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2019年7月26日更新

2階建てでも一体感|(有)義空間設計工房

[お住まい拝見|CB造で基礎と杭減らしコスト減]「家族の気配を感じたい」と希望したSさんが選んだのは、基礎と杭(くい)が減らせる補強コンクリートブロック造の2階建て。引き戸を多用した造りと“技あり”階段が家中をつなぐ。


1階LDK。階段は、下半階分は後ろが物置きとして使えるようになっており、上半階分は蹴上げを抜くことで、2階で遊ぶ子どもたちの声や気配を階下へ届ける
 

「声が聞こえるのがいい」

Sさん宅
補強CB造/自由設計/家族4人
もともと実家だった家を建て替えたSさん。コンパクトな外観とは打って変わって、1階にはデッキや庭まで見渡せる開放的なLDKが広がる。

夫人は「友だち5、6家族が遊びに来た時は、庭で水遊びしたりバーベキューしたり。子どもたちは挨拶(あいさつ)もそこそこに上で走り回ってます」と笑う。遊び場になるというその2階には、北に子ども室、南に寝室と和室があり、その間を広いホールがつないでいる。現在は、すべて開け放って大きなワンフロアとして使っているが、仕切れば最大4部屋になるフレキシブルな造り。「将来も考えてのことです。長男家族が同居することになっても問題がないよう水回りも設置しましたが、ちょっと手洗いするにも便利」と使い勝手の良さを実感している。


玄関側から見た1階LDK。キッチン背面にある造り付け収納の扉は、「中の物が分かるけれど見え過ぎないように」との夫人の要望ですりガラスに



外観。コンパクトながら空や緑に白壁が映えて爽やか。セットバックした2階も、通りへの圧迫感の軽減に一役買う


当初は「子どもと過ごす時間は短いからコンパクトで、家族に目が届くワンフロアに」と考えていた夫妻。堅実な仕事ぶりが気に入った建築士に相談したところ、地盤が弱く、イメージしていたピロティ付きの住まいをRC造で建てると、建築費がかなりかさむことが判明した。そこで提案されたのが現在のカタチ。夫人は「耐震的にも問題ないと聞き安心。急な来客でもプライバシーが保てるし、上で遊ぶ子どもたちの声が聞こえるカンジもいい」とうなずいた。


収納の中に干し場
掃除しやすく片付けやすい造りもこだわった点。目を引くのはクローゼットを兼ねた「干し場」だ。「洗濯物は基本は乾燥機に入れ、入れられない物は室内干しして除湿機をフル回転。乾いたらつり棚に移すだけだからラクです。湿気やカビも気にならない」。玄関には、靴や上着、雨具から災害時の持ち出し品まで収まり、扉を閉めれば目隠しできるクローゼットを設置。キッチン前面は、爪切りや文具などが置けるオープンな棚を造り付けた。床はお掃除ロボットに任せられるよう物を置かず、カーテンの長さも調整した。

元気に遊ぶ長男(6)と長女(3)を眺めながら「家は子どもが小さいうちに建てたかった」と夫妻。子どもの成長と共に、家への愛着も家族の思い出も増し続ける。

ここがポイント
引き戸&階段で気配届け
Sさん宅の敷地は60坪弱。「平屋感覚で住め、駐車場も確保したい」との要望をRC造で実現するとなると、1階をピロティ、2階を住宅にする必要があるが、予算を大幅にオーバー。地盤調査で杭が必要なことも分かった。そこで建築士の伊良波朝義さんが提案したのが、補強CB造の2階建てだ。「2階建てにすれば基礎面積が減り、杭も集中させられる。中に空気層があって軽い補強CB造なら、RC造に比べさらに杭が減らせる」。加えて、通常の補強CB造では職人が型枠を組む必要がある壁の突き当たりや角、端部に、型枠代わりになる補強CB造役物を採用。型枠職人要らずで建築し、大幅なコスト調整を可能にした。

コストと同時に課題となったのが、平屋のような一体感を2階建ててどう作るか? ポイントになったのは、引き戸と階段だ。まず死角を生む廊下を省き、扉はすべて引き戸を採用。「1階は水回りや収納以外はオープンに、2階は、引き戸を開け放てば広いホールを介してワンルームのようにつながり、各階とも見渡せる造りとなっている=下写真」。さらにキッチン脇に設けた階段は、下半階分は裏が物置きとして使えるように仕上げたが、上半階分は蹴上げを抜くことで、「2階にいる家族の声が階下へも届くよう工夫。平屋感覚の一体感を2階建てでも可能にしている」。

また、敷地はSさんが生まれ育った家が建っていた場所でもあることから、「場の記憶を残したい」と生家の外塀に使われていた粟石を庭の敷石として再利用。敷地内にあった井戸もそのまま残して散水用に活用した。



2階を西側から見る。中央にあるホールは、各部屋とつなげて使えるよう、あえて広めに取った。普段は引き戸を開け大きなワンフロアとして使用。床と天井の高さをそろえたことも、スッキリ広く感じさせるポイント


2階和室と寝室。和室は置き畳で、子どもが小さい今はここで寝ているそう。取り払えば下はフローリング、仕切れば客間にも



東側から見たデッキと庭。敷石にした粟石は空気層を含むため水はけがよく、輻射熱が少ないのも特徴。「水遊びしてもすぐ乾くし、デッキより熱くなりにくい」と夫人


玄関ポーチ。敷石には生家の外塀に使われていた粟石を再利用。Sさんも年月と共に味わいが出るのを楽しみしている


[DATA]
家族構成:夫婦、子ども2人
敷地面積:194.21平方メートル(約58.7坪)
1階床面積:66.06平方メートル(約19.9坪)
2階床面積:51.8平方メートル(約15.6坪)
建ぺい率:35.27%(許容70%)
容積率:60.69%(許容200%)
用途地域:未指定地域
躯体構造:補強コンクリートブロック造
設  計:(有)義空間設計工房 伊良波朝義、漢那悟
構  造:(株)ケイ・ツー設計 小波津和也
施  工:山城建設 金城克哉
電  気:(有)エース電気工事社 新城武松
水  道:新栄設備工業 栗山勝好



[問い合わせ先]
(有)義空間設計工房
098-888-5303
http://www.gikuukan.com


撮影/ララフィルム・泉公 編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1751号・2019年7月26日紙面から掲載

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