覚的に「つなぐ」ことで横方向に広がりが出て、家族の気配も感じられます。就寝時にはロールスクリーンで窓を覆いプライベートを守ります。

天井組まず高さ生かす

縦の空間を広く感じるよう、リビング・ダイニングと子ども室は天井を組まず、躯体のコンクリートが見える仕上げにしました。コンクリート素地は防塵塗装し、ほこりが落ちるのを最小限になるようにしました。

視線「止め」て窓の外も領域に

リビングから庭を見ると隣家まで視線が突き抜けていたため、自宅の領域があいまいで、庭は完全な外部空間という感覚でした。そこで、隣家との境界部分に、「視線の止まり」となる杉板を設け、自宅の領域を明確化。庭を室内空間の延長として取り込めるようにしました。心理的観点から、窓より少し奥に「視線の止まり」があると奥行きが出て、感覚的な領域も広がります。

before

花壇奥の隣家まで視線が抜け、心理的に、窓よりも内側の空間が自宅の領域だと感じる

After

隣家との境界に設けた杉板によって視線を「止める」ことで、自分のテリトリーが杉板までだと認識できる。
杉板は目隠しにもなる





執筆者
とくざと・まさとし
1978年嘉手納町出身。西日本工業大学建築学科卒業。2016年にLa.fitを立ち上げ、20年に㈱アーキラボラフィットとして法人化。建築士、宅地建物取引士など多数の資格を有する。(一社)リノベーション協議会沖縄支部長を務める。

◆㈱アーキラボラフィットの強み
考え方や好みは、十人十色。既成概念にとらわれず、住む人、使う人にとことん向き合い、「デザイン」「住み心地」「価格」のバランスを大切に一緒に作り上げます。現在、沖縄市で新事務所をリノベ中。 うるま市字塩屋307-5〓 098-988-5128 
https://al-lafit.co.jp/

リノベーション協議会とは 消費者が安心して既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させることを目的に、2009年7月に発足したリノベーション業界団体。全国1000社弱の企業等が参画し、優良なリノベーションの統一規格「適合リノベーション住宅(R住宅)」を定め、普及推進している。その年のリノベNo.1を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」も年々注目が集まっている。https://www.renovation.or.jp

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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1828号・2021年1月15日紙面から掲載

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