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2024年7月19日更新

実は難しい軍用地相続 納税資金不足で売却も[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策④]

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする「全国幸せ相続計画ネットワーク」。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は同ネットワークの共同代表・亀島淳一さんが軍用地について解説する。軍用地が県外に流出している現状と原因、相続時の注意点などを説明する。

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実は難しい軍用地相続
納税資金不足で売却も

家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする「全国幸せ相続計画ネットワーク」。60を超える士業や企業が会員に名を連ねる。今回は同ネットワークの共同代表・亀島淳一さんが軍用地について解説する。軍用地が県外に流出している現状と原因、相続時の注意点などを説明する。
 
沖縄本島の約15%の広さを占める米軍基地。軍用地は、相続の際には分け方でもめやすい
 
県外に流れる軍用地

先日、県外の大家さん向けのイベントで相続セミナーの講師を務めてきました。会場にはさまざまな企業が出展しており、不動産投資や設備、リフォームなど、それぞれの商材をアピールしていました。

その中で目を引いたのが「軍用地投資」の大きな文字。話を聞いてみると、相続の相談窓口を運営する団体とのことで、沖縄の不動産会社と提携して軍用地投資を斡旋(あっせん)しているようでした。少し心がざわついた出来事でした。

軍用地がどんどん県外の方に買われています。いわゆる「基地負担」を背負うのは県民、経済的利益は県外へという構図が増えていっています。その理由として、先述のように、軍用地が投資商品として県外でも知られてきたという実態があります。買い手が増えている要因です。

しかし、買いたい人がいても売る人がいなければ県外に流出することはありません。なぜ軍用地主の皆さんが軍用地を手放しているのでしょうか? 

昨年、当団体へ相続の相談に訪れた軍用地主の4割以上が、相続税の納税資金不足でした。相続税がいくらかかるか試算してみたところ、約4割の方がその金額を支払うだけのお金を持っていなかったという結果が出ました。

このような状況で、相続を迎えるとどうなるでしょう?相続税は、相続が起きてから10カ月以内に現金で納付しなければなりません。お金が足りなければ、何かしら財産を売って税金を納めるということになりがちですが、この時に最も売りやすい(=売られやすい)財産が軍用地なのです。

もめる原因は分け方

軍用地は良い財産であるがゆえに、分け方でもめやすいという点にも注意しましょう。相続が起き、家族の意見がまとまらずに分け方が決まらなかった結果、最も節税効果の高い「配偶者控除」が受けられなかった、なんてことも起こり得ます。

どうしても分け方が決まらないからと言って、安易に共有名義にするのはやめましょう。問題を先送りするだけで、次の世代に余計な負担をかけることになってしまいます。分筆という方法もありますが、土地は細切れにすればするほど価値も下がってしまいます。

相続前、まだまだ元気なうちであれば、家族信託という方法もあります。例えば名義は長男だけに引き継ぎ、地料をきょうだいで分けるなど、もめない相続の方法をあらかじめ定めておくことができます。

とにかく「相続でもめやすい」と言われる軍用地。そろそろ地料が振り込まれる時期かと思いますが、一度立ち止まって考えてみませんか?

 
【今回のポイント】
・利益は県外 負担は県民?軍用地の投資商品化で買い手増
・安易に共有しないで!分筆すると価値は下がる
・元気なうちだからできるもめない相続の準備



全国幸せ相続計画ネットワーク


【執筆】
全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一

士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に、全国の相続の専門家が集う組織。「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」という信念を持ち、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行っている。

相続相談窓口:電話=050・1809・0106
https://souzoku-planning.org/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2011号・2024年07月19日掲載

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